アフロディアスの花言葉です10
花を咲かすと言っても普通のやり方だと絶対に無理だと思うの、先ずは花を咲かせるまでの時間を確かめる事にしたの。
ミズチさんは「魔力が尽きるまでさ、魔力の無い者は挑戦すら出来ず、涙を流す事になったんだ」と語ったわ。
つまり、花を咲かすには魔力が必要であり、魔力が尽きなければ、いつまでも挑戦が続くと言う事みたいなのよね?
私はシュビナとミズチさんに挑戦の延期を申し込んだの。
「今日は挑戦しないことにするわ」
私の発言にシュビナとミズチさんは不敵な笑みを浮かべたの。
「何か思いついたようだねぇ……しかし、一筋縄じゃいかないよ?」
「まあ、カミルは常識の先を行くからな、それに非常識な【アフロディアスの花】が 相手なんだ。俺はカミルに全てを委ねようと考えているのさ」
「おやおや、暴君と言われるシュビナ坊が随分と惚れ込んでるね? けっこうけっこう。あははは」
私は予定通り、一度ベジルフレア王国に向かう事にしたわ。
里帰りのつもりだったけど、物々交換屋のシシリさんとじい様に会う必要があるみたい。
私の考えに対して意見も聞きたいもの。
地下から地上に上がると其処にはメルリとペンネが互いに腕を組み待ち構えていたわ……兵士の方が巨体なのに、威圧感は圧倒的に二人の勝ちね。
「お嬢様ッ!」
「カミルッ!」
姿を現すなり、心配そうに駆け寄る二人。
「なによ、どうしたのよ?」
二人は私が一人でベジルフレアに向かうと考えてたみたいなの。
早とちりなんだから? でも、本当に優しいわね。
そんな私達を優しく見守るシュビナ。
「行ってこい。そして、無事に再会しようカミル」
「えぇ、シュビナ、行ってくるわ。絶対にアフロディアスの花を咲かせるから待ってて」
シュビナに別れを告げると私はペンネの呼び寄せた巨大要塞アザラシ【ビッグアザー】の待機するバトラング王国の領海へと移動したの、今回はサトウとメルリはバトラング王国にお留守番ね。
洋館の代わりにメルリとサトウ用の屋敷を用意したから問題はないと思うけど、喧嘩しないかだけが心配だわね?
「おじょうさまぁぁぁ、おじょうさまぁぁぁ……」
「あはは……気をつけてカミルちゃん。行ってらっしゃい」
私を見送るメルリとサトウ……メルリは号泣してるわね。
「さあ、行くぞカミル。主を皆が待ちわびとる。一度マドラッドに向かい、その後にザカメレアの領海を抜けてベジルフレアへと向かう予定じゃ!」
「ええ、頼むわね。ペンネ」
「うむ、大船ならぬ大アザラシに全て任せよ!」
私は長く滞在していたバトラング王国の地を離れる。少し寂しく感じる、バトラング王国は既に私の大切な場所の1つになっていたんだと改めて自覚したわ。
アフロディアスの花言葉……【運命の愛】【幸せの希望】
素敵な言葉とは裏腹に多くの運命を絶望にしてきた花、私が絶対に花言葉どおり【幸せの希望】の蕾を開かせて、今までの人々の【運命の愛】が真実だったと証明するんだから!