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太陽の恵みと風の知らせです4

 フォレストタウンへの帰り道、領地まで駆け抜ければいいと考えていたの……


 でも、メルリとクレレが来たことにより、何故かピクニック気分になった皆の姿をみた私はシュビナから借りた馬車を降りることにしたの。


「本当にいいんですか、もしもの事があれば、オイラがカルム王に殺されちまうんですが……」


 馬車を操るバイキングが不安そうにそう声に出したの。


「えっと、もし、カミルでも勝てないような存在がいるとしたら、バトラング王国も終わりだと思うのですが?」


 平然とそう口にするアララの言葉に更に悩むバイキング。


 そのあとは、アララとメルリによる説得に従い、バトラング王国へと帰っていったわ。


 馬車で全体の半分程の道のりを進んでいたこともあり、まぁ問題はないわね。


 クレレとメルリの二人にリーヴルがなつき始めると道中は更に賑やかなものになったわ。


「リーヴルお嬢様、クレレ、あんまりはしゃぐとお嬢様に叱られますよ」


「「はーい」」


 メルリが子守りをする形になり、なんとも愛らしい光景ね。


「さあ、リーヴル、クレレ、よく聞いて! 今から森を抜けるわよ。森には魔獣も出るから、はぐれたらダメよ?」


 “魔獣”と言う言葉にリーヴルが目を輝かせて質問してきたの。


「ま、魔獣って本当にいるのかな! 私みたい!」


「クレレは魔獣みたことあるでし!」


「ズルいかな! クレレちゃんだけなんて、私も見てみたいかな……」


 リーヴル……精神まで幼くなってるなんて、クレレとの言い合いは本当にあれね、可愛いものだったわ。


「はいはい、取り敢えずは魔獣にあったら、カミルかアララ(わたし)に言ってください。魔獣と(あなど)ると美味しく食べられちゃいますからね」


 アララの“食べられる”発言と優しい笑みにクレレとリーヴルが凍り付き、落ち着きを取り戻すとフォレストタウンまでの近道である森を進んでいく。


 マップを広げ、魔獣に的をしぼり、位置などをしっかりと確認する。


 アララとメルリには魔獣と遭遇した際にはクレレとリーヴルの安全を確保するように伝えてあるわ。


 普通の魔獣は私やアララの魔力に自然と身を隠してしまうから、大丈夫だとして、力のある一部の魔獣にだけ用心ね。


 “ガサガサ……”と森を進んでくる音が耳を掠める。


 まだ遠いけど、確実に近づいてるわね。即座にマップを広げ確認しようとした瞬間、近くの茂みを掻き分けて領地のバイキング達が姿を現したの。


「あ!」と声をあげてしまったわ。


「へ? か、カミル様!」


 予想外の事に驚く私を見たバイキング達と同時に私も声をあげる。


「何故、こんなところに!」

「なんで、この森にいるのよ?」


 お互いに質問をした時だったわ。


「お嬢様! 大変なんです、少し目をはなしたら、二人が消えたんです」


「ごめんなさい、カミル! すぐに二人を探します」


 茂みをゆらしていたのがバイキング達と分かり、安心したアララとメルリの目を盗んで、クレレとリーヴルがいなくなったそうなの、まずいわ……マップで探さないと。


「うわぁぁぁぁ!」

「でしぃぃぃぃ!」


 と、クレレとリーヴルの叫び声が聞こえたの。

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