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太陽の恵みと風の知らせです1

 どれくらいの時間が過ぎたんだろう……


 未だに視界がぼやける感覚の中で必死に重たい(まぶた)を開いく。


 目に写る美しい天井、窓からは優しく風が流れ込み、私を軽く靡かせる。


「……ここわ……」


 上手く声が出せない事実に不安を感じる、そんな私の側に駆け寄るように無数の足音が耳に鳴り響き、声がしたの。


 “カミル”と一斉に問い掛けられ、辺りを見渡すとペンネ、アララ、シュビナと私の知る顔が並んでいたわ。


「私、どうしたの……試練の、結果は……」


 必死に記憶を呼び覚ます中で出てきたのは、アフロディアスの花が咲いたであろう事実だったの。


 その問いにシュビナが一番に声をあげたのがわかったわ。


「安心していい、全て無事に成功した、カミル。永遠と言われた一族の呪いは消え去ったんだ……本当に感謝する」


 私はホッと胸を撫で下ろしたわ。


「お、お嬢様! お目覚めですか!」

「カミル! 起きたんだね! 無理はよくないかな」


 私に駆け寄るメルリとリーヴルを見て少し笑いそうになっていたわ。


「二人とも、大丈夫よ、それよりメルリ? なんで此処に……」


 それから私はゆっくりと何が起きたのかを聞かせて貰うことになったの。


 先ずはアフロディアスの花の試練についてだけど、花は綺麗に咲いたみたいだわ。


 その際に私は意識を失ったのね、意識を失う寸前、つまり、意識の世界での出来事と言うべきかしら? 私が必死に向き合った数時間と言う果てしない時間は現実の数秒程度の時間しか過ぎていなかったの。


 でも、私の急激な魔力の消費にリーヴルが気づき、私に魔力を流し込んでくれたの……


 私の魔力を流し込んだリーヴルだから、出来た事であり、アララとペンネも私に魔力を与えようとリーヴルを通して奮闘してくれていた事実を聞かされたわ。


 一人で行う試練だったけど、私とリーヴルのように1つの魔力から繋がる存在は例外であった事実にも驚かされたわね。


 リーヴルは私に「使い魔達がカミルのピンチを救ったんだよ。感謝しないとかな?」と口にしたの。


 使い魔達……デンキチ達のことね、リーヴルは上手く魔力が送れたのは使い魔達が道を示すように魔力を引っ張ったからだと言ったわ、正直、よく分からないけど、ピンチを皆が救ってくれたのね。


 メルリに関しては、ビッグアザーのバトラング王国入港を聞き付けて、使い魔のガルーダに乗り飛んできてくれたみたいだわ。


 今にも泣きそうなメルリの顔を見て少しホッとしたわ。


 夜まで今いるシュビナの用意した部屋で安静にする事になり、一人になった私は自身の身体に異常が無いかを確かめる。

 幸い、問題はなく、手足も通常に動く事を嬉しく思うわ。


 静かな室内に“トン、トン”と扉をノックする音がなる。


「お嬢様、シュビナ王から、夕食を部屋に運ぶかの確認ですが、御部屋で食べられますか?」


 扉の前で待機していたメルリが私にそう尋ねてきたので、ハッキリとした声で返答をしたわ。


「食事は皆と食べたいから、今から向かうわ」


 その声に反応して室内に姿を現わしたメルリが駆け寄ってきたの。


「ならば、肩を、言え胸をお貸しします! お嬢様! 私が抱き抱えますのでそのままで!」


 眼が本気ね……


「大丈夫よ、デンキチに運んで貰うから。と、言うことでデンキチ来て頂戴」


 デンキチを召喚すると私を軽々と抱き抱えるデンキチ。


『カミル、大丈夫? 心配かけすぎ』


『ごめんなさい。デンキチも心配してくれたんだよね。ありがとう』


 軽く頭を下げるとデンキチは少し照れくさそうにする。それからメルリに案内されて歩き出したわ。


 色々ありすぎて、本当に慌ただしい一日だったわ、それにお腹が空きすぎて、背中とお腹がくっつきそうだわ、今日はしっかりと食べないとね。

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