アフロディアスの花言葉です1
地下での激しい半日が終わり、私は何故か、シュビナと共に夕食を食べている……
私の膝枕から目覚めたシュビナに夕食を一緒に食べて欲しいと頼まれたからなんだけど、面子が凄いのよね。
若返ったミズチさんに、人に姿を変えたディーラ、そして……
「凄く美味しいですねカミル。私まで呼ばれて本当に申し訳ない気持ちで一杯ですね、あ! これ御代わり御願いします」
私の横にアララ……ディーラとミズチさんの共通の知り合いだからと、シュビナは快くアララの食事への参加を許可してくれたの……まあ、許容範囲と言うかなんと言うか……
「もっとゆっくり食べなさい、せっかくバイキングの王であるシュビナ君が用意してくれたのだから?」
「そうですのん、まったく、アラナラムル、貴女は自分に正直に成りすぎなのん、少しは毅然とするのん。あ、確かに美味しいですのん……」
食事の席にマルルとパルムの神様コンビまでいるのよ……
流石のシュビナも驚きを露にしてるし、ディーラはまあ普通に食べてるけど、ミズチさんに関しては、料理の味がわからない程に動揺してるし!
こんなメンバーで食事をすることになったのは、単純にアララの思い付きよ。
全てが終わりを迎え、アララが遅れて飛んできたの。
「カミルーー! 大丈夫ですか、無事ですか? 怪我はないですか!」
私に抱きつき泣きそうな表情を浮かべるアララ、本当に心配してくれてたんだなぁと実感したわ。
問題は此処からよ……シュビナが迷惑をかけたからとアララにも何か御返しをしたいと口にしたの。
………………
…………
……
「此度は、我等がバトラング王国の問題の解決に御尽力を貸していただき感謝いたします。神、アラナラムル。どう礼を返せばよいか、検討もつきません。愚かなる我に宜しければお教え願いたい」
「なら、皆さんで食事にしましょう。それにね、バトラング王国の事を心配して毎日見てる方がいるから、是非、会って貰いたいの」
こんな感じの会話で食事会にアララの参加が決まり、私もディーラとミズチさんを食事に招待するようにシュビナに伝えたの。
……
…………
………………
まあ、流れはこんな感じね? でも、普通に女神が神様を食事に釣れてくるなんて思わないじゃない。
マルルに引っ付いて、現ルルリララの神パルムまで来るし、本当にシュビナには悪いことしたわ。
まあ、シュビナはマルルに話し掛けられて、珍しく緊張してるみたいね?
それに厨房も今回は戦争ね? 因みに今回は厨房にサトウが助っ人で入っているわ。
バトラング王国の料理人だけだと、肉料理……主に焼き物か煮物が主流になるから、“煮込み好き”のマルルや“甘党”のパルムも居るとなると、他の調理法を取り入れる必要があったのよね、煮込み料理とスイーツ作りを目的に急いで来てもらったってわけね。
本当に不思議な食事会だわ。神様に女神が二人、神獣に不死の魔女、伝説級のバイキングの王様、まるでおとぎ話ね。
そんな事を考えている間に料理が終わり、食後の紅茶が運ばれる。
私は満足そうな神々を見つめながら微笑みを浮かべていたの。
「本当に自由人、いぇ“自由神”ね」
そう口にする私の後ろからシュビナが歩みより、振り向くと笑みを此方に向けてきたの。
何を考えてるのかしら、わからないけど、普段よりもいい笑顔にみえるわね?
「カミル、アフロディアスの花を共に咲かせては暮れないか? 俺はカミル、お前と共に咲かせたいんだ」
いきなり何言ってるの? 花を咲かせたいって、そんなに難しい花なのかしら?
返答に困る私はそれとなく、ミズチさんに小声で質問をする。
「ミズチさん、アフロディアスの花って何?」
「う? そうね、花より、一緒に花を咲かせたいと思うかを先に言うべきかな?」
私はその言葉に軽く頷く、樹精霊のジュレもいるから花くらい咲かせてあげられるもんね。
「シュビナ、いいわよ。私が一緒にアフロディアスの花を咲かせてあげるわ」
その瞬間、マルルが私とシュビナに拍手をしてきたの。
「おめでとう、カルム=シュビナ、そしてミルシュ=カミル、神々が誓いを見届けたぞ」