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ヒカゲモノたちの宴(仮題)  作者: ミーケん
【第3章】私はなにも知らなかった。
11/43

〔No.1〕なにもない日常こそが素晴らしい。

 私はエリナと呼ばれている。

 名前が由来ではない。

 由来はいつかの日曜日の寸劇だった。まぁ下らないものだった。いや、この話題を掘り下げても意味がない。

 このままエリナと呼ばれるのも癪なので名乗ることにする。

 私の名前は花咲遥で16歳だった。

 皆はわかってるかも知れないけど私は死んでるんだ。

 そしてこれから話すのは私が死ぬまでのなんでもない昔話。

 はじまりはじまり。


 

 私の終わりの始まりはやっぱり〝彼女〟に出会ったからだろう。

 2月12日。

 私は明るい朝日に照らされながら変わりばえのしない道をただただ歩いていた。

 私の中にはそれを綺麗だとか珍しいだとか感じる感性は持ち合わせていなかったが、私はその変わりばえのしない風景をみながら日常を痛感していた。

 それは一種の安否確認のようなものだった。

 それが確認されればこの時間はいつもどうりだと確認できる。そういうようなものだ。

 だから、私は〝彼女〟の存在も日常の一部と認識した。

 目の前、私の進んでいく道の上に私の向かって彼女は歩いていた。

 可愛いと私は思った。髪がきれいで見とれてしまった。

 彼女は私の隣を通りすぎるときに私に向かって言ってきた。

「おはようございます」

 私は少し嬉しくて、明るめの声で返した。

「おはようございます!」

 彼女はすこしだけ笑ってから私が歩いてきた方向に歩いていった。

 私はその笑顔を忘れなかった。



 学校に近づくにつれて私は疎外感を感じ始める。他のみんなは友達と楽しく話しているのに私はそれを片目にみながら1人歩かなければならないのだ。それはそうなるのも仕方ないことだろう。そう思いたい。

 私は人の少ない方、少ない方へと足を進める。それはとても自然なことで誰もそれを咎めない。当たり前の光景だ。

 


 私は『特別』なクラスに所属している。『Aクラス』というところだ。なぜ『特別』かというと、そのクラスは誰にも認知されていないのだ。学校関係者も正確にはその実態を把握していないらしい。私は詳しくわからないけど、代表なら解るのかな?

 『Aクラス』の場所は学校の地下にある。私は正確な場所がわからないからエレベーターに乗って『Aクラス』の目の前に移動することになっている。そのエレベーターは5年前に出来たらしい。どうして出来たのか『Aクラス』の〝担当〟であるすみれ先生に聞いてみたら

「移動が楽になって便利でしょ?」

 と言っていた。そんな単純なことでエレベーターを設置するだろうか。そんな深いようで浅い問答はする気にもならなかったのでしなかったけど。

 閑話休題。閑話休題。

 さて、私のダメダメさを無駄に語っている内にいつの間にかエレベーターホールに着きました。

 ちなみにこのエレベーターホールは地下に続く階段を下りたすぐそこにある。でも、エレベーターホールとは名ばかりでエレベーターは1つしかない。

 エレベーターの隣の壁にあるボタンを押してエレベーターの扉が開くのを待つ。

 やっぱりこの時間が1番暇なんだよなぁ。だから私はそんな暇な時間を利用してスマートフォン、いわゆるスマホを取り出す。

 私のスマホにはアプリが少ししかない。だから開いても意味が無いようなものだけどとりあえずgoogleを開いて私の好きなキャラの画像を検索する。

 はぁ~。やっぱりユータくんはかっこいいなぁ~。黒いパーカーをかぶってすこし上からの目が心をくすぐられる~!

 はっ!危ないところだった。もう少しで画面にキスするところだった。

 エレベーターの扉を見るとちょうど開くところだった。

 私はエレベーターに乗る。

 なにも起こらないからつまんないなぁ。



 ────なにも起こらないのが当然だ。

エリナはこれまでの主人公よりもすこし重要な役割になってます。

すこし長くなりますが、よろしくお願いします。

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