『招かざる飛空士達の幻想』――その2――
さてさて。
大変お待たせいたしました。
夢のコラボ企画第二段!まだまだ続く
『異世界×光学』
での前回の続きになります今回は。
クロウ達は。唯一遺跡を動かせる重要人物であるマリオンと接触。
そして。彼女の手首に刻まれた意外な秘密と。
後半は。いよいよ遺跡を飛ばす為にスノウやユウキ達がとある場所に訪れるが?果たしてっ!
そんな訳でっ
『異世界転生?なにそれおいしいの?』
『光学の超高密度収縮粒子砲戦記』
始まり始まりっ!!
「あんた…。もしかして手首の傷…っつーか。その紋章アシュヴィン魔導科学特殊開発のプロ『Vasilevs-Georgios』との関係者か。」
「――っ!?」
午後の暖かな日差しが差す。この一室を凍り付かせるような一言が響く。
かつての大戦…。空を支配する巨大な鋼鉄の要塞。 弩戦艦Braunschweigを中心にした『女王艦隊』と恐れられた空中艦隊。
その設計者でもある彼女の表情が引きつる。
紅茶カップをカタカタと鳴らしそれを持つ右手首を慌てて左手で隠す。 マリオンは水色の髪を揺らしながら俯いた
「まさかね。そうだよ。あの艦隊――全部私の設計した船だった。それがどうしたって言うんだよっ!」
「もう言うな…。」
「そして飛空艇を武装化して戦力にする発案は私はのぞまなかったんだよっ!だってそうでしょっ?飛空艇は唯一この機械を禁断するこの世界での乗物。それを人殺しに使うのは望まなかったのにっ…あんなっ…くっ!」
「もう思い出すな。アンタが設計したあの忌々しい乗り物達は戦争が終結し。全て処分したんだろっ?」
「――うん。」
小さな肩が震える。その彼女の肩にそっと叩き。宥めようとする光雄。
マリオンは煮え切らない笑顔を残し。両手を机上に開き只じっと眺める。
何万――否。何百何千万の命を奪ったとはとても思えないような小さな手。
爽やかなこぼれ日に照らされた一室内にとても重苦しい空気が漂う。
そんな様子を相対する席から無言で眺めていたクロウは。先程口に含んだ紅茶のカップをカチャリと丁寧に置く。
やれやれとため息を溢し、この重苦しい沈黙を打ち消す。
「まぁまぁまぁまぁ。人それぞれの私情は誰だってある。うん。ヤヴァイ事は忘れるに限るぜっ!なぁ。スノウ。」
「ったく。あんたの楽観的思考にゃ〜まったく――あ〜。えっと。さっきは。」
何とも一瞬でこの空間に立ち込めるどんより雲を
『To Aru majutsu禁書目録級魔法』。『妖精の煌き(Oracle-critters)』で吹き飛ばしたようなぶっ飛びぶりなのだ。
「ううんっ…えっと。あなたたちって一体…。」
先程の重苦しい空気は何処へやら。マリオンはキョトンとした表情で自身を取り巻くメンバー達を。恥から眺める。
しかし相対するクロウやイソレットはにこやかに微笑み返すも。
その隣席に腰を下ろすユウキだけは『ふんっ!』と鼻をならし外方を向く。
その彼女を軽くコヅククロウと何かしら言い争っているようだ。
そんな最中。両腕を組みながら再びマリオンに。かのとある場所で発見した遺跡の事を詳しく説明しだすのである。
「ふっ…。さてスノウ君。まずはマリオンに相談とあらば俺様を忘れてもらっちゃこまるぜっ。」
「えっ?あ…。ああ。たしかあんた。葛城君だっけか?」
「んもぅ〜…。今から大事な話しするんだからっ"バカ光雄"は彼方のクロウさん達と話しててよっ」
何ともその会話に水を差すように顔を突っ込み出す光雄。
やはり久々の来客に浮き足立つ気持ちは解らないでもないが。
そんな3人の様子を相対するユウキは。
碧い大きな両目蓋を細めながら煮え切らない表情で観察する。
「へえ?このバカ面ピンク頭。面白いな。ま!どーせボクより劣る大した事ない奴だと思うけど。」
「んなっ!?小娘…。言わせておけば。この俺様はなぁぁ。何を隠そう。」
「あ〜はいはい。只のそこの水色のゲボクでしょっ」
「むぐぐ……(涙)」
「ユウキぃ〜初対面の彼に失礼でしょうが」
とまぁ。先程から相対する彼女に散々小馬鹿にされぐぬぬ…。と間抜けに力む光雄。
その会話に再びやれやれとため息をつく。
クロウは不貞腐れるユウキにピシリと指摘するのだ。
◇◆
そして。さかのぼる事数時間後。オーヴェルの首都。エストハイムから遥か北西に数百キロ離れた地。
そこに聳えるモンタナ山脈の上空7000フィート付近から。聞きなれない魔導推進音が響き渡る。
魔銀特有の美しい輝きが照りつける日差しにキラキラと反射しながら滑空し。
ゆっくりとした旋回軌道を描く機影が映るのだ。
「うっげぇwぎもちわる。」
「おいっ。ユウキっ!しっかりしろ。」
「げぇ…スノウ。もうボクダメかも。出るっ…。でちゃうぅ〜」
「へっ?でちゃう!?うわっ!ぺっぺっやめろっ俺にっ!」
「んもぅ〜っ!バカ光雄っ。あんま機体を揺らすなよっ。だから操縦をスノウさんに変われってあれ程言ったのにぃ!」
「仕方ないだろっ。現に唯一飛べる機体はこのポンコツくれぇ〜だし…。多分誰が操縦しても同じだっつの!」
ミシリ…。と嫌な音を機体の節々から響かせる。
飛空艇と言うよりは。さながら全長15メートルの胴体に主翼の略真下に旧式のレシプロ機を彷彿とさせる古典的な魔導推進エンジンが二機。
そして機体の後方にも水平尾翼。更に尾翼の先には真っ直ぐと2つの垂直尾翼が目立ち。
まるでクロウ達が元居た世界での飛行機を連想させる解体間近の旧式機なのである。
「ねえ。ほらっ。あそこだよっ!」
そんな最中。マリオンは機体中央の搬入用ハッチから身を乗り出しとある場所を辞任する。
激しく吹き込む風に煽られながらスノウは。バタバタと扇ぐ黒いローブの懐からある一枚のプリントを取出し。確認する。
「(ほう〜?ヤハリここか。確か。俺達がさっきまで居た。商業都市から北西60度西南西78度の地点――正にビンゴだぜっ!"あいつ"。直感っつーか天性っつーか"俺達がここに来るの知ってたんか?)」
「なぁユウキ。ここが…。」
「う"…。今ボクに話しかけてもなにもわからない。うん。なにも聞こえ…。っつーか水色っ!!人が気分悪いのに窓開けるな?…うぷっ!」
「はわわw…。」
未だに気分が悪いのか…。時折謎のうめき声を発しながらじと目で隣側で身を乗り出すマリオンを睨み付けるユウキの姿が視界に入る。
そんな様子を見つめるスノウはある事に気が付く。 そして今度は機内の。しかも自分の頭上に設置してある収納ボックスをカチャリと開く。
そしてゴソリと奥側から水筒と何かしらのビンを取り出し、隣側で青ざめた表情のユウキに差し出すのだ。
「うぐぅ。なんだよ。」
「ほれっ!いいから飲めっ。こんな時の為にイソレットから貰った薬だ。何か酔い止めに効くらしいぞっ!」
差し出された薬やその他を乱雑に奪い取るユウキ。 無理もない。産まれて初めて機械仕掛けの乗り物に乗る。
しかもそれが自動車ならまだしも空を飛ぶ飛空艇ときたもんだから酔うのは当たり前なのだ。
ユウキは差し出された"それ"を迷う事なく一気に飲み干した。
◆◇
「ねえ。えっと…さっきはありがとう。お陰で何とか大丈夫みたい。それにこれ持って来てくれたのってイソレットか?」
「いや。クロウが用意した物らしいんだがな。」
「ふぅ〜ん?あいつかぁ〜…。後さっきから眺めてるこの地図って?。まさかっ!」
「ああ。間違いない。ここがかつての魔石採掘場。モンタナ魔晶洞だ。」
「魔晶洞?それって。」
「ユウキ。あんたはあまり魔導科学に関わって無かったから知らないと思うが。この世界に革命をもたらした蒸気機関に変わる新たなエネルギー原。
まぁそいつを巡り引き金になり。幾つかの国同士の争いにもなった。そして今は禁止されている禁断の科学技術っつー訳だがな。」
「それがあの。ボクが教科書でしかしらない第三次大戦か。」
クロウが前持ってこんな事になるのを予想していたのか。彼がイソレットに頼み手渡された薬の効き目である程度。気分が回復したユウキ。
隣席に腰を下ろすスノウに寄りかかる。
激しく吹き荒れる風に揺れる青色の髪を気にしながら彼が両手に持つプリントを覗き込む。
「で。今あんたが見てるここっ!既に閉鎖されているみたいだが。かつてここオーヴェルに幾つか点在してる魔石採掘現場の一つ。っつー事だ。」
スノウが見つめるプリント。元々別の目的で武器を鍛練させる為にクロウが情報屋から買い取ったのか。
それがまさかこのような形で役立つと。ユウキはそんな彼の臨機応変に様々な事をこなす性質に感心する。
そして一言頷きながら。目線を未だ外に身を乗り出すマリオンに向ける。
しかし。彼女の妙な様子に気づいた瞬間。
「きゃっ!」
「おいっどうしたっ。」
「光雄っ!はっ。速く機体の速度を上げてよっ。あれがさっきから私達に付いて来るんだよっ。」
マリオンの引きつった表情から視線を彼女が見てる先に向ける。
瞬間ユウキ達の後方六時方から黒い"ナニカ"が勢い良くスレスレを通過。
ミシリ…。と乱気流が発生し不安定になる機体を光雄は必死に操縦桿を引き戻し、立て直そうとする。
「ちぃっ!んな場所に鳥さんかよっ。皆っ悪い。何かに捕まっていてくれ。」
巨大な翼をはためかせ旋回するそれはかつて太古の昔に滅んだ空の王者。翼竜にも似たシルエットの謎の生物に襲われる。
しかし。必死になる光雄とマリオンとは裏腹に。スノウとユウキは不敵な笑顔を溢していた。
「さてっ。なぁ、ユウキ…。今晩のおかずはどうすっか。」
「ふっ。無論焼き鳥決定だねっ。」
前代未聞の遥か7000フィートでの危機!!
スノウ達は。果たしてこのまま無事に飛空艇用の推進用魔石は無事に手に入れる事が出来るのであるか。
又々無理矢理だが。
次回へ続く!!
『後書きコーナー』
マ「そんな訳でっ!『異世界』での原作者。川橋さんの所での雑談コーナーにあやかりまして。」
ク「ヤヴァイ!!」
マ「へっ?クロウさん。いきなりどうしたの?」
ク「いやね?ここに来る事をだ。うん。イソレットに伝えっ!?」
イ「びきっ!へぇ〜?クロウ。私との約束すっぽかして。マリオンちゃんとねぇ〜」
ク「げぇっ!いや。これは言伝が伝わりそこねたっつーか。って!?コラッ。放せっ。」
イ「後でゆぅ〜っくりと話しあおっか♪ねぇ。クロウっ。」
マ「はわわw…。」
◆◇
マ「ええっとw…そっ…。そんな訳で。原作者である川橋さん所の本編も。是非ともよろしくねっ!」