アフロディアスの花言葉です3
ドキッとした、人生で、いぇ前世を含めて初めての求婚だったの。
どうしたらいいのよ……
シュビナの表情に自身は見えない、寧ろ……答えを聞くのを怖がってるように見える。
その表情はどっちを意味してるの……
私の中で“一緒になれない”と“一緒になりたい”どちらが本当の正解なのかがわからなくなっていたの。
「少しだけ……少しだけ気持ちを整理させて、私ね、そう言うの経験ないから、頭の中が大変な事になってるの」
ズルい言葉だと自分で感じたわ、シュビナの気持ちを探ろうと言葉で私はこの場を濁してるんだ……
素直な筈の言葉すら罪悪感に変化する、嫌なら断れる筈なのに……好きなら、受け入れられる筈なのに……
「わかった、少しだけなら待つさ。確り考えて欲しい……いきなりですまなかった」
不意に立ち上がるとシュビナは空を見上げ、私にニッコリ笑うと馬車の方に向けて歩いていく。
なにも言えない自分が情けない……信じていい筈の存在なのに、その一言を口にしようとする度に、心臓を掴まれたように息が苦しくなる……
「王様が行っちゃうよ、カミルちゃん。言いたい事を我慢するとよくないぞ?」
そう声を掛けてきたのはサトウだったわ。
「カミルちゃん。実を言うと人生で2回程、最悪な後悔をしたことがあるんだ、1つは前に話したけど、自分の身勝手で結婚まで考えた人と別れた事だよ……最低な話だろ?」
ええ、よく知ってるわよ……許してあげたけど、蒸し返すように話を語る姿に今もイライラよ。
「確かに最低ね、人のクズね? 言え、人を名乗るのすら、軽蔑するわ」
「う……まあ、そうなるよね。あはは……でも、そのあと2度と謝ることすら出来なくなって、人生が大きく変化したんだ。カミルちゃん。自分を信じるんだ。そうすれば、大丈夫だよって、痛つ!」
笑みを浮かべるサトウに軽くデコピンを食らわす。
本当に最低なんだから、いい加減に美浦海徒の存在を忘れさせてあげないとね。
「サトウ、アンタは許されたのよ! それに貴方の語る女性は幸せな生活を異世界でおくってるみたいよ?」
口からでまかせだった……霧魔法に光魔法を重ね、更に幻影魔法を発動しボヤけた映像を作り出す、其処に私の幼かった時のイメージを映し出させたの。
「これって、日本なのか……」
私すら懐かしくなるような光景だったわ、此方の世界に存在しない自動車、自動販売機、私が地球にいた頃は当たり前に存在した光景が今は懐かしい……
「アララはこのララリルルの女神だったのよ、サトウの考えを話して特別に映像を繋いで貰ったわ、この人は事故だったのよ、女の子を助けようとして誤って落下したの、良いことをしたから転生して今は普通の暮らしをしてる見たいよ?」
全てが嘘って訳じゃない……単純に考えれば嘘のような経験をしてる私達に何処までが現実なのかなんてわかる筈ないんだもの。
ただ、今を生きているサトウに私の存在が重荷になるのが嫌なの。
「サトウ、元気づけてくれてありがとうね。シュビナと話してくるわ」
サトウはそれとなく、手を振り私を送り出してくれたわ。
シュビナにしっかりと私の考えを言いたい、知りたいことも沢山あるんだもん。
「シュビナッ! ハァハァ」
普通に走るってこんなに辛いのね、【特急強化】無しで走る事なんて無かったからなぁ。
全力で息を切らし追い付いた私にシュビナは不思議そうに笑みを浮かべたの。
「カミルがそんなに息を切らしている姿は初めての見たな。話があるなら喜んで聞かせて貰うよ」
優しい笑顔……本当に優しい笑顔なのよ。
「シュビナ、私は……私は貴方と今すぐに一緒にはなれない!」
ごめん、シュビナ……ごめんね。