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涙はいつか実るものです2

 レイトの行動はアララに最大のチャンスを与えたわ──与えただけだけどね。


 ペンネが駆け出すと道を塞ぐように両手を開くレイトと一瞬、向き合う形になったの。


「娘の幸せな結婚を望まぬ愚か者が! 本気でカミルに嫌われる覚悟なのだな!」


 その言葉に瞬きをする間もなくレイトが膝から崩れ落ちたの。


 本当にレイトってば、お馬鹿さんね……


「ええいッ! 邪魔じゃレイト! ハアァァァッ!」


 ペンネの後方から眩い閃光が放たれると飛び立とうとしていたアララの足元に飛来したの。


「惜しかったですね。今回は村祭りは諦めます。カミル、後で食べにきますので、お土産をちゃんと買っておいてくださいね!」


「ふざけんじゃないわよ! アララッーー!」


 どんなに怒っても、私もペンネも追い付けないわ、アララに逃げられちゃう。


 そう思った瞬間、じい様が不敵な笑みを自慢気に浮かべたの。それと同時に人差し指を伸ばし、そのまま上向きに“スッ”と、上げるような動作をしたの。


 地面が突如、波打つように動きだすと、アララは地面を蹴るに蹴れず、その場で慌てて居たわ。


 時間にすれば二、三秒と言ったところね。


 それでも十分過ぎる時間よ!


「じい様。ナイスなアシスト感謝するわ! アララァァァッ! 待ちなさい!」


「ヒィッ! カ、カミルゥゥゥーー!」


 アララの一瞬の隙をつき飛び掛かると空間魔法(ストッカー)を開く、それと同時にクラブスパイダー達がドームを作るように無数の糸を飛ばし逃げ道を無くしていく。


 勿論、アララなら容易に突破できるわ。


 時間稼ぎにしかならないけど、このタイミングで私は空間魔法(ストッカー)から取り出した真っ赤な液体の入った小瓶を握り締める。


 しっかりと覚悟を決め、アララの口に目掛けて走り出し、一気に押し倒すと液体を勢いよく口に突っ込み、最後の一滴まで残さずに流し込んだわ。


 名付けるて──【チリチリまる大作戦】


 流石のアララも気絶したわね……やり過ぎたかしら?


 取り敢えず、捕獲に成功した事実が大切ね。


「さて……じい様、シシリさん。私はやぼ用が出来たので失礼するわ」


 空間魔法(ストッカー)に女神を詰め込む姿は神も恐れぬ悪者って感じね? 実際はかなり複雑な気分だけど。


 じい様達と別れた私はハニーフォレストのあった森に向かったの、洋館を取り出してから、アララを自室で解放して目覚めるのを待ったの。


 アララが何故、逃げようとしたのか、それにアフロディアスの花の秘密を知っているのになんで話してくれなかったのかをしっかりと確かめないとね。

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