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夜を駆け抜ける者達です4

 バイキングのボノルと私の睨み合い、まるで祭りを楽しむように私達の周りを囲む。


 松明の炎が私の顔を照す度に豪快に笑うボノル。


「ダハハハイ! 何時まで睨んでるつもりだ。来ないなら此方から仕掛けるぞ!」


 真っ直ぐに突き出された拳を軽々と躱す私に対して怒りで真っ赤になるボノル。


 次第に攻撃速度を上げて襲い掛かってくる姿は牛ね? バイルと似たタイプのボノルに対して攻撃魔法を使わないことにしたの。


「決めたわ! 私も素手で相手してあげる。ただ、痛いから覚悟しなさいよ!」


 ボノルの突きだした拳を足蹴にして顔面に飛び膝蹴りをかます。


「ぬがあぁぁぁぁ!」


 倒れそうな体を踏み止まらせ、鼻を押さえるボノル。


「呆れるほどタフね? 正直、嘗めてたわ。だから、少し本気で相手するわ!」


 ボノルの全身は鎧で覆われ、頭に兜と上半身に関しては隙がない。


 しかし、バイキングの足元は違ったわ。

 素足に近い状態に(すね)までの半ズボンのような服装……凄く可哀想だけど、泣いてもらうわよ!


 駆け出した私に片手で鼻を押さえた状態で掴みに掛かるボノル、腕が私に向かって伸びきった瞬間、私は物質変化魔法(ホルミレフ)で体重を変化させ、加速する。


 そして、物質変化魔法(ホルミレフ)を逆に発動し、全身の体重を強化すると同時に身体強化魔法(メキロス)を発動し、鋼鉄の足を作り上げるとそのまま、ボノルの脛を蹴り飛ばしたの。


「うんぎゃあぁぁぁぁッ! 足が、足が!」


 のたうち回るボノルの足は真っ赤に腫れていたわ。


「動かないで! 今すぐに治すから」


 私はボノルに回復魔法を使い痛みを和らげたわ。


 その間、バイキング達は歯を剥き出しに怒りを露にしながらも、動かずに待っていたの、少し意外だったわ。


 ボノルの治療が済むとバイキング達は武器を握り、私に対して声をあらげる。


「仲間の回復には感謝するだが、バイキングがやられたまま、敵を見逃せばそれは誇りを失う事に他ならぬ!」


 早い話が、私を力で捩じ伏せると言いたいわけね?


「わかったわ、私も少し()()()()事があったの。それにアンタ達の王にも話があるのよ! 時間が惜しいわ。早くやりましょう」


 私は全身に物質変化魔法(ホルミレフ)身体強化魔法(メキロス)を発動する。


 全身が少しずつ大きくなるようなイメージを重ねた、私はシシリの【大人味のクッキー】を口にした際の姿に変化する。


「待たせたわね! 今からこの姿で相手をするわ」


 スラッとした長く美しい脚、豊満な美しい胸に凛とした少し幼さが残る顔、私は理想の女性像に変身した。


 でも、あまりに魔力の消費が激しいの、ずっと維持するのは無理ね。


 作製魔法(アトリー)で巨大な両手持ちのハンマーを作り出した私は其れを軽々と両手で操り体に馴染ませ、1度船のデッキを小突く。


 其れを合図に、バイキング達は一斉に私目掛けて走りだし、戦闘が開始される。


 そして、数分の間に数十人のバイキングの山が出来上がる。

 私に一撃も与えられぬまま、ハンマーの餌食になり、全員が気絶した最中、ボノルが意識を取り戻して絶句してたわ。


「なぁぁぁぁ、あり得ねぇ! お前……その姿にその大ハンマー……神の戦士か、【神将バルキリー】だったのか!」


 あながち間違っちゃいないわね? マルルの依頼も無理矢理受けたし?


「私はバルキリーじゃないわ? 私はミルシュ=カミル。それより約束よ。アンタ達の王に話があるの! 今すぐに居場所を言いなさい!」


 そんな時、巨大な船が此方に向かって一直線に向かってきたの。


 ボノルはその船を指差すと私に「あれが王の船だ……」と力なく教えてくれたの。


 私が船に移動しようとした時、船の後ろから更に巨大なデンキチが顔を出したの。


『カミル! 見てみて。大きな船。デンキチが見つけた!』


 嬉しそうにそう語るデンキチ。


「中に居たバイキング達は?」


『デンキチがやっつけた! 船の中で寝てる』


 予想外の大手柄なデンキチの行動に私は笑ってしまったわ。

 バイキングの王も捕まえたし、改めて話し合いね。

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