カミルのトレジャーハンターです3
港へと案内された私達。
今回はベジルフレアの港ではなく、ザカメレアの港を選んだのには訳があるの。
ベジルフレアの港は入港と出港の際に船内の調査が入る仕組みになっているの、早い話が危険じゃないかと言う事実確認と持ち出し禁止の品を摘んでいないかと言う確認ね。
まぁ、良くも悪くもザカメレアは入港と出港の際のチェックが軽いの。
今回は宝探しが目的だから、ザカメレアを選択したのよ。
港に到着すると塩辛いざらついた海風と太陽が海面を照らし出す、ザ・海! が広がっていたわ。
「いいわねぇ、夕方はもっと素敵な景色になるのかしら?」
私の発言にカルメロが頷き、港を見渡す。
「やはり港はいっぱいか、海にも入港待ちをしている船があるみたいだな?」
私は船を持っていない、簡単な話が手頃な船を見つけて、作製魔法でコピーしようと考えてるの。
カルメロは船を繋ぐ為に港にきたと考えたみたいだけと、実は目的が違うってわけね。
「構わないわ、取り敢えず港を歩かせて、たまには潮風を楽しみたいの」
ゆっくりと繋がれた船を見つめ、散歩をするように港を歩く。
「どれも悪くないけど、イマイチ、パッとしないわね……インパクトが足りないのよね?」
“ヒューンーーッ!”と私の目の前を通過した黒いか溜まり、そして私の真横にあった倉庫が“ドガン”と音を立てて崩壊する。
「確かにインパクトが足りないって言ったけど、これは有りすぎじゃない? いったい何なのよ!」
カルメロは海を見つめる。
「誰かさんが、ザカメレアの海軍と軍艦を壊滅させたからな、それを知って攻めてくる海賊が今、問題になり始めているんだ、最近では朝っぱらから砲弾を撃ち込んできやがる」
港の兵士が砲台から海に向けて砲弾を発射する。
穏やかな雰囲気は消え去り、火薬の香りと黒い煙が港町を包み込んでいく。
「誰かって私よね、でも、軍艦を全部壊した覚えはないわよ!」
「よく言う、使い物になる軍艦は僅かだ、しかも連日のように港を襲われ、艦隊の殆どが損傷し、修理が間に合わんのだよ!」
カルメロは急ぎ砲台へと向かう。
兵士達の前に立つと大声をあげ指揮を取り始める。
「いいか! 奴等の侵入を赦せば我らが愛国であるザカメレアが、そして多くの民が苦渋を強いられるだろう! 我等は盾であり砦である! 今より徹底抗戦となる! いくぞッ!」
「「「オオオオオォォォッ!」」」
港を揺らす程の男達の雄叫び。
「ねぇ、私は責任とった方が良いわよね?」
アララとメルリが無言で頷く。
大きく息を吸い込み静かに吐き出すと影からデンキチを召喚する。
「デンキチ、今から海で暴れるわよ! 取り敢えず、あの一番大きな海賊船に向かって!」
『わーい! 海! デンキチ頑張る!』
靴を脱ぎ、身軽な格好になると海に飛び込んだデンキチの背中に飛び乗る。
「砲弾の方が良かったって言わせないとね? まぁ、気楽に吹き飛ばすわよ、デンキチ!」
海を自由自在に泳ぐデンキチ。
海賊船が私達に気づき砲弾を発射する。
『カミル? もっと速く泳ぐけど、大丈夫?』
「心配ないわ、物質変化魔法で私の足の裏を吸盤にしてるから絶対に振り落とされないわよ。全力で飛ばして!」
デンキチが速度をあげると砲弾の真横をすり抜けながら海賊船へと一気に進む。
ジェットスキーのような速度で砲弾を次々に躱していく。
海賊船を目の前に私は魔法を解除し大きくジャンプをして海賊船へと飛び移る。
突如現れた私に驚きながらも下卑た笑みを浮かべる海賊達。
正直、むさいわね……はぁ、仕方ないか?
「なんだ? ガキが一人で来やがったぞ?」
「あはは、俺達も嘗められたもんだ! 怪我じゃ済まねぇぞ! あぁぁ?」
御決まりの台詞ね……
「私も相手をする以上、怪我じゃ済まさないわよ? なんてね、いくわよ! 」