アフロディアスの花言葉です9
地下に下りた私が目にしたのは以前とは異なる眩い光の世界だったわ。
以前は明るい星空程度に感じた天井の光は輝く太陽の様に地下世界を照らし、空気を風が循環させている。
驚きを隠せない中、笑い声と共にミズチさんが此方に歩いてきたの、若返ったミズチさんは反則なくらいスタイル抜群ね……敗北感が凄いわ。
「来たねぇシュビナ。カミルさんもよく来てくれたねぇ、嬉しいよ」
明るく声を掛けてきたミズチさんに頭を下げる。
正直に言うと、お婆さんの姿を知ってるから同一人物に見えないわ。
「それよりミズチ婆、カミルに無理を言って来て貰ったんだ本題に入ろうじゃないか」
「せっかちな奴だねぇ……人生で一度のみのチャンスなんだょ、事実を知るには早すぎやしないかい? アンタとカミルさんは夫婦じゃないんだ……一旦は話だけにしとかないかい?」
二人の話が全く読めない、いったい何をさせたいの……それに夫婦ってまさか、あれなの……私の大切な初めてを捧げる的なやつ!
「シュビナ……いったい何をさせたいの……あのさ、あれよ! 心の準備がまだだし、お互いをもっと知ってからでも遅くないと思うのよね……」
頭の中に過る大人の世界に赤面する私、そんな姿を見て“クスクス”と笑うミズチさんと何がなんだか分からないと首を傾げるシュビナ。
「安心しな、カミルさん。シュビナはまだまだ、お子様でね、そっちの知識は無いよ、それにカミルさんにシュビナが頼もうとしてるのはシンプルな1発勝負さ、ついてきておくれ」
全てを見透かされたようで、凄く恥ずかしいんだけど!
ミズチさんに案内された先には真っ赤な花が1本、蕾のままに姿を現したの。
「花よね?」
首を傾げながら、私はミズチさんをみる。
「そう、これが【アフロディアスの花】さ、皆が語る誓いの花であり、地上の者達は見ることのない幻のような存在さ」
ミズチさんは【アフロディアスの花】が実在する事実は地上のバイキング達は知らないと語り、愛を語る際の決まり文句になっていると教えてくれたの。
そして、私に言ったの。
「カルムの一族はこの花を咲かせられれば、呪いから解放される、しかし、それは人生で一度のみ、許された儀式なのさ、二度行えば寿命が無くなり、塵となる、人生で一度の大勝負さ」
なんか、凄い事になってるんだけど、しかも、花を咲かすとか……私に出来るの!
しかも、私とシュビナだけで咲かさないといけないって言われたの、どうしたらいいのよ!
悩む私に軽く肩を叩くシュビナ。
「気にするな。元々、蕾から花になった事など無いんだ。【アフロディアスの花】は時間の停まった花なのさ。ただ、俺はカミルとこの場に立ちたいと心から感じたんだ」
私が落ち込んでいるように見えたみたいね、でも私は諦めないわ。
それにシュビナの言葉からヒントを見いだしたの。【アフロディアスの花】を咲かせてみせる。