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昼下がりのランチです。

 賑やかに彩られたパンの祭りから10日程過ぎたある昼下がり。


 カミルの森(ハニーフォレスト)にある畑で野菜の収穫をする私とメルリ、アララ、クレレ、そして多くの使い魔と魔物(モンスター)達が集まって手伝いをしてくれてるの。


 パンの祭りが終わり、ペンネは一旦マドラッドに戻ることになったの。

 ライパンでの魔族と人間の交流についてマドラッドから出れなかった魔族の人達に伝えるのが目的よ。


 ペンネがいないと何だか変な感じになるわ、よくよく考えればマドラッドの戦いからずっと一緒だったんだもの当然ね。


 私達の畑をペンネと一緒に手伝ってくれてた魔族の皆も居ないから、ここ数日はロクさんとスケルトン軍団の皆も大忙しだわ、“ハニービー”と“トレントウッド”の皆も蜂蜜造りの後に手伝ってくれてるから何とか予定通り収穫は終わりそうだけど、本当に大変の一言だわ。


「ふぁ~暑い……畑仕事って本当に大変だわ、魔法を使うと柔らかい野菜は潰れちゃうし、熟れてない野菜まで取っちゃうから使えないのはわかるの……其にしても畑を広げ過ぎたわ」


 そう、私は畑を広げ過ぎたのよ。大勢で収穫と言っても力加減の違うウチの子達、本当に朝から大変だったわ。


 トマトのような野菜はロクさんが掴んだ際に潰れてしまうし、カボチャのような野菜は成長しすぎてハニービー達が必死に転がしながら運んでくれたけど、その際に別の野菜を潰したりと、野菜ペースト祭りになってたの。


 勿論潰れた野菜は器を用意して直ぐに入れたわ。


 早い話が本日のお昼に早変わり予定ね。サトウは朝だけ畑を手伝ってもらって早めにお昼に取り掛かって貰ったわ。 洋館ではサトウと数名のスケルトンが慌ただしく厨房で頑張ってくれてる筈だから、何が出来るか楽しみだわ。


 私達はデンキチの提案で洋館に戻る前にキュウリやトマトと言った野菜を川で冷やしておく為に皆で木陰のある川原に移動したわ。


 綺麗な水と涼やかな風が私達の疲れも吹き飛ぶわね。


『デンキチのトマト一番美味しそう!』


 目を輝かせるデンキチの先には籠に入れたまま川につけられた野菜達が光を浴び生き生きと輝きを放っていた。


「ふふ、確かに美味しそうね。さぁ、夕方に野菜を引き上げる事にして今はお昼を食べに洋館(うち)に急ぎましょう。サトウが最高のお昼を用意してくれてるよ」


『うん! トマト、逃げたらダメだよ? また後で来るからね』とデンキチが嬉しそうに野菜達に手を振りその場を後にしたわ。


 帰り道、デンキチが巨大なマッシュルームのようなキノコを見つけたのよね、【鑑定の瞳】で調べたんだけど、毒はないみたいだから安心したわ。


 キノコを嬉しそうに抱えたデンキチが持って帰るといい、仕方なく許可したわ。


 ただ、気がかりなのはメルリもこの巨大なマッシュルームの事を知らなかった事かしら、本当に謎のマッシュルームだわ。


『夜、キノコ鍋……デンキチが見つけたから大盛り!』


「はいはい、目を輝かせてまでアピールしないの、サトウに頼んであげるから」


 洋館に着いた私達は取り敢えず手を洗う為に井戸の前に尽きられた流し場に皆が並んで手を洗う。


「環境汚染が無いから井戸水も安心だわね、まぁ鑑定の瞳で毎朝チェックしてるんだけどね」


 私の言葉にメルリが「お嬢様のお陰で安心して水が飲めるのは本当に嬉しく思います」と言ってくれたわ。


 実際地下水を使うのはリスキーだから、自分の為でもあるんだけどね。


 そんな時、サトウとゴーレム、厨房スケルトン達が料理を運んできたの。


 因みにお昼はトマトソース、つまり生パスタのミートソースだったの。


 私の感動は言葉に出来なかったわ。


 自然とこぼれる私の笑みにサトウが嬉しそうに「その顔なら味は大丈夫だね」と笑いかけたの。


 少し恥ずかしくなり下を向く私……


「凄く美味しい……サトウ、ありがとう」


 私は案外、照屋なのかも知れないわ。

 

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