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ヒカゲモノたちの宴(仮題)  作者: ミーケん
【第3章】私はなにも知らなかった。
12/43

〔No.2〕普通と離れていく。

 エレベーターに乗ると扉が閉まる。

 『10』のボタンを押して待つ。すると鉄の箱が下へスライドいていく。

 しばらくすると鉄の箱が止まった。扉が開く。

 目の前には『10』と書かれた壁がお出迎えをしてくれる。

 あとはここを右折すれば『Aクラス』の教室に着くのだ。

 ドアは学校では珍しい両開きの屋敷のような重たいドアで、毎回筋肉痛になること請け合いのものである。

 そんなドアを開けるともうすでにみんなが揃っていた。

「遅かったな」

 みんながすこし笑う中に代表は言った。

「ごめんなさい。すこし混んでて…」

 私は遅れたのが申し訳なく謝った。

 私が謝ると代表は焦ったように

「いやいや!別に責めてる訳じゃないんだよ!」

「そうなんですか?」

「そうだよ!外に人が多いのは仕方のないことだからね。エリナのせいじゃないよ」

 代表はそう言って笑った。やっぱり代表はいい人だ。

 その時に『Aクラス』の1人であるユリカがいつものように言ってきた。

「エリナもやっぱり泊まった方がいいんじゃないの?」

 私はすこし考えて言う。

「やっぱりそうかなぁ。でも───」

 『Aクラス』は基本的にみんな地下に住んでいる。その主な理由が『家が無いから』だ。

 ここが『Aクラス』の『特別』な点の1つである。このクラスに所属している生徒はいわゆる【ドッペルゲンガー】なのだ。【ドッペルゲンガー】とは、〝もう1人〟がその本人と入れ替わるという都市伝説で出てくる〝もう1人〟のことである。

 そのため、本人と入れ替わるまでの期間に私達【ドッペルゲンガー】を保護するための機関がこの『Aクラス』なのだ。

 そして私も『Aクラス』に所属する【ドッペルゲンガー】だ。そうなのに私は〝外〟に住んでいる。その理由が

「やっぱりここに泊まるのは[ルール]違反じゃない?」

 私が[ルール]と口にするとみんなが押し黙る。それも仕方ないことだ。だって私はいまは───。

「今はもう〔半影〕なんだもん」

 〔半影〕とは【ドッペルゲンガー】である《影》が本人に入れ替わる途中経過の状態のことを指すのだ。この状態は約1ヵ月続く。

 ちなみに【ドッペルゲンガー】が本人と入れ替わるときに本人は死ぬ。死因は大体心筋梗塞による急死が多い。時間は午前2時と決まっている。その後〝処理〟を終わらせ、午前3時に入れ替わる作業を終わらせるのだ。

 そして私は〔半影〕になってから10日目になる。もうそろそろ自然に影が出てくる頃合いだ。まだ影は出てこないけど。

 私達が適当な話をしていると〝担当〟のすみれ先生が教室に入ってきた。

「はーい。みんな席についてくださーい」

 私はそれを受けて私の席である1番後ろで廊下側の席に座る。隣は代表である。

「じゃあ出席をとりまーす────」

 出席確認を終えると〝授業〟が始まる。

「─────なのでこの生徒の担当である15は優等生を演じることを最重要にしてください」

 先生に言われたメガネクンは

「はい。わかりました」

 と優等生のような返事を返した。

 すると先生は「うん」と頷いたあとに、また別の生徒に言う。

「そして、16の担当はこの生徒です」

 そう言って先生はパワーポイントでその生徒を映す。その生徒は私とまったく同じである。

 私達は先生に番号で呼ばれている。16は私の番号だ。担当である生徒は『結城沙織』という生徒だ。

 〝授業〟とはその担当生徒の確認とその生徒の特徴を覚えて、入れ替わる準備をすることだ。

 私は最近の〝授業〟で多く指される。その理由はやはり私が〔半影〕になったからだろう。

 憂鬱な〝授業〟は3時間続いて、担当生徒の説明が終わったら自由にしてもいいというなかなかに自由で便利な仕組みだ。私は16なので1時間半ほど〝授業〟を受けてから自由になり、地下を

適当に歩くことにした。

 まぁ。地図が無いと歩き回れないけど。

 というわけで地図のある資料室に行くことにした。資料室は教室と同じ地下10階の2エリアのどこかだった気がする。たぶん……。

 私は歩いた。

こんな感じでエリナは日常を過ごしていました。

サブタイトル通りにそんな普通の日常はこの時すでに離れています。

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