大使以上のお仕事です1
私の行動は大きな変化をバトラング王国にもたらしたわ。
1つ、先ずは税に関しての考え方。
今回、私は半年もの間、税を住民から集めず、労働を代価にする事で全てを賄ってきたわ。
税金とは金品だけにあらず、働いて税金を稼ぐのではなく、働いた人の税金を国が賄う新たな取り組みよ。
税を一日換算にして、【税金】+【生活費】=【給金】と言うシステムを作り上げたの。
元々、贅沢品の少ないバトラング王国で生活必需品以外の賃金の使い道はあまりないの。
唯一と言うなら、武器の手入れと怪我などの治療費だったけど、それも税で賄う事をシュビナが約束してくれたわ。
その分を賄うのは、私が預かっていた元の金品や財宝ね、システムが起動するにあたり、シュビナが財の管理を私に任せると言ってきたの。
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「っと言う事でバトラング王国は正式にベジルフレア王国にミルシュ=カミルの大使としての派遣を願い出た。今までの流れから問題ないと言うことだが……勝手をしたね、すまない」
シュビナから説明を受けながら私は少し頭を悩ませていたわ。
「大使って! しかも、私が財産の管理するわけ! あんたの国なんだから、バトラングから人材を捜しなさいよ」
流石に一国の財を全て管理するなんて無理!
「まぁ、そう言われると思ってはいたが、此方も引き下がる気はないんだよね。カミル以上の人材を俺は知らない、聞いた話じゃ、領民の顔を半日で覚え、更に癖や村の配置までを一日で暗記したと聞くじゃないか?」
【暗記者】と【絶対記憶者】の能力だわね、流石に飛ばしすぎたか……ハァ
「私が財産の持ち逃げをするとか、考えないわけ?」
私の顔を見て、不敵な笑みを浮かべるシュビナ、嫌な顔ね?
「本当に持ち逃げする気なら、既にバトラング王国には居ないだろ? それにカミルがいなければ、この国は既に破綻寸前さ、元より国が今も存続していること事態が不思議なくらいなんだからな」
不敵に笑ってからの寂しそうな顔に少し言葉を失ったわ。
「あぁぁぁ! 分かったわよ! どうなっても知らないわよ。それなら明日からバトラング王国の全ての国民を7日間にわけて、集めて頂戴!」
「あはは、7日間で全てを片付けるきなのか? 半年は掛かると思っていたがな、本当に驚かされる。だが、10日は欲しい。国民を連れてくる馬車が足りないからな」
シュビナは凄く笑っていた。凄い面倒を押し付けられたのに、不思議と嫌じゃない自分が御人好し過ぎて嫌になるわ。