アフロディアスの花言葉です2
状況が把握できないままに拍手が始まると、シュビナがバトラングの老将でありるマルテ=ドルドを呼び出し、喜び冷めやらぬ無邪気な表情で何かを報告したの。
ドルドも最初は驚き「な、なぁぁぁぁ!」と奇声にもとれる声を上げたわ。
「なんと、アフロディアスの花の誓いを……シュビナ様、本気なのですか!」
ドルドの表情でわかる、なんか不味いのかもしれない……アフロディアスの花って咲かせたら危ない物なのかしら?
それでもシュビナは動じることなく話を進めたの、ドルドも負けじと食い入るも最後はシュビナに押し負けた感じね?
最後にドルドは私に「バイキングの常識は今をもって覆されました。アフロディアスの花が美しく咲きますように」と頭を私にさげたの。
そこから城内は一気に大騒ぎになったの、シュビナは病み上がりにも関わらず、楽しそうに兵士や使用人達と話を進めていく、私だけ蚊帳の外って感じね。
「はあ、シュビナ? 私はサトウとアララを連れて一旦フォレストタウンに戻るわね」
シュビナは優しく頷くと馬車を用意してくれたの、走った方が早いんだけど……シュビナが「カミルを無事に送りたい」と一緒にフォレストタウンに向かうことになったの。
フォレストタウンに着いたのは真夜中だったわ、それにも関わらず、オルバ村長、ロン村長、スキン村長、アンドレアを含む皆が集まり私達の帰りを寝ずに待っていたの。
「馬車だ、馬車が来ました!」と大きな声が聞こえる。私が馬車で戻るなんて、皆ビックリよね?
私の到着と同時に姿を現したシュビナの存在に皆が膝を付き頭を地べたにつける。
王であるシュビナがが来たなら当たり前の振る舞いなのだろうけど、シュビナはそれに声を上げたわ。
「やめろ! そんな物は古き風習だ。頭を上げてくれ、服も汚れるし、子供達に親であるお前達のそんな姿を見せるな、堂々としていてくれ」
シュビナは本当に不思議な王様だわね、今までの王がどれ程、凄かったとしても、シュビナのように国民を一番に考える王ではなかった筈よ。
そんな時、フォレストタウンの住民達の驚きの声が私の耳に入ってきたの。
「本当にカミル様がアフロディアスの花言葉を……おめでとうございます。カルム国王陛下。心より喜び申し上げます」
なんか、アフロディアスの花って本当に凄い花なのね、ジュレにも咲かせられなかったらどうしようかしら?
不安だわね、取り敢えず落ち着かないと、アフロディアスの花について今更だけど、調べないといけないわね。
そんな私にバイキングママさん達が駆け寄ってきたの。
「カミルちゃん。アンタよく決心したね。私達は嬉しいわよ」
「そうよ、人とバイキングの歴史を大きく変えることになるわね」
「うんうん。本当に凄いわ。今の子は大胆な事を考えるね」
ママさん達の発言に私は勇気を出して質問をすることにしたの。
「あ、あの……アフロディアスの花ってどんな花なのかしら? 実はどんな花か知らなくて、教えて貰えないかしら?」
私の発言に表情を凍りつかせるママさん達、私なんかマズイことを聞いたのかしら?
「か、カミルちゃん、まさか! アフロディアスの花言葉を知らずに受けたの!」
「まさか、流石に何か知らずになんて……ねぇ?」
「て、照れ隠しですよね? 本当に知らないなんて事があったら、ね、ねぇ?」
互いに顔を見合わせ話を濁すようにするママさん達、明らかに知らないとマズイ事になる感じね……
「あ、あの……」と質問しようとした瞬間、ママさん達の顔が再度凍りついたの。
「私達は行くわね、御幸せに。アフロディアスの花が美しく咲きますように」
「「アフロディアスの花が美しく咲きますように」」
逃げるようにバイキングママさん達は私の前から姿を消したの、そして私の背後にはシュビナの姿があり、満面の笑みを浮かべていたの。
「カミル、挨拶は終わったかい? 全てが済んだなら、少し二人で話さないか?」
私はチャンスだと感じながらも、1つの答えに辿り着こうとしていた。
もし本当に私の考えが正しいなら……アフロディアスの花は求婚の合図のようなものに違いないわ……
二人きりの川辺、隣同士で座る私達、凄くドキドキする……今までこんな風にシュビナを感じたことなかったのに、意識したら急に顔が見れないわ。
「ね、ねぇ? シュビナ……」
「カミル。アフロディアスの花言葉はバイキングの求婚の際に語る誓いの言葉だ。俺はお前が好きだ。妃としてバトラング王国に迎えたい」