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ヒカゲモノたちの宴(仮題)  作者: ミーケん
【第4章】関係のない人が関係するまでのなにか。
18/43

No.3 たった一言ですべてはどうにでもなる。

遅れてしまいました。



【夢の中】


目の前にあるのは血溜り。


目の前にあるのはなにかの塊。


あるのは赤い────。


あれ?


あれれ?

『───。』

  『─────ぇ』


 

 …………ん?声が聞こえた?


    『────ねぇ。』  『───サキ』


 『オーサキ!』


「ちょっと?聞いてるの?」


 意識を掴んだ。

「あれ?」

 意識を取り戻して最初に目にした光景は赤く染まった窓だった。

「な──んで?」

「なにとぼけたこと言ってるの?」

 その声はすこし前に聞いた。

「結城さん?」

 あれ?なんで俺は寝ていたんだ?

 俺が言うと結城さんは呆れたように言った。

「HR中も先生が注意してたんだよー。なのに起きないから諦めて私に起こす仕事を押し付けられたの」

 結城さんはすこしだけ俺に怒っているみたいだった。うぅ。申し訳なさすぎる。

 俺は萎縮して謝った。

「ご、ごめん!」

 すると結城さんは申し訳なくなってしまったのか、それとも俺の謝り方が予想以上だったのかはわからないけど、すこし引いてしまった。(これは間違いなく俺の謝り方が原因だろう)

「い、いや。もういいけどさぁ」

 そしてすこし笑って

「これからは気を付けるんだよ?」

 俺は素直に頷いた。

 結城さんは言った。

「帰ろう?」

 やっぱり頷いた。


 結城さんは隣町にすんでいるそうだ。

「だから、電車で通ってるんだよねー」

 結城さん俺の隣を並んで、歩きながら言った。

 俺は黙ってしまうのも悪いと思い、その話に返事をすることにした。

「へえ。大変だね」

 俺がそう言うと結城さんは少しムッとしてしまった。

「ほんとにそう思ってる?」

 俺は弁解した。

「思ってるよ」

「だったらもう少し感情を込めてよ!」

 そこかよ。


「ねえ。結城さん」

「なに?」

 俺は言った。


「あの校則ってなに?」


 結城さんの顔が曇る。─────そして。

「『なに?』ってなに?」

 笑った。

「だからさ──」

 そう言って俺は鞄のなかを探る。校則の紙を見つけた。

「この項目はなに?」

 俺は校則の【この校則は原則関係者のみに公開する】の項目を指して言った。

 でも。そこには結城さんの姿はなかった。

 遠くで結城さんが叫んだ。

「ごめん!もう時間だから!また明日ー!」

 結城さんの姿は消えた。

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