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常識は誰かがつくる物です1

 私が目覚めたのは朝と昼の間くらいの時間で、シュビナからの手紙を寝ぼけ眼で拾い上げ、内容を確認する。


 内容は領主が私になったので、税金の基本額を決めて報告してほしいと言う内容だったわ。


「税金ねぇ……ファンタジーじゃないわね・・・取り敢えず保留……って訳にもいかないか、はぁ……」


 頭を抱えながら問題が増えたと考える私であったが、此処で私の頭の中で複数の考えが高速回転して、混ざり合い新たな考えを生み出した。


「フフッ、少しバトラング王国の常識をぶち壊すとするかな。私に領主を任せたんだから、文句は言わせないわよ」


 税を請求する事は間違いでは無いわ。そうしなければ、領地の整備や勢力の拡大、領主の生活も成り立たないもの。


「メルリッ! 今からシュビナの所に行ってくるわ」


 私は皆に『作業を明日から再開する』と伝え、デンキチとスカーと共にシュビナの城に急いで向かう。


「楽しくなりそうだな? 俺も一緒にいってやるよ」とビルクが私のフードに飛び乗り、四人で城を目指す事になったわ。

 不安って訳じゃないけど、ビルクが余計な事をしないか少し心配だわ。


 全力で走ると二時間もせずに目的地に到着したわ。

 いきなりの訪問に門兵達が慌ただしくなると少し罪悪感が生まれたわね。


「連絡無しの訪問はやっぱりマズかったかしらね?」


 そう言い頬を指で掻くとデンキチが一言『カミルに常識は通じない』と言ってきたの、失礼しちゃうわよね?


「いきなりで悪いんだけど、税金の件で王様に用があるの。門を開けて貰えるかしら?」


 領主が王を訪ねる際には事前に話を次から通すことにするとして、今回は面倒だから、このまま押し通す事にするわ。


 門が中々開かない苛立ちを顔に出す私に門兵は眼すら合わせなくなったの。


「いい度胸ね……本当に“苛ついたわ(感心したわ)”、なら私は好きにやらせて貰うから、シュビナにそう伝えて」


 私が立ち去ろうとすると門が開かれる。


「おいおい、短気すぎないか? カミルを出迎えるから何もするなと命令したんだが、怒らせてしまったな。さぁ、王宮で話を聞かせてくれ」


 シュビナの出迎えに皆が頭を下げる最中、私は堂々とシュビナに頷き、後ろをついていく。


 デンキチとスカーは私の影に入り、ビルクは何故か頭に乗っかってる……一番偉そうにしてるから、本当に図々しい奴だわ。


 シュビナの部屋で本題に入る。


「シュビナ。税の事だけど」


「ああ、金額が決まったのか? まあ、カミルなら心配ないと思うが民の苦しまない程度にしてやってくれ」


 そう言い部屋に置いてあるグラスに水を注ぎ口をつけるシュビナ。


「税を廃止するわ」


 “ブッ!”と私の発言に水を吐き出す音が室内に響く。


「ゲホっゲホっ、本気なのか!」


 予想よりも激しく動揺するシュビナに私は笑いを堪えるのに必死だったわ。


「え、えぇ。本気よ、クスクス……私が領主だから、クスクス、構わないわよね」


 シュビナは驚き、手に持っていたグラスをテーブルに置くと再度私を見つめる。


「領民は大丈夫なのか? 税がなければ、そうだ、蓄えが底をついた際にどうするつもりだ?」


 シュビナの表情が変わり、王として私に質問を投げ掛ける。

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