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風の王と最小の召喚師です1

 慌ただしく動き回るバイキング達、私は敵と判断した【風の王】と呼ばれる存在をマップで捜す。


 マップには敵らしい影は写らず、ただ、動き回る多くのバイキング達の反応が点滅するばかりだったわ。


「このままじゃ、敵の姿がわからないじゃない! あぁもう、全員その場に整列して、敵の姿も状況もわからないんじゃどうしようもないわ!」


 私の声に慌てて皆が整列し、離れた場所に居た者達も集まりだす。


 その状況でも【風の王】の姿が確認できない私は村長に詳しく話を聞くことにしたの。


「ごめんなさい村長、皆が騒いでる【風の王】っていったいなんなの?」


 村長は少し説明に困ったと言う表情を浮かべ、首を軽く傾げると徐に口を開いて語り出したの。


「風の王は実態は無く、天候を操り、全てを無造作に破壊する存在です、村に近づけば多くの家屋(かおく)はその餌食になり、村人にも多大な被害をもたらしましょう、バトラング王国の支配下にあっても風の王だけは、討ち取る処か、未だに止めることすら叶っていません」


 バトラング王国の手先だと考えていた風の王の存在がバトラング王国すら悩ませる大物であると分かると私は直ぐに正体を調べる事にしたの。


「村長、一旦調査の為にハニーフォレストを離れるわ。あと、風の王の確認の為にバイキング三兄弟を連れてくわよ」


 私の後ろで頷くバイキング三兄弟、その姿を確認し、メガとその部下であるビッグボアを3体召喚する。


 ウトピア村とハニーフォレストの守りをデンキチとスカー、メルリとサトウに任せるとメガに乗り私達は大地を駆け出した。


 北の王国バトラングに来てから、情報不足過ぎて困るわ、ウトピア村でも、本らしい物もなかったし、風の王の正体を何とか調べないと。


 私達は闇雲に探しても見つからないと考え、風の王が近づいていると知らせに来た村を一旦、目的地として決めると迷うこと無く大地を進んでいく。


 目的地の村に近付くに連れて空気が変わる。

 湿り気のある冷たい空気が頬に触れ、空は次第に黒い雲と白い雲が混じり嫌な雰囲気を作り出していく。


「一雨きそうね、一朗! 村まではまだ掛かるの?」


 後ろを走る一朗達に聞こえるように声を出すと、一朗は声をあげる。


「カミル様! この風は【風の王】が近づいてる証拠です」


 一朗の言葉に私はメガの速度を風魔法で加速させる。


「なら、アンタ達は後から来なさい! 取り敢えず、あの丘に向かうわよ。メガお願いね!」


『任せてくれ! ウララララァァっ!』


 一気に丘に駆け上がった私とメガは眼を疑った……


 私達から見えなかった丘の下側に無数の渦が出来上がり、凄まじい早さで回転しながら次第に巨大化していっていたの。


「何よあれ、竜巻? でも、こんな、いっぺんに複数が同じ場所で出来るなんて」


 私の見てる目の前で同じ方向に回転していた複数の渦が重なりあうと其は更に大きな渦へと変わる、渦が最終的に2つになった瞬間、有り得ない突風が吹き荒れ、私とメガがその場から吹き飛ばされたの。


「うわぁぁぁ! っう、洒落にならないわね、まるで台風と言うか、映画に出てくるハリケーンね、此れが【風の王】の正体な訳ね!」


 巨大な渦が左右に動き出すと片方は海の方角に進み、片方はウトピア村のあるハニーフォレストに進路を向ける。


「こんなの止められないわよ! 不味いわね、非常に不味いわ」


 風が大地から草木を巻き上げ、砂利は渦の周りを周回し、大砲のように辺りに放出されていく、私は自然の力を侮る程愚かじゃない、対策が思いつかないままの私の頭上から小石が凄まじい勢いで襲い掛かってきたの。


「痛っ……」


 それと同時にバイキング三兄弟が吹き飛ばされた私の元に到着したわ。


「カミル様、大丈夫ですか! 頭に今、石が!」


「大丈夫じゃないわ……アッタマきた! あの渦巻きが!」


 慌てるバイキング三兄弟、私は石をぶつけられたくらいで普段なら怒らないわ……でも、今回は私だけじゃないの……隣に居たメガにまで石が当たったのよ。


「アンタ達、離れてなさい。礼儀知らずの【風の王】に確りと礼儀を叩き込むわよ!」

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