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ヒカゲモノたちの宴(仮題)  作者: ミーケん
【第1章】僕は主人公に向いてなかったみたい。
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〈No.2〉面白そうだから……。

僕の目の前の鏡の僕の姿のことを示すために『の』を6つ使うことにした。『の』が多すぎてすこしだけイライラするのは内緒。

 端的に表すと僕の姿は女の子だった。でも勘違いはしないでほしい。僕が女の子の格好をしているのは自分の意思ではない。

 すると『なぜそうなった?』となるだろう。それに対して僕はここまで至る経緯を回想する。



 いまから3週間前に僕と両親は離れた。でも、姉はそれから1週間一緒に住んでくれた。僕はそれを聞いて嬉しいということを思うほど姉に対して好感を持ってる。

 でも1つだけ嫌なことを思った。それは、姉の性格だ。

姉は両親や他人の前だと優秀で無敵な天才をしている。でも、僕の前だと姉はドSだった。

 たとえば僕が買い物に行こうとすると姉は「どこいくの?」と言ってくる。

 僕が「友達と買い物」と言うと姉は「そう。」と言う。そして姉は無言で僕に女の子の洋服(スカートと女の子用の白いパーカー)を渡してくる。

 そして無言で僕の女装写真(前に撮られた)を僕につきだし、「ネット…」と呟くのだ。

 僕はうなずく他に選択肢は残されていない。断れば僕は社会的に死ぬ。

 結果、僕は女装をして家をでて、近くの公園のトイレ(女子)に入って着替えてから待ち合わせに行かないといけないから遅刻する。

 そんな日常を繰り返し続けた最後の1週間の最初の日に姉は言った。

「凉色。女装して高校に登校して」

 ……………。

 え?

「な、なん、で?」

 僕はなんとなく答えを予想しながら、でもただただ戸惑ってそう聞いた。

 案の定、姉は言った。

「面白いから」

 あっそ。

「わかった」

 僕の特技に自主性、主体性がないというのがある。これはつまり、そう言われればそれをやるということなのだ。

 また、この特技は対立を避けるために身に付けたものでもある。姉は剣道初段、柔道三段で反抗すると怖い。そんな攻撃から身を守るために僕は極力反抗をしないようにしている。

 だから、僕はそれを受け入れた。

 だって、どうせ1週間後には姉は引っ越すのだから、僕が女子の制服で登校しているかは解らないはずだ。

 でも、そう考えたその時の僕は本当にバカだった。姉の徹底ぶりは僕に女装して高校に行くのを口約束ですませるだけではすむはずのに。



 そして翌日、僕は女の子になった。

 別に性転換をした訳ではない。

 僕が姉と例の会話をした後、姉は「出掛ける」と言って出掛けた。僕は何か買い物をしてくるんだなと思った。

 でも、違った。姉は僕に女子の制服を着せるためだけに僕の戸籍を女子にしてきたのだ。

 犯罪だと僕は言った。

 すると、姉は言った。

「ばれたら凉色は高校を退学させられるかもね」

「僕がやった訳じゃないじゃん!」

「でも、こんなこと私やらないし、私と凉色は見た目は同じで、声も似てるよね?」

「確かにそうだけど、それがどうしたの」

「役員は凉色と思ったとはずだから犯罪を犯したのは凉色なのよ。あなたがなんと言おうとそうなる」

 僕は愕然とした。そうだ。僕は他人から凉花だと間違われることはないけど、姉が僕と間違われることはある。そしてそのすべてが姉が面白いという理由で自分から凉色と名乗ったのが原因だ。最悪だ。戸籍を変えられたということはつまりこれから僕は女として生きなくてはならない。素直にいやだ。

 姉はその日の夜に帰った。

 置き土産として高校の制服を残していった。

 僕は母に連絡したが、母も姉と同じような性格だ。

『いいね』

 と言われてしまったのは言う必要もない。

「はぁ…。練習しなくちゃ。」

 僕はひとりで決意した。

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