カミルのトレジャーハンターです1
私は今、じい様の図書館の地下禁書庫にやって来ている。
目的はシシリの魔導書に書かれていた一説、【古き太陽の眠る島】と言う場所が気になったからなの。
島の書かれた位置を調べたんだけど、地図には載ってないのよね。
私は思うのよ!
「これは間違いなく宝島よ! ふっふっふ……まぁ、お宝には興味ないけど、ロマンがあるわよね」
古い地図を見ながら笑う私はかなり不気味な筈だ。
「久々に来たと思えば、また悪巧みか?」
じい様がお茶を私の座るテーブルへと置き、正面に腰かける。
「酷いわね、私がいつ悪巧みなんかしたのよ? 少なくとも悪さはしてないわよ?」
まぁ、今回は少し当たってる、勿論お宝を見つけたらシシリに報告するつもりよ。
ただ……問題は、まずい物だった時よね、事実ララリルルの昔話や神話に出てくる魔物や神の化身みたいな連中は危な過ぎるのよね。
例えばオルク、デンキチと同じオルクスターを従えて世界を征服しようとしたり。
召喚の王。エグザート=クロムエルも正義だからよかったけど、もし世界征服しようとしてたら、世界は別の形になってた筈よ。
単純に【古き太陽の眠る島】の“古き太陽”の部分が気になるの、ましてや“眠る”って、書いてあるんだから故意に眠らせたのか、眠らされたのか分からないけど、本当に見つけたときに何が出てくるかわからないわよね?
「カミル、あまり禁書で危ないことをするな、ラッペンが心配するからな」
「わかってるわ、じい様にもお爺ちゃんにも迷惑掛けないように気をつけるから安心して」
溜め息を吐くじい様。
そんな、じい様の心配を他所に私は記憶した島の位置と現在の位置をマップで照らし合わせ、地図に場所を書き記していく。
目的地が決まる……
「大海原に隠されし伝説の島、私はそこを目指す。いざ、ロストトレジャー!」
人生でこのセリフが言える日が来るなんて感動よ。
「何を言っとるんじゃ、はぁ、何かあれば、ラッペンと一緒に捜しだして拳骨をくれてやるからな、くれぐれも問題を起こさないように、よいな!」
凄い迫力だわね、私が何をしたっていうのよ? 少し無茶はするけど、死人ゼロなのよ! などと思いながらもじい様に頷き、私は地下禁書庫を後にしたわ。
私は直ぐにメルリとアララを連れてザカメレア王国の港を目指してたわ、何時ものように洋館と敷地に畑をビルクの能力で小さくして空間魔法に入れる。
「さあ、行くわよ! 宝探しよ」
はしゃぐ私にアララが喋りかけてきたの。
「あの……サトウさんは洋館の中ですが、説明なしで良かったのですか?」
ハッ! 完全に忘れてたわ……
「あはは、コイツはウケるなぁ、カミル? 幾らなんでも説明なしで仲間を閉じ込めるなんて酷い奴だな?」
嫌みなビルクの言葉。
取り敢えず猫の姿をしたビルクの髭を軽く引っ張り、黙らせると私はサトウに謝ることにしたわ。
サトウは気にする様子はなく、昼寝をすると言い、休日を楽しむサラリーマン状態であった。
気楽だなぁ。まぁ……文句を言われるより、いいか?
私達はライパンを抜け、ガラニルンの谷から関所の町ジャルニジルの頭上をガルーダで飛び越え、ザカメレア王国の門の前に降り立つ。
当然のように空を飛び関所を通らなかった私達を警備隊と関所から連絡を受けた兵士達が出迎える。
何度も経験するとお約束感覚になるわね?
ただ、今回は私もトレジャーハンターのようにお手製のハンターキャップを深々と被り、腰にはムチを装備し、更に煙草風の御菓子まで加える重装備なんだから!
「あら、出迎えには人数が足りないんじゃない?」
冗談のつもりの発言に対していきり襲い掛かってくるザカメレアの兵士達。
此方が身構えると兵士達の後ろから大声が鳴り響いたの。
「やめいッ! あんな格好してわざわざ、挑発するやからは一人だけしかいない、そいつはカミルの森のミルシュ=カミルだ」
ざわめく一団の後ろに腕を組み笑みを浮かべていたのはカルメロだったわ。
寧ろ、私はどれだけこわがられてるのよ!