『招かざる飛空士達の幻想』――その3――
さてさて約半月ぶりに大変お待たせしました。
夢のコラボ企画第二段。
前回に続く今回は…。
オーヴェル王国に聳える山脈地帯。
そこの遥か上空で前代未聞の謎の翼竜に突如襲われるスノウとユウキ達。
遥か太古の空の王者。この異世界で未だ生息する肉食恐竜ランフォリンクス!!
果たしてユウキ達はこの獰猛な"腹を透かせた"翼竜達の餌になってしまうのか!
そんな訳で!
『異世界転生?なにそれおいしいの?』
『光学の超高密度収縮粒子砲戦記』
始まり始まりっ!!
「来たっきたよ!光雄っ。早く上昇を。ううん!このまま機体を左に急旋回して?うっわわわわっ!」
「ったく水色は下がれっつの!」
オーヴェル王国の首都エストハイムから遥か北西に数百キロ先に位置に聳えるモンタナ山脈。
上空7000フィートで繰り広げられる前代未聞の空中戦はその甲高い掛け声から始まる。
照りつける日差しと銀魔特有の輝きを見せる飛空艇。主翼にマーキングされたオーヴェルとは違う。
かつてのマリオンの故郷。アシュヴィン帝国空軍のマーキングが書き記された戦略爆撃艇Dauntlessと呼ばれる重い機体に時速350キロ以上で差し迫る翼竜。
本来は、このような格闘戦向きではなく。
抜群の機動性や火力。そして優れた旋回性能を誇る戦闘艇の護衛で作戦を行う機体である。
差し迫る翼竜の鋭く頑丈な嘴と爪が最大速度を利用し、ガリガリとと接触する。
その度に堅い銀魔の装甲は勢い良くリペットが吹き飛び数枚がめくれ上がるのだ。
「くそっ、このままじゃバラバラにされるぞっ!」
光雄は左右に激しく暴れる機体を操縦桿を引き戻し、足元にあるラダーを豪快に蹴飛ばす。
機体のバランスを何とか保とうと必死なのだ。
「ちぃ!こうなったら。おいっ。スノウさんかマリオンっ。誰でもいい、機体後部と左右にある20ミリ機関砲で墜ち落としてくれ。」
「バカ光雄。んなちゃちな玩具で無理だよ!こうなったら何処か近くに不時着してよっ!」
半壊した搬入用ハッチから身を乗り出すマリオンは、紫色のマントを激しくばたつかせながら遥か下方で旋回する複数の翼竜を辞任する。
「ねえ、スノウさん。あの鳥さん…一匹じゃないみたいだよっ。」
「ああ知ってるぞ、"ランフォリンクス"だ。約6億年前、ジュラ紀から生息してる鳥のご先祖だな…。」
「ご先祖!?恐竜は私の住んでたアシュヴィンでたまに見るけどみんなバラバラだったし。まさか…群れが。」
「そうだな。クロウが以前飼い馴らして専用にするってよくこんな場所まで生け捕りに来てたから分かるんだが…。あの手の輩はこういう山脈地帯に巣を作り集団で行動する。その意味は分かるよな。」
「まさか…縄張り(テリトリー)に勝手に入ったから?……きゃっ!」
突如鋭い嘴が差し迫り紙一重で回避するマリオン。しかしかなり強い風圧に突き飛ばされたのか両足がもつれる。
当然バランスを崩すマリオンの腹に鋭い爪が差し迫り。
「――へ?きゃぁぁっ!」
「ってコラ!なにやってんだよ水色っ!」
「はわぁ…。」
いくら足が遅い爆撃艇でもやはり時速200キロ以上は出ている。
激しく突き刺さる風に煽られながらも隣側で2人の会話を聞き流していたユウキに抱き抱えられる。
その際に重い一けりを逆に翼竜のどてっ腹にお見舞いする。
差し迫る鳥を追っ払い、危機一髪なんとか餌にならずにすんだマリオンなのだが。
やはりお互いに外方を向き再び「ふんっ!」と鼻をならし離れるのだ。
仲が良いのだか悪いのだか分からない2人の少女にスノウは呆れ顔で両肩を落とし、ため息をつく。
彼はやれやれと重い腰を上げる。
そしてマリオンと同じく、機体真横の搬入用ハッチから身を乗り出し下方を眺める。
遥か下方の山脈に一匹ならまだしも別の群れなのか、約10匹づつ滑空するのを辞任するのだ。
「えっ?スノウさん。こんな場所で一体なにするんだよ。」
スノウは自身の隣側で一体何が起こるか分からずに動揺するマリオンを横目でスルー。
やれやれといった表情で黒いローブの懐から小さな筒状の物を取出しながら器用に伸ばして行く。
そして遥か下方を仰ぎ口元を歪ませ不敵な笑顔で何かしらを確認する。
彼の背後でそんな二人の様子を両腕を組みながら見つめているユウキに何かしらのジェスチャーを送った。
そう。「奴等を巣から全部炙り出す。」と――。
◇◆
スノウはふっ…。とハニカムような素振りで頷くと同時に機体真横の搬入用ハッチ脇に只今固定してある大剣のつかをぐっと握る。 ガリガリと火花を散らしながら力任せに引き抜く。
特殊なコーティングが施されているのか。妖しいオリハルコン独自の光沢を輝かせる大剣を片手で軽々と持ち上げる。
独特な風切り音をこじんまりとした機内に刻みながら一降りし感覚を確かめる。
蒼白い光跡を残し美しくも力強い輝きを見せるのだ。
このような大型の剣は多分このような素早く移動するようなモンスターを狩るにはかなり不利に見えるだろう。
しかしそれは、魔力をあまり持たない者達の一般論に過ぎない。
彼の扱うこの魔力を浴びた大剣は違っていた――。
カチャリと小気味よい音源を響かせ中段の構えで制止する。
未だに搬入用ハッチから激しい風が吹き込む。
特徴のある白色の髪が揺れる。
赤い両瞳を細め、遥か下方に見える山脈の一角。
そこに複数の群れが集まるのを辞任する。
数秒の沈黙――そして!
「いいか。まずは俺が、蜂の巣を突いて切っ掛けを作る。後のメインディッシュはユウキ。あんたにやるよっ。」
「――Burn out the blade shakes the heavens and all quite(天を貫く刃となりて、全てを焼き尽くせ)はぁぁぁぁああああっ!『Thunder-blast』っ!!」
スノウは軽く並の魔導師では到達不可能な禁書目録級魔法を軽く詠唱する。
そして最後のspellを唱えると同時に耳をつんざく雷鳴が轟く。
視界全体を眩ゆく照らしながら約数億ボルトにも達する高電流が天空に翳した大剣に突き刺さる。
雷系最強と唄われる『Thunber-blast』…。
まるで生き物のようにうねりを上げる高出力に達する電気。
下方に向け電流を浴びた大剣が大気を引き裂く!
巨大な電撃が大気を2つに裂いて山脈の遥か下方が一瞬で数百メートルに達する巨大な火柱が上がり。同時に群がる翼竜事辺り一面火の海にするのだ。
「まったく――なによあれ。あんな凄い魔術が使えたなら最初からって?うわわっ!?10匹?違う。凄い数がこっちに来るよっ!!」
「おいおい。さっきボクが行った事分からないのか水色。」
「ちちょっと。青髪っ!なにすんだよっ!」
「狩りのまき添い食らいたくなかったら退いてろっ!」
機体中央の搬入用ハッチから顔を出すマリオンの左手を掴む。
力任せに嫌がる彼女を機内に引っ張り込む。
数秒たたないうちにミシリと機体を歪ませる乱気流。自身の巣を失ったどす黒い翼竜の群れが次々に通過する。
一体何が起きたか分からない表情のマリオンをそのまま後方に飛ばす。
嫌がるマリオンの手を離すと同時、その反動を利用する。
ダンッ!と右足を堅い鉄製の床を蹴飛ばし、前方に踏み出す。
今度は選手交代といわんばかりに後方に下がるスノウと交差。
お互い横目で意見を確かめながらスノウはユウキに後の処理を任せるのだ。
その僅か数秒で左手を座席の角につけ華麗に飛び越える。
螺旋状に軌道を描きながら右手に構える魔剣を力一杯前方に突き出した。
「見えたっ。そこぉぉぉぉぉぉおおおおっ!!」
力任せに前方に撃ち出された斬撃と彼女の最も得意とする風の刃が豪快な渦を巻き、音も無く虚空を引き裂いた!!
タンッ――。と小気味良い着地音の数秒後。轟!と耳を引き裂く風切音と共に蒼い髪が激しく揺れる。
音速を越えた斬撃が螺旋状に突き抜ける。
眼前に差し迫る翼竜数匹を無惨な姿に曝しながら巻き込み遥か前方で四散。
同時に波紋状に蒼白い光跡が拡散し空をおおいつくし消滅した。
「ふぅ〜ざっとこんなもんさ。あん?どうした水色?」
「…………はわ。」
先程の荒技を披露し、軽く汗を流すユウキに何も言えないマリオンであった。
そしてスノウとユウキ達の活躍で差し迫る危機を何とか無事に脱した光雄達は。
遂に下方に広がる直径約7キロにもなる巨大なクレーター。
それこそクロウが密かに情報を仕入れていたモンタナ魔晶洞なのである。
更に無理やりだが
次回へ続く。
『後書きコーナー』
マ「はいはい。そんな訳で今回も司会を勤めますマリオンだよっ!」
マ「んで。今回のゲストは………」
ユ「ん?なんだ。誰かと思って来たら……へぇ?水色かぁ。」
マ「――ひゃぁぁ。青髪!?…。」
ユ「なんだよ。尻尾踏んづけられた"猫"みたいな声出してさぁ〜。」
マ「――私っ。"猫"じゃないよっ。」
ユ「へっ?"バカ"。そういうんじゃなくて…ボクは。」
マ「私。"バカ"じゃないよっ!」
ク「いやね?はぁ〜あんたとはつくづく話が合わないなw」
マ「うぅ…w」
◆◇
マ「うぅ。"ヤヴァイ"よ。私ほんっとあの人苦手かもw…。そんな訳で。今回も原作者の川橋さんの本編。あの主役のクロウさんが"大ピンチ"!絶対見逃すなだよっ!」