〈No.1〉優しく始めるのもわるくない。
中学時代の文章をストーリーをそのままに改変します。
いつになるかは不明ですが、よろしくお願いします。
これは僕が死ぬまでの物語。
1日で終わってしまうただのどこにでもある悲劇。
4月14日。入学式である。
朝の占いでビリなのを確認していつものように受け流す。
僕は気だるげでかったるい身体を持ち上げて、いつもより早めに家を出た。
「いってきます」
「いってらっしゃい」という返事は帰ってこない。僕の声は宙で空回りするだけだ。
僕は独り暮らしをしている。
ちゃんと家族はいる。
双子の姉の凉花に、父の雄志、母の鼎、の四人家族だ。
では何故今僕は独り暮らしをしているのかというと、僕の父が仕事で九州に行ってしまい、それについていく、と母が姉を連れて行ったからである。
僕は連れていく候補にも入っていない。姉は「残る」と言ったが母が
「駄目よ。こんな弟と一緒にいてもあなたの学力が下がるだけなんだから。」と言って姉は引き下がった。
僕としてはもう少し粘って欲しかったが結果は同じなので文句は言わなかった。
今回の引っ越しには姉の高校も関わっている。
姉は天才である。姉は僕と同じ家庭で同じ時間を同じく過ごしてきたのに全てが全て僕の上をいっていた。
だから、僕は厄介者扱いをされて、今、1人で新しい通学路を歩いている。
「……はぁ……」
自然とため息がでる。
だってそうでしょ。今、僕が向かっているのは高校だ。これから僕の青春の舞台となる世界への最初の登校。
初登校だよ?初日だよ?
このイベントはこれからの高校生活を左右する重大なものだ。ここで失敗するとこれからの高校生活が拷問と化す。逆に成功すると充実した高校生活を送ることが可能になる。
つまりこの最初で最後のイベントを制した者が全てを制するのと同義なのだ。
とか高校生活をなんとなく定義してみたけど全然緊張がほぐれない。
どうしよう学校が、高校が近づいてきた。
もう高校は目の前だ。後は足を1歩踏み出せば高校生活の始りだ。
だから今から深呼吸をします!
さぁ、深く吸ってー、吐いてー、また吸ってー、吐いてー、また吸っ──「あ、あのっ!」
ビクッ!
恐る恐る振り返ると僕より少し大きな男の子がいた。僕と同じ制服を着ているので、たぶんこの高校の生徒だと思う。
そしてその男子生徒は僕に向けて熱い視線を送り、頬を僅かに赤く染めている。
『マズイ』
長年(と言っても15年だが)の勘が僕に訴える。すぐに話をずらそうとするが、話題がない。と言うよりこの人知らない。
僕の頭がぐるぐるまわりスリップしてしまった時男子生徒は言った。
「お、俺と付き合ってください!」
凄く本気な顔で言ってきた。
「凉色さんの茶色い髪の毛とか可愛いくりっとした目とかもう全部好きです!」
マズイマズイマズイマズイぞ。
「俺と付き合ってください!」
僕は告白された。それも男の子にだ。
これは珍しいことではない。これまでもこんな修羅場(?)を幾度となくくぐり抜けてきた。
僕は声を振り絞り言った。
「いや、あの、ね。ぼ、ぼくじゃ、付き合うっていうのは無理なんだよ。……。ごめんね」
ところどころ詰まりながらも僕は断った。
そう言うとその男子生徒は世界が終わったような表情になり、「…そうですか……」と言って離れていった。
うぅ…男の子が可哀想だ。
「はぁ…」
〝女の子〟って大変だなぁ。
この主人公はすこし特殊らしいですよ?笑