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プロローグの終わりなんですが?

 私達の攻撃は単純な力業……しかし、負ける気がしない!


 デンキチを前方、私とスカーがその後ろを駆け出すとデンキチの巨体をいかしたタックルがビッグボアを次々に凪ぎ払う。私とスカーは両サイドから別れてビッグボアの駆逐を開始した。


 ビッグボアは巨大だけど然程防御は強くないからデンキチのタックルで殆んどが戦闘不能状態になっていた。


 此なら行けるわ!


 そんな時、マップが突如開き、私達の方に別の方角から物凄い勢いで向かってくる赤い点滅を知らせた。


 木々を凪ぎ払い地響きと共に姿を現したのは更に巨大なグレイトボアだった。


「なぁ、なんで……グレイトボアまでいるのよ!」


 マズイ……流石に数が多すぎるわ。


 私達の周りには気絶していないビッグボアが5頭、更にグレイトボアが1頭とその後ろにビッグボアが6頭の合わせて12頭に周りを囲まれている。


「デンキチ、スカー……全力で逃げるわよ!」


『悔しいが! 主よ承知した』


『カミル……ハニービー達はどうするの?』


 いけない、忘れてた。


「ごめんデンキチ、スカー……作戦変更よ! 時間を稼ぐ!」


 私のお人好し! もう、バカバカバカバカ……ハァーーーッ!! いくわよ!


「ハニービーッ!! 聞きなさい! 今から時間を稼ぐから直ぐに逃げなさい!」


『カミル。アハハ! デンキチガンバる!』


『主よ、死ぬことは赦さぬ! 俺の後ろに隠れていろ』


「冗談言わないで! 遣るからには3人で勝つわ」


 なんでだろ、こんなに危険なのに3人なら負ける気がしない!


 私は無我夢中で走り出すとデコピンではなく拳を握っていた。


 デンキチがビッグボアの大群を一人で引き受け、私を庇うように戦うスカー。


 しかし、スカーが一瞬私から離れた隙をついてグレイトボアが突進してきた。


『餌だ! 餌だ!』


 ボア系は何で! 何でも餌に見えるのよ!


 私が突進を躱すと透かさず方向転換をして地面を踏み固めるグレイトボア。


「アンタ、今さっき、私とスカーが離れた瞬間を狙ったわね? 話し合う気はないのかしら?」


『話? ガハハ、なら俺の胃袋に入れてからゆっくり聞こうじゃないか!』


 あ、やっぱりダメだ……こいつも他の奴と一緒だ。どいつもこいつも……


 私目掛けて突進してくるグレイトボアを見てデンキチとスカーが慌てて私の方に走って来るのが見える。


 ごめん二人とも……


「私わ……体目的で近寄ってくる奴が一番嫌いなの!」


 私は即座に地面を蹴り更に空中で一回転するとグレイトボアの脳天にキツい(かかと)落としを御見舞いした。


 ・『全ての職を極めし者(マスタージョブ)『蹴りの達人』を取得しました』

 ・『全ての職を極めし者(マスタージョブ)『八つ当たりの女王』を取得しました』


 グレイトボアがその巨体を地面にめり込ませると同時にビッグボアの群れに大量の弓矢が向かっていく。即座に私とデンキチ、スカーは退避したがビッグボアの群れは弓矢の餌食になり沈黙した。


「なんなのよ……」


 私がその光景を目の当たりにした直ぐ後に草を掻き分けるような、ガサガサという音が聞こえ、私はマップを開いた。


 辺り一帯を覆うように緑の点滅が(ひし)めき合い陣形を作っているのが直ぐにわかった。私はデンキチとスカーを大木の影に隠れさせるとマップの中を1つの緑の点が此方に向けて移動を開始するとそれに合わせて点が動き出した。


 草むらから馬に乗った男が姿を現すと私を見て馬を降り走ってきた。


「大丈夫か! まさか、こんな子供が居るなんて! もう大丈夫だ怪我はないか」


 私を心配する男はそう言うと私に怪我がないのを確認して安心していた。しかし、私の怒りは収まらない!


「危ないじゃない! もう少しでデンキチとスカーに矢が当たる所だったのよ」


 男は私が怒る姿に動揺していたが直ぐに表情を改めると私に頭を下げた。


「すまなかった。君の友人も無事だと言う事が分かって安心した。それで友人達は何処にいるんだ? ちゃんと謝罪がしたいのだが?」


 悪い奴じゃないみたいね? 取り敢えず出方を窺うか。


「デンキチ、スカー。出てきて」


 声を聞き姿を現したデンキチとスカーを見て男は驚きを表情に露にしていた。ビッグボア程あるデンキチを見たら最初はみんな同じ顔をする。


「友人……かな?」


「私の使い魔のデンキチとスカーよ。グレイトボアの方に走って来てなかったら危なかったんだからね!」


 男はデンキチとスカーに謝罪を素直に済ませると私の言葉を確かめるようにグレイトボアの側に駆け寄った。


「な……本当に矢傷がない……君の使い魔が仕留めたのか?」


「グレイトボアを仕留めたのは私であそこのビッグボア達を仕留めたのが二人よ」


 どうだ! 私達の実力を見たか。


 鼻高々に胸を張る私に男は突如、手を握り顔を近づけた。


「君は何て名だ! あと何処に住んでいるんだ!」


 な、なに? いきなりナンパ? この世界はシスコンとロリコンしか居ないのか……たく……


「いきなり失礼よ!」


 私の言葉と態度に慌てて手を放す。そして、男は自己紹介を始めた。


 見た目は好青年で髪は赤、年齢は22と言っていたわ。名前が、トリム=ルフレ。料理みたいな名前なので覚えやすいのが嬉しい。


「私はミルシュ=カミルよ。アマト村に住んでるわ」


 私も自己紹介を軽く済ませるとルフレは再度、私を見つめていた。


「カミル。王都でその力を振るう気はないか?」


 は? スカウトですか?


「無いわ! それに王都には7才にならないと外の村の子は入れないのよ? 皆知ってる常識なのよ?」


 そう、王都の外で生まれた者は7才になり、召喚の儀を行わないと王都には入れない。さらに魔法使いを目指すなら8才、騎士なら9才と法律が決められている。


「いや……しかし、使い魔がいる以上? 幼く見えるがカミルは7才になっているのだろう?」


「私はまだ……4才よ……」


 そこからのルフレの驚き様は凄かった。そしてルフレは自分達がグレイトボアの討伐に来た事とモンスターが以上発生した事を私に話してくれた。


 別れる前にルフレは更に使い魔を自身の影に隠せる事を私に教えてくれた。此は最近になりわかった事であり、悪ガキ達も影に使い魔が入ることを知っていたのだと私は気付かされた。


「カミル気が変わったら何時でも来てくれ。王都でトリム=ルフレと言えば直ぐにわかる筈だ」


「またね。私も“最小の召喚師”の名に恥じないようにガンバるわ」


「最小の召喚師カミルか、楽しみにしてるぞ。でわ」


 こうして私の名は王都に伝わる事になる。最小の召喚師カミルの物語が今始まる。

長いプロローグが終わりました!


いよいよカミルの物語本編が次回からスタートです。

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