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未来設計図

作者: ハヤト


現代社会が抱える様々な問題に対して改めて考えてほしいという願いを込めて「TCISN FACTION(警鐘小説)」というシリーズを書いています。今回のテーマは、『年金制度』です。


これらの社会問題に対して改めて考えてもらえる機会になれば幸いです。

「おめでとうございます!本日が85歳のお誕日でございますね、有意義な一日をお過ごしくださいませ」


「ああ、ありがとう!人生最後の日は家族で集まって家で食事をすると25年前から決めていたんだよ」


「よろしゅうございますね!お手続きがありますので、本日23時までに谷島病院にお越しください、ではよい1日を!」と言い男の前を去っていった。


男は今日で人生を終える。




現在は2100年である。


2000年を過ぎたごろから「このままでは年金は崩壊する」と幾度となく叫ばれてきた。2050年、それがついに現実のものとなってしまった。


<国の財政悪化の深刻化><少子高齢化><平均寿命の延伸>により、これまでの年金制度は2050年をもって完全に崩壊し、2050年をもって新年金制度へと移行することとなった。




新年金制度の大きな特徴は、《60歳になった時点で、自分が死ぬ時期をあらかじめ決定し、それに応じた年金支給額が死亡するまで支払われる》というものである。


60歳の誕生日に『年金希望年齢通知書』が国から郵送される。返信期限は一ヶ月後である。一ヶ月過ぎても返信のない場合は、その時点での日本人の平均年齢(男女)が『希望年齢』となるということが法律で定められている。しかし、自分の死ぬ年齢を決定する重要な書類なので期限を越えても返信されないものは1%にも満たないのが現状である。


年金支給は65歳から開始され、『希望年齢』は、65歳~150歳までの範囲の中から1年単位で決定することができる。


自分が選択した年齢の誕生日を終える日が「期限日」とされ、期限日の23時30分から指定病院で安楽死のための点滴が開始され、24時ちょうどに安楽死にいたることとなる。


たとえば、70歳を選択した人は、65歳~70歳までの5年間、1年間で受け取れる年金が400万である。85歳を選択した人は、65歳~85歳までの20年間、1年間で受け取れる年金が100万である。


なお、病気などにより、自分が選択していた年齢よりも早くに亡くなった場合は、家族に残りの支給額が一括で支払われることとなる。



先ほどの男はちょうど今日が期限日である。


この新制度に移行してからは、これまで将来に対する不安から、消費を抑え貯蓄に回まされてたいたお金が、「いつまで生きるのか?」と不安がないため、死ぬまでに必要なお金の概算金額が計算できるようになったため、老後に対する不安から生じる過度の貯蓄が行われず、国民消費が伸び税収増加に繋がった。また、これでまでの制度では、年金破綻の原因の一つにもなった年金への支出の見積もりの甘さが度々指摘されてきたが、新制度では財政支出の算出が可能になるため財政見通しのズレがなくなった。このため、新年金制度へ移行された後はスムーズで健全な年金運営がされている。




『期限日』に実施される安楽死においても、当時国会でも一番の争点になっていたが、50年経った今では、「自分がいつ死ぬというのが分かっているのでいろいろと心の準備ができてよかった」「家族も突然の死よりも受け入れやすい」という意見が多く、国民の間でも受け入れられている。




今日も、本日60歳の誕生日を迎える2571人のもとに「年金希望年齢通知書」が送られたのであった。




あなたのもとへ「年金希望年齢通知書」が届くのは何年後でしょうか?


そして、届いたとき何歳と書いて返信しますか?

ご意見・ご感想・ご指摘など何でもかまいませんので、メッセージいただけるとありがたいです。

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