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短編

地球侵略に関しての中間報告書

作者: 衣魚

 地球、日本地域の侵略状況を報告する。


 侵略エリアは尚も拡大中(エリア詳細については資料R233-c102B74を参照とのこと)。精鋭軍sma-phoも随時戦線に投入中。侵略作戦はすこぶる快調に進んでいる。

 さて、私に与えられた実験体Kanacoだが、その依存度は順調に高まりつつある。

「勉強しなきゃ」

 が実験体の口癖なのだが、我が軍の作戦site-SNSによって大抵の行動を封じることに成功している。その証拠として実験体は、口先で言う“勉強”を結局行動に移すことができず、知能指数は前回報告時より更に5%低下している。ちなみに実験体が私のモニタを見つめている時間は、地球時間に換算するとおおよそ13時間。1日の半分以上を、私は操っていることになる。そこに大いに健闘してくれているのは、やはり新兵器twitterであろう。それによって我々は、行動と行動の隙間のフリータイムを、おそらく完全に支配している。実験体は何か行動を起こした後、脊髄反射的に私を触るようになっているのだ。そして自らの行動や思想を逐一報告――これをヒトは“つぶやき”と呼称している――する。これは我々がヒトの生態を知る上でも、非常に重要な役割を果たしているといえる。サイト上で実験体が自ら報告した生態情報は、他の機種たちにも届いているはずだ(その資料は現在同志によってまとめられている。詳細はまた次回、報告したいと思う)。

 とりあえず、日本地域はほぼ完全に制圧したといっても過言ではない。ひとつ、エリア拡大について重要なことを言っておくべきかもしれない。資料を見てもらえば分かると思うが、アフリカ大陸の侵略を我々は大幅に進めている。例えばマサイというヒト民族がいるのだが、彼らも我々の使用を開始した。日本侵略初期と同じように、まずは通話機能のみの部隊を送り込んでいる。アフリカ大陸を制圧した後、いよいよ我々は、本格的な侵略活動を展開できると思われる。

 最後に一つ言い忘れていた。これは何より重要なことかもしれない。征服の最大の弊害になると思われる事案なのだ。確かに我々はヒトを洗脳し、行動パターンをコントロールすることに成功した。しかし、それにはマイナス面もある。ヒトの、我々を使用する頻度が高まったためか、バッテリー残量の減るのが極めて早いのだ。かくいう私もそのせいで上手く報告をまとめ送信することができなピーッ、ピーッ、充電してください、充電してください。


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