カミルの拠点ですが?
私、ミルシュ=カミルは6才と11ヶ月が数日過ぎた。いよいよ私も召喚の儀を行う日が刻々と近づいている。
「ママ、森に行ってくるね」
そう言うと何時ものようにママが笑顔で手を振り私を送り出してくれた。
森の側の草むらにはパパと兄が剣の稽古に夢中になっている。使い魔のクエンも私達にその姿を見せたので堂々と主であるタウリの姿を見ていた。
タウリは私が7才になったら共に王都に向かおうと約束してくれている。既に9才になっているタウリは剣士になるべく王都に向かうらしい。
クエンが居るが召喚士や魔獣使いではなく、やはり剣士がいいそうだ。いつも『男は剣だ! 妹を守るならば剣を強くなるしかないぞッ!!』と口にするパパの影響だろう。
娘を溺愛するパパにしてシスコンの息子似た者親子が……
そんな私は鼻歌を唄いながらデンキチの肩に乗り、読書をしながらスカーと3人で森に進んだ。最近はアララも会話に参加する事も増えていた。寂しがり屋の隠れステータス爆発のアララは2人同様に可愛すぎる……ふふ。
『カミル。森についたよ?』
読書を楽しむ私の耳にデンキチのマイペースなのんびりした声が入ってくる。
『主、今年も楽しみだな?』
「ええ。半年ぶりの採集だからね。皆頑張ってくれてるかしら?」
『大丈夫だよ~。カミルの使い魔は皆優秀! 特にデンキチ優秀!』
私とスカーは自分で“優秀”と口にするデンキチについ笑ってしまう。私達の森に来た目的は蜂蜜採集。
グレイトボアの1件以降、私の使い魔は更に増えていた。
・クイーンビーのクイーン。
・ドン・トレントのボス。
・グレイトボアのメガ。
クイーンは自分から私に使い魔の話を持ち出してきた。正直驚いたけど、グレイトボアの1件で私達と仲間になりたいと言うことらしく……代わりに蜂蜜も分けてくれるって言うし一石二鳥で私は大助かり。
ボスは、森で暴れてたんだけど……デンキチと力比べして負けちゃってからデンキチを親分の様に慕い仲間にしてくれと言ってきたわ。
最後メガは、ビッグボアから更に大きくなったハグレのグレイトボアを退治して仲間にしたのよ、寂しさから暴れてたのが解ったし、メガは賢いの! 他のボア系と違って、ちゃんと私の言葉を理解してくれたわ。賢い子は素敵よね?
私達は森の中心にあるクイーンの蜂の巣を目指した。
「オーイ! クイーン。元気してた」
姿を見て直ぐにクイーンとハニービー達が私の周囲に集まりハグをしてくる。ヌイグルムみたいなフカフカボディに抱きつれたら幸せになるんだよねぇ~。
私の自慢の養蜂場には、クイーンの他に3匹のクイーンビーが巣を造っている。クイーンの娘達で私も仲が良く大切な友達ね。
そして、その横には、ボス達が必死に蜂蜜を溢さないように自身の空の木の実の中に詰め込んでいる。ボス達に頼んで養蜂場の手伝いをしてもらってる。トレントの木の実は固く強固で中身を空にする事も出来ると知り私の頭に閃いたのがトレントの木の実を入れ物にすることだった。
それにより、ハニービー達は必要以上に蜜を集めてしまう習性があるが無駄に為らず更にトレントの木の実も無限に再生する。
そうなると、蜂蜜を狙う人やモンスターが現れるけど、メガが他のボア達のリーダーをしながら養蜂場の警備をしてくれてるの。
3匹のリーダーモンスターを使い魔に出来たことは幸運だったわ。
「皆、今日は蜂蜜を採取に来たんだけど、その前に『木の実蜂蜜』を5個だけ貰うわね」
私は木の実を袋に入れると更に森の奥に向かう、目的はスタンプモームだ。
私の留守中に何かあっても大丈夫にしたかったからだ。つまり私の異世界ライフの拠点になる森の養蜂場を森のボスに守護して貰うのが今回の目的だ。正直、大丈夫だとは思うけど? 味方は多いに限る! あとあのモフモフドレッドに触りたい!
「私の養蜂場の番人に森のボスをスカウトできるかな?」
『カミル、流石に無理じゃない?』
『何を弱気になっている。デンキチよ主を信じよ。俺は主ならなんでも手に入れると信じてるぞ!』
賑やかに歩く私達は森のボススタンプモームの居る泉を目指して突き進む。
私の養蜂場の番人スカウトなんだから頑張らないと! ファイト~私!