バトラング王国は謎だらけです2
私は今、凄く不機嫌なの、今日の朝の事よ、魔獣の森から帰ってきてシュビナと別れてから2日が経ったわ。
夥しい量のバイキングの名前を村ごとの名簿に記しリストを作り上げた私は城に届けに行ってあげたの、そしたら……シュビナの奴、私に会いたくないと兵士に言わせたのよ。
怒りで城を破壊してやろうかと思ったわ、リストを兵士に渡して直ぐ、ハニーフォレストに戻ってきたの。凄まじい敗北感だわ、まったく。
「まだ気にしてるんですのか? お嬢様が会いに行って会わない美的センスの欠片もないような愚王の存在など忘れましょう」
紅茶を注ぎながら冷静にそう口にするメルリ。
「でも、大使として来てるのよ、そう言う訳にもいかないわ」
「お嬢様、何とお優しい、ですが、あくまでも大使は肩書きです。いっそのこと、ベジルフレアに里帰りなどいかがですか?」
里帰りか? 考えてみれば、短い間とは言え、確かに【故郷の村】には帰ってないわね。
「帰るにしても、フォレストタウンの皆に話してからよ。それに一時帰宅よ! まだバトラング王国で試したい事もいっぱいあるんだから、あとシュビナにも直接話さないとね、大使が派遣先を離れるんだから」
私の顔を冷めた表情で見つめるメルリ……目が怖いわね……
「お嬢様……なんて律儀なんですの! 私は私は、自分の腹黒さを呪いたい……」
メルリの変なスイッチが入ったとところで、私はフォレストタウンの皆に1週間程、里帰りをしようと考えてる事を話したの。
一旦、バトラング王国から海に出て、マドラッドを目指す形になるから、滞在期間と行きと帰りの日にちを合わせると約1ヶ月程、バトラング王国から離れる事になるのよね。
「カミル様。我らはカミル様の意思を尊重します」
「そうです。カミル様が、帰ってくると言うならば一月も二月でも待ちます」
フォレストタウンの皆は本当に私を信頼してくれてるのね、なんだか涙が出てきちゃうじゃない。
あとはシュビナの許可ね、勝手に帰ると流石にマズいじゃない?
「メルリ、シュビナに会いに行ってくるわ。午後の授業は読み書きと農業なの、頼めるかしら? 農業に関してはロクさんがなんとかしてくれる筈だから」
「かしこまりました。お早いお帰りを御待ちしています。くれぐれもお気に為さらず、シュビナ王とゆっくりお話下さいませ」
言葉と裏腹に目が笑ってないなぁ……分かりやすいと言うかなんと言うか。
「取り敢えず、あとを御願いね。なるべく早く帰るから」
「サトウ、午後の授業は貴方に託します。私はお嬢様の純潔を守らねばなりませんので!」
「え、あ! メルリ、行っちゃったよ? 絶対にカミルちゃん怒るぞ」