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船旅です1

『その反応は覚えていらっしゃると言う事でしょうか?』


 声の主を忘れる筈ないわ。


「ペンネの部下のカメレオン男じゃないの、なんで此処に?」


 会釈をするカメレオン男。


『マドラッドでは、大変失礼を致しました。今回、私達が出会(でくわ)したのは偶然ですよ』


 沈んだ数隻の小船から海賊を引き上げる為に姿を現した大型ガレオン船に私は言葉を失ったわ。


「なんで、さっきまで何も無かったのに!」


 クスクスと笑うカメレオン男。


 そして、次第に近づいてくるガレオン船から()の海賊船にロープが投げ込まれる。


『ヒルバー=シガーさん! 幾らなんでも軽率ですよ!』


 船に飛び込んで来た銀色の長い髪を靡かせた獣人娘がカメレオン男に駆けるよる。


『いやぁさ、カミル様のお姿に謝罪せねばと急いでしまいました。面目ありません』


 目の前で繰り広げられる光景に私は一人、蚊帳(かや)の外、話が読めずにいたわ。


 私の様子にデンキチが首を傾げる。


『よくわからないけど、敵? 味方?』


 私もそれが気になっていたの、少なくともペンネの部下である事は間違いないし、私達に攻撃する気も無いことは理解できたわ。


『オオオッ! 我が戦において、初の敗北を刻んだデンキチではないか、相変わらずデカく巨大で嬉しいぞ! があはははははッ!』


 ガレオン船から海賊船に更に大柄な男が飛び移る。


 “ズガン!”と言う音を発て、姿を現した男はマドラッドでデンキチが戦った獅子男だったの。


「それで、なんでペンネの部下、しかも幹部クラスよね? マドラッドから離れたこんな海域にいるのよ?」


 私が喋り出した時、凄まじい勢いで金髪の獣人娘が私に飛び掛かってきたの。


 透かさず、獅子男が銀色の獣人娘の首根っこを掴み、私の手前で動きを封じられる。


『痛いってば、パパ、離してよ! カミル様の前で格好悪いじゃないのよ』


 怒りながら、掴み上げられる銀色の獣人娘。


『驚かせてしまい申し訳ない。娘はカミル殿の信者でしてな、興奮してしまい本当にすまない』


 獅子男が頭を下げると銀色の獣人娘も慌てて大人しくなる。


「そう言えば、私達ってちゃんと名前を名のって無かったわね?」


 カメレオン男が一番に頭を下げると名前を口にする。


『私はヒルバー=シガーと申します。マドラッドでの戦闘の際には失礼を致しました。普段はヘルム=ペンネル様の元、マドラッドの戦術参謀を勤めております』


『我が名はガレオン=レーヴェ。マドラッド1の怪力にして、魔王軍の幹部であり、戦ならば将軍として先陣を走る獣人の王です』


『私はガレオン=レオーネと申します。ガレオン=レーヴェの娘で“切り込み部隊”の将を任されています』


 3人の紹介が終わり、本題を再度切り出す事にする。


 私は何故此処に居るのかを尋ねると、マドラッドは私の知らない間に更に多くの海域の長と平和協定を結んでいて、マドラッドは海賊船や奴隷船の駆逐をしているとわかったわ。


 なんか複雑ね。取り敢えず、ペンネに会うことにするかな?


「ペンネはマドラッドにいるの?」


 私の質問にカメレオン男(ヒルバー)が『はい、カミル様にマドラッドが立派になっていく姿を早く見せたいと日々語っております』と照れくさくなるような言い回しをされたわ。


「取り敢えず、ペンネに会いたいけど、先に海賊をザカメレアのカルメロに引き渡すわ」


 私は一旦、ザカメレアに海賊船を向かわせ、デンキチには繋げた船をそのまま引っ張ってザカメレアまで運んで貰ったの。


 ザカメレアの港には凄い人数の野次馬が集まり、私達を見つめていたわ。

 カルメロも信じられないと言う様子で頭を抱えながらも感謝を口にしてくれたの。


 本来の目的とは違うけど、お宝はゲットしたし、新しく船も手にいれたわ。


 次の目的地もマドラッドに決まり、私はメルリとアララ達を乗せ、スケルトン軍団に海賊船の帆を貼らせる。

 海賊旗を其のままには出来ないので作製魔法(アトリー)で作り替えることにしたわ。


 新しいマークは“星の中心に蜂”と言う私らしいデザインよ。


「さぁ、出港よ! 目指す先はマドラッド行くわよ!」

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