フォレストタウンです4
領主同士の戦いは本来は国を脅かす行為となるので、本来はどの国も厳しく禁止している、でも、バトラング王国は下克上の国であり、領主同士の決闘を認めているの。
「先に喧嘩を売ってきたのはアンタなんだから、覚悟しなさい! 絶対に赦さないんだから」
「口の聞き方を知らぬようだな! 我はアンドレア領の領主、アンドレア=ドイヤである! キサマも名乗るがいい!」
子供と侮ってるのかしら? まあ、その方が気楽ね。
「私はミルシュ=カミル! ウトピア、サンス、ユサナの三つの村と領地を任された者よ」
声を張り上げ、真っ直ぐにアンドレアを見下ろしそう言うと真っ赤な鼻を更に赤くしてアンドレアが起こり始めたわ、赤鼻のトナカイなら可愛げもあるけど、バイキングの赤鼻は可愛くないわね?
「ならば、1対1の領主同士の決闘を申し込む! ただし、今すぐに我が前に膝をつき、謝れば許してやろう。だははは」
「良いわ。なら、今すぐに終わらせましょう」
アンドレアは私が膝をつき謝ると考えたみたいで豪快に笑い出したわ、いつまで笑えるか知らないけど、謝る気はないわ。
「それで、決闘のルールを教えて頂戴、始めるにしても、禁止事項を知らないと反則なんて言われたら、暴れちゃいそうだし」
余裕を語り、勝負を受けると口にする私にアンドレアからの使者がルールを伝えに来たわ。
これがまた、大人げないと言うか、情けなくすら感じるわ。
●攻撃魔法の禁止。
●1対1での決闘。
●勝者は相手の土地、人材を含む全ての物を自身の所有物とする。
●この決闘は正式な物であり、無効に対する異議申し立てを行わない。
と、他にも、飛び道具の禁止や毒物の使用禁止、次から次に条件が伝えられたわ、本当に呆れちゃうわね。
「はぁ、御託はいいわ。面倒だから、あの町からバカ領主を呼んできなさいよ。命賭けるケンカにルールなんて不要よ」
私はそう言いながら全身に怒りのオーラを纏い、指を鳴らす。
「あ、あの……」
小さな私の怒りを感じて泣きそうな使者に少し同情してあげるか、私ってば優しいわね。
「でも、攻撃魔法を使わないってのと、領地を指し出すって話は受け入れてあげる。貴方が領主に報告してから5分待ってあげるから、行きなさい! 因みに5分過ぎたら私から乗り込むから、それも伝えなさい!」
アンドレアの使者が慌てて帰る姿を確認後、私は皆に待機するように伝える。
一人でアンドレア領を見渡せる丘に姿を晒し、アンドレア領から私を眺める敵に向かって大きく“あっかんべー”をして見せる。
煽りは大切よ、特に自分が有利だと考えてる相手はプライドで動き出してくれるもの、あっという間にアンドレア領から領主【アンドレア=ドイヤ】とその部下達が私の元に向かって魔獣を全力で走らせて来てくれたわ。
「皆は今から私の戦いの承認よ……巻き込まれないように離れて見てて」
私は下から上がってくるアンドレアの部隊に対して丘から飛び降りるとアンドレアの前方に着地する。
勢いで突っ込んでくるアンドレア達に対して軽く手を前に動かすように動作をすると凄まじい突風に魔獣達が前足を大きく天に伸ばし、その場でアンドレア達が足を止める。
「改めて初めまして、私はミルシュ=カミルよ、赤鼻の領主様」
「ぬぅぅぅッ! 我をバカにしよって! このアンドレア=ドイヤ様をバカにして只で済むと思うなよ、人間がッ!」