十二
少女と話していたらもう空は暗くなっていた。
道には街灯なんて当然ないので、夜になると本当に暗くなる。
「とりあえず馬車に入りなよ」
「あっはいっ。ありがとうございますっ」
夜に外に放置するのも可哀想なので馬車のなかにいれてあげることにした。
かなり高い馬車を買ったので中は結構広い。
なので、二人で入ってもまったく狭く感じない。
そろそろ本当に暗くなるので、オイルランプに火をつけることにした。
そういえば、まだこの少女の名前を聞いてないな。
「まだ名前を聞いてなかったね。俺はコウだ。君の名前は?」
「私の名前はアテネです。」
アテネかー、なかなか可愛い名前じゃないか。
そろそろ疑問に思っていたあの事を聞こうかな。
「なんでアテネはあんなところで倒れていたの?」
「親に奴隷として、売られそうになって逃げてきたんです。全力で走って逃げて、とりあえずどこでもいいから遠くに行こうって思って、走って……ずっと走っていたら、いつの間にか倒れていました………」
この世界には奴隷という制度がある。
貧しい村人などは、金銭的に生活が苦しくなった時に、自分の子供を奴隷として売ることがある。
売られた奴隷は強制的に労働をさせられたり、貴族などの金持ちに買われたりする。
それが嫌でアテネは逃げてきたんだろう。
「そうだったのか……。これからどうするかとかは決まってるのか?」
アテネは泣きそうな顔で、
「村の外には頼れる親戚なども、いないのでもうどうしていいか分かりません……」
と、答えた。
まぁ、そうだよね村で生きてる人間ってのはあんまり村の外に出ないからね。
当然村の外に知り合いもいないか。
「そうか…金は持っているのか?」
「銅貨一枚も、もっていません…」
ついにアテネは泣き出してしまった。
頼れる人もいない。
金もない。
かなり、人生詰んでるな。
あっいいことを思いついた。
「なぁ、もしアテネがよければだが提案があるんだ」
「??」
「俺は旅をしている。といっても始まったばかりだか。これからの旅は長くなるだろう。しかし、ずっと一人で旅をするのは寂しいだろ?だから旅をしている間、隣にいてくれる人がいたらなぁって思ってたんだ。つまり、なにが言いたいかっていうと、俺についてこないか?」
断られるかもしれないが言ってみた。
「いっいいんですかっ?」
「あぁ、もちろんだ。ついてくるなら、飯も食わせてやるし宿代も払ってやる。ついてくるか?」
「はいっ!お願いしますっ!旅の間だけでなく、一生隣りにいてもいいですか?」
アテネは、さっきまで泣いていたとは考えられない、満面の笑みで嬉しそうにそう言った。
ん?あれ?おかしいな?
今、一生隣りにとか聞こえたような気がする。




