☆ダメなオッサンから想像できないんですが?
皆様いつもありがとうございます。
めでたく、ブックマークが40をこえました。
この話以降は更新が早すぎると言う御意見がリアルからありまして……もう少しのんびり更新していきます。否定気になりますが二、三日おきに更新していければと考えてます。
私から見るダメな大人……それは……酒に酔うのではなく酔わされ、人生をダメにする大人を指す。あとギャンブル依存もダメね? とにかく、目の前のオヤジはその典型ね……
「おいッ! なんだお前らは俺の家で何してる!」
ほらきた……大概酒乱は絡んでくるのよね? 昔はよく上司に泣かされたっけ、今ならあの上司にデコピン100発は叩き込んでやれるのに!
「聞いてんのか? なんなんだお前達、此処に何しにきた?」
私達は酔っ払いの相手をする気はないし私、個人も余り関わりたくない。なので早速、蜂蜜漬けを渡して帰ろう。うん! まさにベストアンサーだわ。
「私達はその子に頼まれてアナタに無料の蜂蜜漬けを渡しにきたのよ」
私は平常心を保ちつつ、蜂蜜漬けを渡そうとした。
「要らねぇよ! それよりナッツ、酒だ酒。くだらない食いもんなんかより酒だ!」
どうやら少年はナッツと言うらしい。
それより……このダメオヤジ……私の蜂蜜漬けがくだらないですって? 赦せないわ……
「食べてからその口を開きなさいよ! 酔っぱらいがッ!」
「あぁぁ? なんだ豆チビが偉そうに、そう言う口は色気が出てから口にしな! たく、帰ってママの乳でも飲んで寝ろ!」
カッチン……頭きた! マジに頭きたわ! 有罪よこんな酔っぱらい。罪状を付けるなら、蜂蜜冒涜罪並びに幼女へのセクハラ! デコピンよ!
「言ったわね……赦さないんだから……」
私を止めるタウリをアッサリ振り払い、ダメオヤジに近づく私。
私の手がダメオヤジの方に伸び指が弾かれた瞬間……全ては終わった。
「ウォォォォあだぁぁぁッ!」
ダメオヤジ撲滅委員会が存在するなら即座に入会できる程、激しく吹き飛んだ酔っぱらいは、壁でピクピクしている。参ったか!
「あわわ、父ちゃん! 大丈夫~父ちゃんってば」
慌てるナッツと私のデコピンに怒るタウリ。
「遣りすぎだカミル、死んだらどうするんだ!」
「ふぅ、手加減して100分の1でデコピンしたんだから大丈夫でしょ。それに……私にセクハラしたのよ! 寧ろ生きて無くても仕方ないわ。フン!」
私はダメオヤジを起こすと反省したかを確認。
確認中に酔っぱらいが『遣るじゃないか』発言……イラッ
私が再度、デコピンを構えるとタウリとナッツに本気で止められ、ダメオヤジは青ざめていた。
「それで? 食べるの食べないの!」
勿論、返答は『いただきます……』
蜂蜜漬けを食べた途端に酔っぱらい特有の酒の香りが体から無くなったのには私も驚いた。
ダメオヤジが普通のオッサンになった処で片付け開始の号令をかける。
洗濯は私の水魔法を空中に作り停止させると洗濯物と石鹸を中に投げ込んで風魔法を使い回転させて裏庭で即洗濯。次いでに日が暮れているので火炎魔法で即乾燥。
自分だけで洗濯と乾燥が出来るなんて、私の省エネ魔法は流石だわ。
洗濯物が乾いたらそれを手に家の中へ、中では3人の男が必死に片付けをしている。
実際は洗濯物とゴミを片付けた時点で部屋は綺麗になっていた。
「よし、出来たわね。3人とも偉いわよ」
その頃には既に日が暮れ、空は星が輝き始めていた。丸い月に照されたウッドハウスの中には、へとへとの男が3人とそれを笑って眺める私の姿があった。
「そろそろ行くわ。宿に泊まらないと野宿に為っちゃうし」
私達はウッドハウスを後にしようとするとオッサンが引き止めてきた。
「待ってくれ、ちゃんと礼もしてないし、その今からじゃ夜道もあれだからよ。大した料理は出来ないが家に泊まらないか?」
何? 最初と違っていい人じゃない!
「いや、俺達は……」
「泊まるわ。ご飯があって寝られるなら助かるし。節約は大切だしね」
話が決まり私は空間魔法から冷凍魔法で凍らせた食材《ビッグボア肉》と野菜などを取り出しオッサンに渡した。
「オジサン。美味しいの頼むわよ」
「任せろ。あと俺はカッシュだ。嬢ちゃん」
「私はカミルよ。なら頼むわね。カッシュさん」
私は誤解していたのかも知れない。御風呂を先に貸して貰い入っている時に外で風呂焚きをするナッツと話をした。
カッシュは元は木こりではなく、料理人だったらしい。
ナッツの母親と王都で店を出していたが、貴族の横暴な振る舞いと態度に我慢できずにいたある日、貴族が口に合わないと言い出し『カッシュの店にいくな』と嫌がらせを始めたのだそうだ。
嫌がらせはエスカレートしていき客足は遠退き、店をたたむ事になったのだ。ナッツの母、メグも身体を壊し今は王都の病院にいるらしい。
高い医療費で木こりのカッシュの稼ぎの殆どがなくなり、今は怪我を理由に仕事も余りなく酒浸りになって居たそうだ。
「アンタも大変ねナッツ」
「でも、母ちゃんが退院したら、また父ちゃんも食べもん屋やるんだって、泣いてたから……俺が父ちゃんを支えてやらないとだからさ!」
苦労してるなぁ。なんだか異世界もいろいろあるわね?
御風呂からあがった私はカッシュの料理に驚かされた。
テーブルに並ぶ料理はまるでフランス料理のように鮮やかであり、ビッグボアの肉も薄く炙られ綺麗な花のように盛り付けられていた。
いちじくのトッピングされたサラダにカボチャのポタージュとパンが並び、林檎を煮込んだアップルソースのパイが焼かれれ芳ばしく甘い香りが部屋を包み込んでいた。
「オジサンやるじゃない!」
「だから、カッシュだって。だが、味は保証しないぞ?」
照れた顔を浮かべるカッシュ。
味は抜群だった。むしろ、木こりなんか早く辞めればいいのに?
「そう言えばさ? オジサン足、大丈夫なの?」
ナッツがそう言えばと言う顔をしている。
それに今更だけど、私のデコピンだって手加減してもかなりキツかった筈よね?
「其れなんだがな、嬢ちゃんの蜂蜜漬けを食べたら痛みがなくなってな? さっき見てみたら腫れも退いてるんだよな。蜂蜜の効果なのか?」
知らないから! 何そのビックリ能力? 本当なら不味いわね……
「二人とも、いきなり何だけどさ? 一緒に王都まで来てくれない」
最初は私の発言に驚いていたカッシュとナッツ親子だったが私がメグの話を聞いたと伝え、更にメグに蜂蜜を食べさせたいと口にすると二人は頷いてくれた。
私は食後、直ぐにカッシュに木を運ぶ台車を持ってきて貰うとメガを召喚した。
「メガ。いきなりごめんね。人数が多いから台車を引いて欲しいの?」
『任せて。カミルの為ならガンバル』
いきなり現れたメガに驚く2人とタウリを台車に乗せて私はデンキチとスカーも呼び、夜の草原を王都に向けて走り出した。
スカーは夜目が誰よりも効くので先頭に私はデンキチと真ん中、その後ろにメガと台車。
私が直ぐに村を出たのは村人の中にカッシュのように傷が治ったと言う人が現れるかもしれないと考えたからだ。私の目指す蜂蜜は万能薬じゃなく普通の蜂蜜なので今の蜂蜜は売れない。
だってそうよね? 悪事に使われたら大変だもん。万能薬は諸刃の剣、人を変えさせるには十分すぎる魅力が有るもの。
私は蜂蜜を売るのを一旦諦め、王都への道を急いだ。成り行きで新しくカッシュとナッツ親子も旅に加わり、私達は賑やかにライパンを目指していく。
夜の景色は綺麗なんだけど、やっぱり眠いなぁ……お肌荒れちゃうよ……




