《No.1》終わった理由はやっぱりここにあった。
2章の始まりです。
ごめんなさい。少し短くなってしまいました。
僕が彼女を見つけたのは2月15日。ちょうど僕が買い物をしていたら彼女が隣で悩んでいた。
僕は最初は彼女をどうでもいい買い物客だと思っていた。
そして僕も彼女と同じように悩んでいると急に身体が重いと感じてきた。
「うぅ…」
苦しい声が出てしまうほどに重かった。すると隣で悩んでいた彼女がいきなり
「…大丈夫……?」
とか細い声で聞いてきた。でも、僕はとても話せる状態ではなかったのでその声を無視して離れた。
でも、僕が行く先には〈影人〉がいた。〈影人〉に近づきたくないが意思に関係なく、足が動く。
進むな、進むな、
行ったら、──僕は消える。──
そう確信し、覚悟を決めたとき、彼女の手が僕の手を掴んで、僕を引っ張った。
僕が楽になる距離まで着いたときタイミングよく彼女は立ち止まる。
「…あなた《影》なの……?」
突然の発言に驚いた僕は、動揺を顔に出してしまった。
「……やっぱり……」
なぜ彼女は僕の正体を知っているんだ。いや、この言い方は語弊がある。正確には僕達の正体だ。
僕の影が無いのを見たのか?
でも、それは《影》の能力をを使って足から腰ぐらいまでは薄く出しているはずだ。
ではなぜ?
僕が思考に行き詰まっていると彼女が口を開いた。
「…わたしは…〈影人〉じゃないわ…。わたしは…あなたを苦しめた人の双子の姉よ……。凉色は気付いてないけど…」
「じゃあなんで 〈影人〉じゃないお前が〈影人〉のことや俺達《影》のことまで知っているんだよ。」
そうだ。《影》である俺達の情報は何処にも流れていない。なのに何故か彼女は知っている。つまり、裏で《影》の情報が出回っている可能性があるのだ。彼女が誰であれ裏で取引している奴は何処にでもいる。
だからその裏の情報元を聞き出し始末して情報をシャットアウトするのだ。
彼女は言った。
「……場所を変えましょう…」
僕と彼女は会計を済ませて、近くのファミレスに入った。
店員に注文をして、注文したものがくるまでは2人共無言だった。
「お待たせしました。アイスティーとカフェオレです」
「ども」
「…ありがとう…」
店員は僕達にものを渡すと逃げるかのように離れていった。
僕はそれを見計らい彼女に問い詰める。
「で、なんでお前は──」
「申し訳ないけどお前お前うるさいわ。私の名前は凉花よ」
いきなり態度が変わった。ついさっきまでは物腰の低いか弱い女の子だったのに、いまはどこかの女王のように全てを見下すような態度だ。
「凉花さんはなんで僕達のことを知っていたんだ?」
僕は彼女の態度の変化による疑問より本題を優先した。
「調べたのよ。あなた達のこと」
「嘘だな。僕達の情報はネット上には無い」
「ネットなんかに頼らないわ。わたしが観察したのよ。あなたたちを」
「ほう、どうやって?」
この質問には凉花が本当に僕達を調べたのか確かめるための質問でもあったが、凉花の人間性も確認することができる一石二鳥の質問なのだ。僕は凉花という人間に興味を持った。
「そうね、まずあなたの仲間と入れ替わって潜入したわ」
「は?」
「あとはそうね。たくさんの刺客を出してあなた達の戦力を測ったぐらいね。」
「…………」
この回答は想定外だ。どのパターンとも違う異質な人間しか出来ない回答だ。
僕はこのとき確信した。凉花という人間はおかしい。
「誰と入れ替わっていた」
「エリナよ」
「どこにいる」
「第8空間よ」
「なっ…」
『第8空間』とは〈影人〉の放つ不可視の粒子をつくりだすことが可能な部屋だ。
濃度を1~100まで設定でき、僕達《影》は50まではギリギリ耐えれるがその状態で長時間いるともはや死より苦痛の拷問となってしまう。
そんな僕の心の中を見たように凉花は言った。
「ちなみに濃度は50.15よ」
凉花はふっと微笑んだ。
この章での主人公はAクラスの代表です。
この物語をこれからもよろしくお願いします。