☆気づいたらモンスターだらけですが?
はい! 朝になりました。
私は朝からテンションが上がっていた。使い魔が増えるかも知れないのだ!
「さあ! いくわよデンキチ!」
『やだよぅ……まだ眠いもん……』
イライラ……ブチッ!
取り合えずデンキチの髪の毛を引っ張り起こした私は森に入っていく。
『朝から酷いなぁ。使い魔を大切にしようよ』
「使い魔なら私より先に起きてよ、全く食いしん坊で朝に弱いなんて、未来から来た猫型ロボとダメな男の子を足したみいな性格なんだから!」
『よくわかんないや? でも何かロボって響きいいなぁ? デンキチロボ』
何故か嬉しそうにキラキラした目をするデンキチ、私はいやいや……と思う
「デンキチがデンキチロボになったら……まるでポンコツみたいで嫌だわ……」
『ポンコツ……ポンコツデンキチロボ……』
「もういいからぁ~」
朝早くから森に来たの事には訳があった。朝はハグレモンスターが餌を探して他のモンスターより早く活動を開始するからだ。
モンスターも強さによるが私の村の周りは比較的に弱いか無害なモンスターしか居ない。
しかし、団体様で活動するので出くわすと厄介だ、そこで早朝のハグレを狙うことにしたのだ。
ーーハグレモンスター。
群れに属さず行動するモンスターを指す通称。
どんなモンスターがハグレになるか。
・怪我などで戦えないモンスター。
・異種同士の混合モンスター。
・歳を取り追い出されたモンスター。
・強すぎて、群れの方が離れたモンスター。
・群れと考えが合わず離れたモンスター。
他にも色々な理由があるが大体はこんな感じ。
「どうせなら、怪我とかで群れから離れたのがいいなぁ」
ーアマト村の森に生息するモンスター
・クイーンビー
・ハニービー
・バトルビー
蜂のモンスターでクイーンビーを中心にコロニーを造る群れで狩りなどをするモンスターね。意外に厄介なモンスターね。
・トレントウッド
・トレント
・ドン・トレント
木のモンスター。悪ガキの一人が使い魔にしてた奴ね。因みにドン・トレントはトレント達のまとめ役よ。
・スライム
定番ね、むしろ居ないと嫌だわ!
・リトルゴブリン
・ゴブリン
これも定番、因みにリトルゴブリンが成長するとゴブリンになるのよ。
・ボア
猪のモンスターで成長するとビッグボア。グレイトボア。になるんだけど成長すると餌を求めて村の反対側にある更に深い森に移動する習性があるわ。
・ウルフ
狼のモンスターで成長するとダークウルフになるの、最近は見ないけど余り会いたくないモンスターだわ。
・フロッグ
蛙のモンスター。雨の日等は普段より活発に行動するモンスターで寒い時期は巣穴から敵を捕食するまさに蛙ね。
ーー 森のボスモンスター ーー
・スタンプモーム
名前は可愛いけどかなり巨大な牛のモンスターで全身にモジャモジャドレドのような硬い獣毛が盾の役割をするし、角もあるから危険なの。牛よりバッファローに近いかも?
ーーーーーー
「マップオン!」
取り合えずモンスター探しっ! と何か居ないかしら?
「お、いるじゃない。早速ハグレモンスター、みーつけた!」
マップに赤い点滅が一つ。私は急いで点滅が光る場所に向かった。そこは開けた草原であり、そこには片目に傷痕があるウルフが居た。
いきなりウルフーーーーッ!
「やっぱりやめよう……ウルフは危ないってマジに」
『いかないの?』
私達が話しているとウルフが此方に気付き威嚇してくる。
『何者だ! 出てこい!』
全種の言葉のお陰で言葉が理解できるからなのか余り恐怖は無かった。むしろハニービーの時と違い今は冷静だった。
「私はカミル。アナタを使い魔にしに来たのよ」
『ああ? 俺の言葉が分かるのか?』
「分かるわ! で、なってくれるかしら?」
『断るッ!』
ですよね……まぁ、予想はしてたけど!
「デンキチ! 頼むわよ」
『あいよん任せて!』
デンキチがその巨体から想像できないスピードでウルフに体当たりをする。
予想外のスピードにウルフは体当たりを諸にくらい木に体を叩きつけた。
『ヌワァァァッ……』
悲鳴のような声をあげるウルフ。
「やり過ぎよ、デンキチ」
慌てて駆け寄る私に『ウゥゥゥッ!』と声をあげるウルフ。
『カミル、押さえとこうか?』
何か違う……私はこう言う異世界ライフをしたいんじゃ無いんだよなぁ。
「デンキチ。予定変更よ! ウルフを川に運んで優しくね!」
『えぇぇぇ! 仕方無いなぁ』
私はデンキチがウルフを運んでる間に果物と薬草を集めてある秘密基地に走った。
戻ってきた私が果物と薬草を持てるだけ持っている姿に、慌ててデンキチが手伝ってくれた。顔は怖いが優しいんだよね。
「ありがとう。デンキチ」
私はデンキチに果物を半分、自分に一つ。あとはウルフに渡した。
それからが大変だったわ。薬草を塗ろうにもウルフが暴れて暴れて、仕方なくデンキチが押さえてやっと治療完了。
「あんなに暴れなくてもいいじゃない?」
『知らね者の助けはウケンッ!』
素直じゃないやつ~可愛くない!
「これで怪我の件は許してね。さぁ、デンキチ行きましょう。秘密基地の薬草を補充しなくちゃね」
『果物も補充しなくちゃ!』
「はいはい」
私達が立ち去ろうとするとウルフが此方を見つめていた。
『何故だ! お前達は俺を捕まえに来たのではないのか、何故生かす!』
私達がウルフを助けて、見逃す事が理解できないと言わんばかりにそう聞いてくるウルフ。
「だって~無理矢理、使い魔にしても意味ないし、私は楽しく異世界ライフを送りたいのよ」
『異世界ライフ? 異世界とはなんだ?』
『あ、それ、デンキチも知りたいかも!』
「異世界ライフ……それは楽しい事よ!」
2匹のモンスターが口をポカーンっと開いている。
「アハハハ、二人とも変な顔」
2匹も互いの顔をそっと目で確認する。
『『アハハハ確かに変(へんだな)』』
「あぁ、可笑しかった。そろそろ行くわ。またねウルフ」
『じゃあね。ウルフ。あ、さっきはごめん。バイバイ』
私の異世界ライフに強制は要らない。楽しいが一番なんだから。