新たなる出逢い、カミルの里帰りです9
夕食の後の交渉がまとまると私はラッペンお爺ちゃんとカッシュと共にペンネ達を連れて城を後にしたの。
マドラッドからの輸入品に王国公認の蜂蜜が加わった事実は大きな成果に繋がるわね。
私達は一旦、ベジルフレア王国の中心、ライパンのラッペン邸に向かうことになったの。
到着すると直ぐにラッペンお爺ちゃんがメグに紅茶を入れるように指示を出したわ。
「メグ、すまないが紅茶を人数分、いや、少し多めに用意してくれ」
「はい。ラッペン様。直ぐに」
メグもカッシュ同様に、ラッペン邸の欠かせない存在になってるみたいで安心したわ。
「ガレオン、ヒルバー。もう姿を現して大丈夫よ。お爺ちゃんは信頼できるわ」
私の声に反応して、姿を現すヒルバー達、流石のラッペンお爺ちゃんも驚いた見たいね、でも、直ぐに豪快に声をあげたわ。
「がははは! こいつは驚いた。これ程の者達が同行していたのか。メグ! グラスを10追加だ。あと酒も頼む。カッシュに頼んで上物を選んでくれ」
廊下に響くラッペンお爺ちゃんの声。遠くから小さく「はい。かしこまりました」とメグの声が返ってきたわ。
「カミル。すまないが椅子を用意できるか? 流石の儂も屋敷に巨大な椅子までは用意していなかったからな」
ガレオンを見ながらそう語るラッペンお爺ちゃん。
視線に気づいたガレオンは「いや、俺は大丈夫だ」と人の言葉で返した瞬間、ラッペンお爺ちゃんが凄い勢いで立ち上がったの。
「人語を会得しているのか! ならば話が早い。カミル済まぬが上質な椅子を頼むぞ」
強引なんだから、でも間違いなくガレオン達の印象は好印象みたいね。
「任せて。全員分の席を確りと用意してあげるわ」
作製魔法を使い室内に椅子を作り出しすと室内はまるで会議室の様になったわ。
今更だけど、会議室で話をすれば良かったんじゃないかしら?
それからメグが紅茶とワインを運んで来たの、扉を開いた瞬間だったわ。
「旦那様、失礼しま……!」
“バタ!”
「「「ええぇぇぇぇ!」」」
「な、おい! メグ大丈夫か!」
「ちょっとメグ、泡吹いてるじゃないの!」
私達の声は届いてないみたい……
メグがあまりの光景に固まって、泡を吹いて倒れたから大変だったわ。
まあ、扉を開いて大勢の魔族が居たら、普通はそうなるわね……皆には悪いけど、メグの反応は間違ってないわ。
デンキチに頼んでメグをカッシュに預けるまで、ガレオン達は大慌てだったわ。
その後は大宴会が開始され、メグの代わりにカッシュが飲み物を運び、つまみを作ってくれていたわ。
カッシュったら「メグの分は俺がはたらきますよ!」って、張りきっていたわ。愛妻家って言うのかな? 本当に見てたら、私の方が照れちゃうわね。
その日、ラッペンお爺ちゃんは豪快に笑ってたわ。
ペンネ達も負けじと飲み比べを楽しんでいたみたい。
朝方には殆どの魔族が酔い潰れ、私も眠りに着いていたわ。
目覚めた時、目の前にいたのはラッペンお爺ちゃんとヒルバー、そして、何故かアララだったわ。
カッシュは疲れから廊下で眠っているし、本当に寝てる間に何があったのよ。
「カミル、退いて退いて」
「父さん、もうワインが無くなるよ」
そんな中、料理とワインを運んでくるルフレとメリアの姿もあり、私はラッペンお爺ちゃんのお酒の強さに呆れたわ。