《計画【前】》あなたもやっぱり。
凉色殺人計画は始まった。
だが、凉色を殺しても死体が見つかってしまえば、ことは大きくなってしまう。ちなみに凉色の両親は凉色を殺せば、その存在を忘れる。それが、〈影人〉の特性なのだ。そのため、その点を無視して、殺害場所を決める必要があった。
そして、僕らは理想的な環境にあった。そのような考察の結果、殺害現場を高校地下にした。地下は僕達『another class』以外に施設はない。もっと言えば僕達以外に地下の存在を知っている人間は地上階にはいない。
つまり、地下で殺せば証拠は見つからない。
ということで僕達の殺人計画は地下で殺すのを土台に話は進んだ。 そして、Aクラス行きの口実が決まったところで問題が発生した。
「ところでさぁ、この教室壊す人誰がするの?」
そうなのだ。この役はカメラに映るため、これが最大の有罪の証拠となる重要な役回りである。
そしてこの役は凉色に似ている人がやらなければいけない。
「俺らの中には似てる人いないですよ」
だが、その役は用意してある。
「それは僕がやっておくから、次の段階の準備頼む」
みんなは少し考えるような仕草をみせたが、そのあとには
「了解っす」
といってくれた。
さて、ここは僕が代表として頑張るところだ。
「やあ」
「こんにちは」
作戦5時間前僕は凉色の姉である凉花の番号を調べて前のファミレスに呼び出した。彼女の格好は僕の指示通り僕らの高校の制服だ。
「で、なぜこんな朝早くにわたしを呼んだのかしら?」
僕は誤魔化さずに話した。
「凉色を殺すのに協力してくれ」
「いいわよ」
即答だった。
「本当にいいのか?」
「ええ。で、具体的には何をすればいいの?プランはあるんでしょ?」
僕は彼女に作戦を一通り説明した。
「まず凉花が教室を破壊する。そして、それを映像に残し、教員会議で協力者が問題として提出し、凉色をAクラスに移す。協力者は凉色に古い地下の地図を渡し、地下で迷うように仕組む。後は適当にエレベーターへ移動させれば、誘拐して倉庫で殺す」
僕が殺人計画を話しているとき彼女は「ふーん」等と言っていた。
「まあ、それで凉色は殺せるわね」
すると彼女は足早に会計を済ませ出ていった。
僕も彼女を追いかけるようにでる。
僕が彼女に追いついたとき彼女は言った。
「さ、さっさとやるわよ」
彼女は少し焦っていたようだったが、気にしないことにした。
その後彼女は淡々と僕の指示通りに教室を壊していった。
教室を破壊し終わった後、お礼を言おうと彼女に声をかけると肩をビクッとして、逃げるように走っていった。
僕にはまったく解らない行動だった。
「あなたもやっぱり******のね」
彼女は最後に何を言いたかったのだろうか?
僕には解らない。
解るはずもなかった。