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7 悪役令嬢と義弟

今は6月、この世界にも随分慣れた。気候の変動も少ないのか、雨もあまり降らない。

ジメジメするのは嫌だったけど、雨音を聞きながら本を読むのも中々良いものだったんだけどな。


私は今、書庫で本を読んでいる。

つい最近まではアリシアと一緒に遊んだり、お茶をしていたが、アリシアも行儀作法の勉強が始まったからだ。

元々5歳とは思えないほど行儀も良く、話し方もお上品だから身につけるのも早いだろう。

そんなことを呑気に考えていた。


平和な日々を送っていたことで、私は忘れていたのだ、重要なことを


「お父様、今日も帰って来ませんね」

アリシアが悲しそうに呟く。

パトリシアの父親、アルフレッドは宰相をしている。というのも、国王ランドルフと幼い頃からの友人だったため、一番信頼しているアルフレッドを宰相にしたようだ。

「お仕事がお忙しいみたい。」

ベアトリスが困ったように笑う。

その日の夕食はそんな話で終わった。


何か忘れてるような。

小説だとこの時期はパトリシアは家族と一緒に食事を取らないし、部屋にいることが多かったからなぁ。

まあ思い出せないものは仕方ない今日はもう眠ろう。


次の日、アルフレッドは帰ってきた、ブロンドベージュの髪にエメラルドの瞳の男の子と一緒に。


「この子はセシル、今日から家族だ」


そうだ、思い出した。

この子、セシルは侯爵家の一人息子だった。両親が事故で亡くなってからは、父方の親戚が侯爵家を継ぐことに、ただその親戚家族が最悪で、財産目当てで跡を継いだため仕事もロクにしない。最初こそ優しくしていたのに暴力を振るうようになる。それを見ていた親戚の子供もセシルをいじめるようになる。

元々あまり良い噂を聞かない家族だったため、国王からの指示でアルフレッドが動いた。爵位を返上されるために、その後は詳しくは書かれてはいなかったけど、僻地に送られたとかなんとか。


そんなこんなで、セシルはアルフレッドに保護される。


パトリシアは、アリシアに対してほどではないが、セシルに対しても酷い態度を取る。

パトリシアとの接点はそれほどないキャラだった。

まあ、殺されたりするわけじゃないから大丈夫だけど、仲が悪いよりは良い方が良いし。


「私はパトリシアよ、よろしくね」

そっと手を差し出す。

セシルはビクッと音が聞こえるぐらい肩を揺らした。

「この子は僕の娘でね、君の一つ上のお姉さんだよ」

「私はベアトリスよ、そしてこの子はアリシア」

ベアトリスがアリシアの肩に手をやる。

「私はアリシアです。よろしくお願いします。」

アリシアは不安そうな表情で挨拶をしていた。

アルフレッドがセシルの背中を軽くポンっと叩いた。

「あの、僕はセシルです。」

今にも消え入りそうなか細い声だった。

それもそうだろう、突然知らない所に連れてこられ、いきなり家族だなんて言われたんだから。


「さて、挨拶も済んだし、セシルは今日はもう休もうか」

アルフレッドは侍従達に指示を出し、セシルと一緒にその場を後にした。



「お姉様、お庭に行きましょう」


セシルが来た翌日、私はアリシアと一緒に庭で本を読んでいる。


どこかから視線を感じ辺りを見回す

「お姉様?」

あれは

「アリシア、ほら上を見てセシルが見てるわ」

2階の部屋の窓からこちらを見ていたセシル。私はセシルに手を振ってみた。セシルとはパチっと目が合ったがすぐに窓からいなくなってしまった。

「あの方は私達が嫌いなんでしょうか?」

アリシアは悲しげに呟く

「そんなことないわ、まだ来たばかりで不安なだけよ」

多分とはつけくわえなかった。


それから、アリシアと庭に出るたびにセシルからの視線を感じることになる。

もしかしてアリシアの言ってた通りすでに嫌われてる?


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