フォレストタウンです3
昔々ある処に、魔獣に襲われた町がありました、しかし領主は、魔獣達を他の領主の住む町へと追いやることにしたのです。
その結果、敵にしてはいけない相手を敵に回した愚かな存在がいました。
その愚か者はその事実を知らずに……
「村も町も私が貰い受けるわ。“宣戦布告”したのはそっちなんだから、アンタの所のバカ領主にはしっかりと御礼をさせて貰うわよ」
逃げてきたバイキングの青年に再度、私達が向かうのは救援で無いことを告げた私は使い魔と領地の戦士達を連れて怒りのままに歩みを進めていた。
単純な力の差を見せつける、それは何時の世も変わらぬ勝利の法則に他ならない、絶対に泣かせてやるわ!
私に喧嘩を売った領主が統治するアンドレア領に【ラクーマ】討伐後、直ぐに向かった私と領地の戦士達、アンドレア領に赴いてみれば、無数のラクーマの大群に包囲され身動きが出来ない姿に怒りより情けなさを感じたわ。
「なによ! 出入り口に内側から荷物を積んで籠城のつもりかしら? あんなのラクーマが本気になったら簡単に中に入られて逃げ場がなくなるだけじゃない」
私の言葉を再現するようにアンドレア領の町を回りながら見つめるラクーマ達、でも、私からしたら邪魔でしかないわ……
単純な怒りの矛先を言葉に乗せ、優しく凍りつくように私は声を発したわ。
『|邪魔よ……今すぐに帰りなさい……《命が惜しいなら、本気で逃げなさい!》』
デンキチ達すら、私から一歩後ろに後退する程の威力よ。
勿論、免疫の無いラクーマ達から擦れば、絶大な恐怖になった筈よ。
リーダーのラクーマかしら? 私をジッと見つめてから、そっぽを向くとラクーマの大群を連れてアンドレア領から引き上げて行く、その光景に皆が驚きを露にする最中、アンドレア領の表門が開かれたわ。
領中からは明らかに成金趣味の鎧を装備したバイキングとしては残念すぎるバイキングが姿を現したの。
「アハハハハハ! 我が甲冑の輝きに恐れ、逃げるがいい! だははは」
部下を引き連れ、ラクーマが居なくなった大地に槍を突き立てバカ笑いする男、ハッキリ言うとしたら……うん、嫌いなタイプね。
私はバイキングの青年に取り敢えず、バカ騒ぎをしている人物の事を尋ねたわ。
「何なのあれ?」
青年は恥ずかしそうに私に「あの方がアンドレア領の領主でアンドレア=ドイヤ様です……」と教えてくれたの。
名前も態度も更に真っ赤な鼻も含めて残念な領主ね……多分、罪悪感なく戦えるわね。
自身の勝利のように鼻高々に笑うアンドレアに対して私は声を張り上げたわ。
「何が勝利よ! アンタなんか、ラクーマ達が居なくなってから吠えてるだけじゃない」
私に反応するように眼差しを向けると人差し指を確りと私に向けてきたわ。
「キサマッ! 我が勝利の喜びにケチをつけるとは、小さきサイズを見るからに人の子ではないか、この命知らずがッ!」
「うるっさいわよ、この赤っ鼻が! 今から更に真っ赤にしてやるから覚悟しなさい!」
怒りに油を注ぐようなアンドレアの態度に我慢の限界ね、泣かす……絶対に泣かしてやるわ!