《No.2》なんでなんでなんで────?
しばらく走って『第8空間』に着いた。そこには《影》のなれの果てがあった。
それは影だった。実体を持たない人影が動いていた。影は僕を見るような仕草を映し口を動かした。
「───────」
声にならない言葉を発する口を見て僕は泣いた。
その言葉は余りにも残酷なお願いだったから。
『──わたしを殺して──。』
そう言ったのは間違いなかった。
何度も何度もその言葉を紡ぐ影の口をみて、僕の涙腺は崩壊した。
僕はエリナの最期の願いを叶えた。
僕は涙を流しながら影の心臓の辺りにナイフを刺した。
すると影は最期にニッコリと笑った。───気がした。
その後影は一瞬で消滅した。
「うぅ……」
そのあとに僕は後悔する。
なんで、殺したのか。なんで、その命を諦めてしまったのか。なんで、こんなことになってしまったのか。なんでなんでなんでなんでなんでなんでなんでなんでなんでなんでなんでなんでなんでなんでなんでなんでなんでなんでなんでなんでなんでなんでなんでなんでなんでなんでなんでなんでなんでなんでなんでなんでなんでなんでなんでなんでなんでなんで
───────?
僕はその場で泣き崩れた。
しばらくそこで、泣いていた。
すると僕の泣き声を聞いたのか偶然通りかかったのかわからないが、『another class』のメンバーが全員揃ってやってきた。
「代表どうしたんすか?」
メンバーの中でも体力があるナマキが聞いてきた。
僕はどうしようか迷ったが、エリナのことを話した。
「え…エリナが…消えた?」
メンバーの反応は一様にエリナが消えたことに対する驚きが大きかった。
誰かが呟く。
「だって…エリナは…〔半影〕だったのに…」
エリナは特別だった。エリナは〈影人〉 と《影》のミックスタイプだった。エリナには罪悪感を感じさせないために秘密にしている。そうしないとエリナが〝あれ〟に縛られることになるからだ。
エリナは『第8空間』に2日間もいたのにも関わらずまだ完全に消滅はしていなかった。
普通の《影》だったら5時間程度で消滅する。
「誰が殺ったんだ!」
誰かが言った。
僕はエリナを失ったことによるショックで記憶が曖昧だったからそんなに覚えてはいないが。
僕はエリナを殺した犯人の名をを口にした。
「〝凉色〟という少年だ」
僕は〝凉花〟を庇った。何でだかは解らないただ〝凉色〟は犯人役にちょうど良かった。何故なら彼は〈影人〉だったから。
「エリナを殺った犯人である凉色は〈影人〉だ。出来るだけ離れた場所から殺るのが望ましい。お前ら殺れるか?」
まさかこのような命令をするときが来るとは思ってもしなかった。
「お前ら奴を殺れ」
「「「了解」」」
偽物の復讐。
ごめんね。みんなを騙すよ。