十九
コウの視点に戻ります。
宿を出た後、俺はまず街の様子を確認した。
みた感じ街の人達はいつも通り生活しているようだ。
つまり誰も世界が消滅の危機にさらされていることに気づいていない。
まぁ、世界の外からの攻撃に気付けって言われても普通の人には無理か。
「さてと、久しぶりに本気を出すか」
俺が本気を出すのはいつぶりだろうか。
確か十歳になるよりも前から俺は本気を出さなくなった。
竜に襲われても、フェンリルと戦った時も全力の一パーセント以下しか出してなかった。
そんな俺だけれども今回は本気を出そう。
世界の裏側というと、地球で例えるなら日本からブラジルみたいな感じだ。
しかし、この世界は広い。
どれくらい広いかと言うと、地球の三倍から四倍ぐらい広い。
そんな世界の裏側まで十分以内でたどり着く方法。
それは、全力で走る。
それだけでいい。
久しぶりに俺は全力で走った。
すぐに音速を軽く越え光速になり走る。
ただただ走る。
大陸が震えてるのを感じる。
俺が全力で走ると大陸に地震のような揺れが起きるからいつもは全力で走らないようにしてるんだよ。
俺が走ったあとは1歩ごとにクレーターが出来る。
すぐに景色が変わり海になる。
もちろん海の上も走る。
のではなく、向こうの大陸までジャンプする。
直後、大陸に地震のような大きな揺れが起きる。
そしてその揺れは俺が着地した先の大陸でも起きる。
陸は全力で走り、海はジャンプで飛んで越える。
これを繰り返し、俺は三分ほどで世界の裏側まで到着した。
ここまでくる途中でクレーターを作ったり、ちょっとした地震をいくつか起こしてしまったが、まぁ世界を救ってやるから許してくれとしかいいようがないな。
さて、神が放った魔力の塊がこの世界に到着するまであと五分ってところか。
ここで、待っててもいいがそれはそれで暇なので、到着する前に消しとくか。
あれくらいの威力なら簡単に消せるしな。
俺もあの神と同じように魔力の塊を作り、神が飛ばしてきた物に狙いを定めて飛ばした。
しかし、威力は神の飛ばしてきた物の二倍で。
一分もしないうちに神の飛ばした塊と俺の飛ばした塊はぶつかり、神の飛ばした塊はすぐに消滅した。
これでとりあえず世界は消滅の危機から救われた。
しかしこれで終わりにするつもりはない。
俺は今回かなり怒っていた。
空中に魔力で足場を作り、神が魔力の塊を放った場所へと向かう。
全速力で。
今度は、ただ走るだけではなく、なにもしなくても高すぎるステータスの体をさらに、魔法で全身を強化して本気で向かう。
すると、一分もしないうちに到着した。
「久しぶりだなぁ神。消滅するのはあの世界ではなくお前だっ!!。」
「私に勝てるとでも思っているのか?
神である私に人間が?」
「もちろん思っているとも。お前が神であろうともな。俺とアテネがいる世界に手を出した罪は重いぞ。」
「たかが人間が調子にのるなっ!」
そう言って、神は剣を俺に振りかぶってきた。
俺はそれを余裕の表情で避ける。
「遅いな。それで本気か?」
「ちっ」
次々に神は俺に攻撃をしてくる。
時には剣で、時には魔法で。
その全てを、俺はかすりもせず避ける。
神の表情に焦りが出てくる。
「これが本気か?俺はまだ全力の三割ほどしか出してないぞ」
「はぁっはぁっ……。
お前本当に人間か……?」
「そうだよ。人間だ。それは俺を生き返らせてくれたお前もよく知っているだろう。
お前のせいで住んでる世界を危険にさらされて、怒っている人間様だよ」
「なぁ、ここは見逃してくれないか……」
みっともないやつだ。
誇りとかないのかね。
一応神だろ。
「や だ ね!」
「なぜだ…?」
「お前が夢の中で世界を消滅させると言った時俺は止めろと言った。お前はそれを無視して世界に攻撃してきたよな?
そんなお前の言うことをなぜ俺が聞かなければならない。
だからお前はここで殺す。」
「ちっ。この私がっ。神である私が人間にたいしてお願いしているのだぞっ!!」
「そんなことはどうでもいい。
そろそろ終わりにしようか」
俺はそう言って、一瞬だけ本気の速度を出し神の首を切り落とした。
その瞬間、膨大な経験値が俺のなかに入り一気にレベルアップしたのを感じた。
レベルアップを感じて神はちゃんと死んで、復活する心配もないのを確認できたので帰ろうか。
アテネの待つ宿へ。
「さて、帰ろうか」
行きよりはゆっくりとした速度で帰ることにした。




