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鍛冶屋は世界を救えるか?  作者: にゃろん
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「しまった。やることが思いつかない」


 強制的な休日となったミロンは午前中はぐーたら宿舎で過ごしたが、さすがに暇を持て余し街へ出かけた。王都に住み始め1ヶ月がたったが、毎日工房に引きこもり武器作りに没頭していたので、街に出るのは今日が初めてだ。田舎者のミロンには、ここは都会過ぎて少し怖い。怖いお兄さんに絡まれるかもしれないと思い、護身用に自作の小剣を腰に吊るしていた。

 街は活気に溢れている。街のいたるところで完全武装の兵士や冒険者達が食堂や商店に出入りする姿が目に付いた。みんな、モンスターの賞金目当ての連中だろう。街の掲示板にはモンスターごとの賞金が張り出されていた。


 賞金はゴブリン 100(ゴールド)、ホブゴブリン 200G、オーク 300G・・・現在の賞金最高額はゴブリンロード 10万Gだ。王都から1日ほど離れた廃墟となった古城に住みついているらしい。ミロンの上級鍛治師としての月給が2万Gなので5ヶ月分の給料と同額だ。ゴブリンロードは単体でも強敵だが、配下のゴブリン、ホブゴブリンも数百体規模で古城に住み着いている。討伐に挑んだ冒険者達が何組も返り討ちにあっているようだ。ぼーっと掲示板を眺めるミロンに少年が話しかけてきた。


「私はユアンといいます。君も賞金稼ぎですか?僕以外の子供の賞金稼ぎに始めて会いました」


 ユアンと名乗った銀髪の少年は、賞金稼ぎとは思えない優しげな美少年だ。ミロンの小剣を怖いくらいに凝視している。


「俺はミロン。賞金稼ぎではなくて鍛冶屋だよ」


「失礼しました!あまりにも立派な剣を装備していたので・・・僕は鑑定スキルが使えますが先ほどは、あまりに立派な剣でしたので勝手に鑑定をしてしまいました。剣の作成者はミロン・・・ミロンさんが作ったのですか!この歳でこんな高性能な武器を!」


 小剣を凝視していたのは鑑定スキルの発動の為だったようだ。鑑定スキルはアイテムの性能や作成者を把握できる便利スキルだ。


「まあ、いろいろあって鍛治スキルだけはレベルが高いから・・・」


「今の僕には買えませんがいつか、ミロンさんの武器を買えるようにお金を貯めます!今度、師匠と一緒にゴブリンロードの討伐に行きます。討伐に成功したらたくさんの賞金が入るので必ず買いに行きます!」


「俺の鍛治スキルは母親の形見みたいなもので認められるとやっぱり嬉しい。ゴブリンロードは強敵だろ?代金は出世払いでいいから受け取ってくれ」


 ミロンは腰の小剣を外しユアンに手渡した。このレベルの小剣ならいくらでも作ることができる。同世代の優しげな賞金稼ぎに、クリスの鍛治スキルで作った剣を褒めてくれたユアンに生きて帰って欲しいと思った。


「このご恩は忘れません・・・僕はゴブリン共をモンスター共をどんなことしてでも駆逐します。だから必ず、ゴブリンロードとの戦いからも生還します!」


 ユアンは小剣を胸に抱きながら、何度も振りかえりお礼を言いながら立ち去った。


「絶対に帰って代金払いにこいよ。無料で武器をあげてレナードに怒られるのは俺なんだからな・・・」


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