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バトラング王国は謎だらけです6

「まぁ、冷静に考えたら、生きてるんだし名前があって当たり前ね」


 少し気になるのは、何故普通に働いているのかね。見渡しても見張りの姿はないわ。

 更に言うなら、地上よりも畑に対する知識があるみたいに窺えるわ。


 数秒の静けさが無くなったのは一瞬だったわ。


 背後から視線を感じた時、振り向く前に相手からの質問が開始されたの。


 早い話が出口の周りは丘になっていて、他には何もないわ、身を低くして下にある町を眺めていたけど、一ヶ所に長居しすぎたわね。


「儂の気配に気づいたか、生意気な子だねぇ、しかし……脱獄を手伝いに来たようには見えないねぇ?」


 不思議そうにそう尋ねる声は、かすれた老婆のものであり、皮肉にも私が地球に生きていた時のお婆ちゃんの声に似ていたわ……


「生意気か、確かに私は生意気かもね……でも、友達の為になら少しくらいは意気がるのが当然よね!」


 低い姿勢から先に地面を砂に変える、そこから両手に風魔法を作り出し一気に砂を舞い上がらせる。


「何じゃ、砂が大量に」


 砂が巻き上がると同時に立ち上がった私の前には小柄なお婆さんが一人だけだったわ。


 通路で追ってきた黒フードも畑にいるのもバイキングなのに凄く不思議な感覚に襲われたわ。


「貴女は誰なの、見た感じバイキングには見えないけど、あと話がしたいの、貴女の足元の魔法を解除してくれるかしら?」


 風を巻き上げたまま、そう問いかける私にお婆さんは驚いた表情を見せたわ。


「まさか話しをする気だとは、予想外だね。しかし、冷静だね? 普通は老人相手なんだ、殆どが踏み込んでくるんだがね?」


「私って臆病なの、特に老人には敬意と警戒を重んじるタイプなのよ」


 お婆さんが指を軽く“パチン”と鳴らすと魔法が解除されたのが確認できたわ。


「話し合うなら、そちらも魔法を解除して貰えると助かるんじゃがな? それともまだ、こんな老人が怖いかね?」


 少し挑発的な口調だったけど、敵意を感じない、複雑な気分だわ。


 風が無くなり砂がゆっくりと地面に舞い戻る。


 私とお婆さんが互いの姿を確りと見つめあう。


 本当に小柄なお婆さんね? 寧ろ身長が低いくらいでビックリだわ。


「小さいのぉ? 儂の眼が呆けたのかと思っておったが」


「お婆さんも大概よ? 早速本題よ。シュビナの呪いを解いて貰えるかしら!」


 お婆さんは私を確りと見つめて口を開いたの。


「それは出来ないねぇ?」


 

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