『招かざる飛空士達の幻想』――その6――
原作者さま? 又々、前回同様、ストーリー先行スミマセンっす(´;ω;`)
そんな訳でっ。前回魔晶洞での出来事から数週間後。クロウ達の姿は、あの古びた商業都市に居た――
そんな訳でっ!
『天空に舞う白銀の翼達は――』
始まり始まりっ!
――オーヴェル王国と隣国アシュヴィン帝国。両国との国境付近から丁度北西数十キロ先の地点に位置する古風漂わせる商業都市『ガリバリディー』
数年に一度に行われる各国の戦士達による武術大会での来客が一時立ち寄る場所でもあり。
あらゆる文化が交差する場所でも有名な都市なのである。
別の目的に設置された大使館に訪れる為に設けられた軍港には、
様々なこの世界では珍しい飛空艇と呼ばれる禁断の機械が街の上空を轟音を轟かせながら低空を飛行する。
そんな都市中央付近の港から更に一番北側の区画に赤煉瓦で囲まれたマリオンや光雄が営む小さな店。『アクエリアス機械光学研究所』と印された小さな看板がひっそりと設置されている。
その雑居ビルの地下に設置してある様々な資料が置いてある書籍倉庫内から物語は始まる――
◇◆
「まったくさぁ〜。まさかあんな代物がまだ存在していたとは、ねえ」
「なんだ? まだあの遺跡内の飛空艇が残ってたのが不服なのか? 」
ツン――と、密閉された空間に漂う黴臭い異臭に片手で自身の鼻を押さえながらクロウは、つい数日前に知り合いになった彼女のか細い腰元を、空いた手で器用に支える。
木製の床に立てられた、小さな足場がカタコトと慣らしながらマリオンは、目一杯手を伸ばす。
目の前に聳える本棚を漁っては又元に戻しながら口を開く。
「うん。そうだよ… あのスピード重視の小型艇はさぁ――少し大型機に分類するけどねっ。並の戦闘艇を凌駕する性能を。速度。火力。そして格闘戦で他を圧倒する為に政府から私に設計依頼を受けた特別なやつなんだよ」
書籍棚にある『第三次魔晶島奪還戦での英雄』と記された書籍を取出しながらマリオンは、下方から覗くクロウに渡す。
「かつての英雄とあの発掘艇と何の関係がっ? まさか!! ……の野郎!」
受け取った古い書籍をパラリと器用に広げるクロウは、ある人物の写真に目が止まり方眉を潜ませ、口元を歪める。
噛み締める奥歯をギリリと鳴らし、上方から見つめるマリオンに悟られないよう口内に押し殺すように呟く――
(そうか、"カルト"これも何かの因縁かもな)
無言のままクロウは、渡された書籍に黒い瞳を細めながら滑らす。
あの世界大戦で、因縁の彼がどう立ち回り干渉したかをひしひしと苛立ちを秘しながら読み上げる。
「〜歴●●年、3月16日。三度にわたる激戦の後。アシュヴィン帝國。戦艦Peter Strasser率いる機動艦隊は戦略的重要地点になるあの島を占領。しかし、信じられないが、たった一人の英雄により主力艦を失いVictoria louise spee提督。戦死…それを機に撤退を余儀なくか。ほぅ〜? 成る程ねェ」
所々薄汚れたラテン文字で書き記された書籍に目を泳がす。
「うん。あの悲劇の後…対魔法に特化した厳しい要求に対応した設計を提督の敵討ちとばかり必死で取り組み。そして出来た戦闘艇の設計図なんだよ。
私、後から震えがとまらなかった。あんな物があるから…唯一の身内を失ったと思う。あの提督は私の父ですっ!そして、そんな私と共に居てくれた部下の光雄が一緒に逃げようって…」
「クロウさんはさぁ〜。そんな危ない機体を復活させ、一体何を望むの? ぶっちゃけ場合によっちゃ復活させる前に爆破も光雄と二人で考えてたんだよっ」
左手で器用に本棚の端を掴みながら、自身の下方から支える彼の眼差しをじっと見つめながら彼女は一言告げる。
パチリと弾けながら照らす蝋燭の灯りに照らされ、淡い水色が菫色に染まる髪を揺らしながら、ボンヤリと映る彼女の表情は、けしてニコヤカな表情ではないのだ。
「あっ! ねぇねぇ。マリオンちゃん。ここにある『格好よく決める女性のマル秘ファッション』って、それにちょっとちょっと。『美味しい紅茶特集』とか。うふふっ」
「「――えっ!?」」
「イソレット……お前なぁぁ(汗)」
マリオンがクロウに投げ掛けた一言もあいまり、数秒の沈黙。
しかし、その沈黙を掻き消したのは、下方で可愛らしくかがみながら本棚にある書籍を漁る元気いっぱいなイソレットであった。
「んっ? わわっ! イソレットさんっ。えっと…その」
「とりあえずは二人共ちと休憩だなっ。こんなきな臭い場所に居たらあの魔晶洞を思い出しちまうぜ」
やれやれと肩を落としながら先程の厳しい表情から一変し、優しげな笑顔でクロウは二人の彼女達を暗い倉庫内から明るいリビングへエスコートするのであった。
(カルト――てめぇのこの世界を壊す野望は、俺達が必ず阻止してやる)
クロウは、目の前で賑やかになるイソレットとマリオンを眺め。彼女の仇でもある彼の野望をこの手で阻止する事を胸に誓いながら――
◆◇
「うっわぁぁ! すっげ! みんな真っ白な石畳だぜっ」
「ってコラッ!突然走りださないでくれるかなぁピンク頭。さっき注意したばっかだろ。あなたはニワトリですか?」
白くちりばめられた綺麗に整理された石畳の道を賑やかに駆け出すピンク頭とそれを必死に取り押さえようとする青髪の少女の姿が映る。
とある商業都市でクロウ達御一行が発掘艇の稼働に必要な資料を調べている最中。一方スノウ達御一行はと言うと?
「はぁ〜… こんな場所ではしゃぐなよ。光雄くんを連れて来たのはとんだ誤算だな。俺達まで田舎者に見ちまう」
オーヴェル王国の首都エストハイム。美しく茂る街路樹の続くメインストリート沿いにうだる表情でワシャリと程よく伸びた白髪を押さえるスノウの姿が映る。
その彼の目線の先に先程から騒がしい二人の人物。光雄を取り押さえようとするユウキにこれまた膨大なため息を溢す。
スノウ達が所属するギルド。シルベリーのメンバーの一人。カイルに自分達が魔晶洞に赴いている間。あの遺跡での発掘飛空艇の修復と整備が完了したとの情報が入る。
当然仕上げになる細かい機器類の資料当をクロウ達に任せ、この二人を連れてシルベリーに赴いていたのだが…
「ま、ボク達が住むシルベリーは、こういう一般市民には珍しいんだけどねっ。どうよバカピンク頭。あっちには、王宮から流れる水路が集まる噴水。ってコラァそこは違うっ顔を洗うなぁぁ!」
「ん? なんでだ?
「ユウキ〜…お前何時から観光案内を始めたんだ?」
「なっ! これが観光案内に見えますかっ! って?なんだカイルか」
明るめの栗色の髪を揺らしながら白と赤を主張とした独自の民族衣装の腰元に両手をそえながら佇む青年の姿が二人の視界に入る。
スノウと同じくシルベリーに所属するカイルと名乗る知り合いの透かしたような表情で見つめられる。
ユウキは、コメカミを引く尽かせながら、丁度涙目のピンク頭事光雄を噴水からひっぺがす。
そして力任せにどつく体制で停止。
そんな間抜けな姿を目撃され、何故か顔を真赤に赤らめた彼女の拳は、光雄ではなく。目の前に爽やかな笑顔を向ける彼に突き刺さっていた。
「まったく、ユウキも"アイツ等"相手にナニやってんだか…」
何故か三人して騒がしくなる様子を膨大なため息をつくスノウの見上げる青空は…小鳥達が囀りゆっくりと平和な景色が流れる。
そして、数分の後。カイルは、ユウキ。スノウ。光雄を引き連れながら、シルベリーにあるとある倉庫まで三人を引きつれていた。
発掘飛空艇。その因縁深い白銀の機体を確認する為に――
更に無理やりだが、次回へ続く。
〜後書きコーナー〜
マ「さてさて、いよいよこの物語の要にもなります白銀の飛空艇っ!」
ク「この話が終わった後に、あのアホで有名な作者が機体のイメージイラストをアップするみたいだから」
光「多分、すっごいのを期待する?」
「「それはあなただけでしょっ!」」
光「いや…(汗」
ク「次回もよろしくなっ!」