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二話
声をかけてきたのは、雪斗の大好きな少女。
名前は空海夏子。
雪斗より背が高く、スラリとしている。
綺麗な顔立ちで、かわいくて明るく優しい少女だ。桜子の親友である。
「おはよう、空海さん!」
「おはよう、なっちゃん」
二人が返事をする。
「あ、お、おはよう、空海・・・さん」
雪斗も遅れて返事をした。
そうして、いつも4人で学校に向かう。
これが最近の4人の習慣だった。
「なあ、雪斗」
小さい声で亜紀が雪斗に話しかける。
「なに?」
「俺と空海さんを二人きりにしてくれないか?」
「・・・いいよ、わかった」
ちょうど桜子も、夏子に同じようなことを言われていた。
「ねえ、さくちゃん」
「うん?」
「私と紅葉くんを、二人きりにしてくれないかな?」
「・・・うん、わかった」
そうして、雪斗と桜子は目をあわせて合図しあって、二人で手をとり、そばにある学校への近道へと曲がった。