蜂蜜パニックです。
昼食を終えるとメルリにスライム達が何故一緒に畑仕事をしていたのかを話したわ。
話を聞いたメルリは少し驚いた表情で「スライムが格上の相手にですか?」と信じられないと言いたそうに口を開いたのよね。
「そんなに珍しい事なの?」と私が尋ねると、メルリは頷いた。
「そうですね、スライムと言うのは数でこそ厄介ですが、単体は然程強くないのです、数で戦うハニービー達のコロニーを襲撃するなんて前代未聞ですね」
私はメルリの言葉を聞き、不思議に思い、スライム達に話を聞こうと考えたわ。
「スライムの皆はお腹いっぱいになったかしら? まだなら、頑張ってくれたし、私からデザートも用意するけど?」
そう言うとスライム達は楽しそうに跳ね回り、まるでダンスをするように喜びを露にしたわ。
私はクイーン達に頼んでストックのハニーフルーツを用意して貰い、其を軽く冷凍魔法で冷してから食べてもらったの。
それから本題に入ったわ。
「あなた達? なんでハニービーのコロニーを襲ったりしたの?」
『匂い。ボク達は蜂蜜の匂いにつられて来たの』と1匹のスライムが口にする。
『ボクも』
『ボクも』
次々にそう言われると気になるわね?
「クイーン、悪いんだけど。この子達が襲ってきた時の蜂蜜を出してくれるかしら?」
私はクイーンが持ってきた蜂蜜を【鑑定の瞳】で確りと確認し、紙に使われている花の蜜を書き出していく。
数多くの蜜がブレンドされた蜂蜜のリストが出来上がると覗き込んだメルリが慌ててリストを指さし声をあげたの。
「お嬢様! この花の名前を見てください」
私は指差された“レイドフラワー”と言う名前に嫌な予感がしたわ……
「何この危ない名前……」
私の予感は的中していたわ、レイドフラワーは別名“魔呼びの花”と呼ばれていて、弱い魔物を一斉に集めて駆除する時に使われる植物だったの、でも冒険者パーティーが腕試し何かに使用して村や町に危険をもたらしてからは危険植物に認定されて駆除対象になってるらしいの。
私は混乱したわ。
「なんでそんな危ない花が私の森にあるのよ!」
そんな時、頭に浮かんだのはジュレだったわ。
「デンキチッ! 直ぐにジュレを連れてきて、あとクイーンはハニービーとバトルビーに頼んで蜂蜜を全て此処に集めて、今すぐに調べないと」
『了解したわ』とクイーンは蜂蜜を各コロニーのクイーンビー達に集めるように指示を出してくれたわ。
山のように集まった蜂蜜を確めていく。
流石に凄い量のストックね……パンを使った祭りで売り出そうとしてたから、半端ないわぁ……ん? 祭りように確か蜂蜜を今日ラッペンお爺ちゃんに運んで貰う約束だったわね……
「メルリッ! ラッペンお爺ちゃんって蜂蜜を取りに来たりした?」
慌てて確かめるとメルリは驚きながら首を縦にしたわ。
「お嬢様が畑仕事をしていると言いましたら、「なら、挨拶は次回にしよう、王が待ってるからなぁ」と午前中に蜂蜜をお運びになりましたが……」
まずいっ! 非常にまずいわ。
「メルリッ! 留守をお願いね。クイーンは私の影に入って。デンキチッ! スカーッ! 付いてきて、あとアララ、今からモーム、ボス、メガに森の守りと警戒を強くするように伝えて。いいわね!」
私はライパンに運ばれた蜂蜜にレイドフラワーが使われた物が混じっている可能性を考えていたの、もしそうならライパンに魔物が押し寄せる事になるわ。
ライパンがやられる事はない筈だけど、魔物達が私のせいで無意味に死んだら悲しすぎる。早く確かめないと!
私はデンキチ、スカーを連れてライパン迄を一気に駆け出していく。