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52 悪役令嬢の誕生日会

私は今日で14歳になった。15歳の誕生日会は盛大にやるものだと聞いたので、今年は人数も規模も控えめにして欲しいと頼んだ。

おかげで参加者は私の友人達だけだ。他の貴族達からのゴマすりには嫌気が差していたから助かった。

それに、着飾る必要もないから…と思っていたが、そういうわけにはいかないようで毎年のごとく、プレゼントされたドレスを着ることになった。

水色を基調としたドレスに白いレースの刺繍が施された、袖にボリュームのあるものだった。

汚さない様に気をつけないと。

「お嬢様は何をお召しになられても素敵ですね」

アンナは優しい手つきで私の髪を梳かす。

「本日の髪型は私が決めてもよろしいですか」

いつもは梳かして終わりだが、特別なときはヘアアレンジをお願いしている。

「ええ、よろしく頼むわね」

「ありがとうございます。こちらをつけさせていただいてもよろしいですか?」

アンナが持ってきたのは、ドレスと同じような水色に白いレースのリボンだった。私の持っていないアクセサリーだ。

「素敵なリボンね」

「喜んで頂けて嬉しいです。お嬢様のドレスに合わせて作ってみたのです」

手作り?私のお世話で常にそばにいるのに、そんな時間があるの?きっと寝る間も惜しんで作ってくれたのね。

「ありがとう、本当に嬉しいわ」

髪型はアンナのリボンを編み込んだハーフアップになった。

ドレスの動きを確認していると扉を叩かれる。

「お姉様、お誕生日おめでとうございます」

「誕生日おめでとう」

扉を開けるとアリシアとセシルがお祝いしてくれた。毎年一番にお祝いしたいからと来てくれる。

「二人ともありがとう」

「お姉様今日も素敵です」

アリシアが抱きついてきた。いくつになっても甘えん坊さんだな。

「姉さんその格好凄く…似合ってる…綺麗だね」

セシルは褒め慣れてないのか、少し顔が赤い。最近は背も越されて、男の子らしくなってきたけどこういうところは可愛いな。

「ふふ、ありがとう」

「これ僕とアリシアからプレゼント」

セシルから箱を受け取った。

「お姉様のお召しになっているドレスにぴったりのパンプスです」

「まあ、ありがとう早速履いてみようかしら」

「是非、絶対に似合いますよ」

アリシアが興奮気味に言う。それにしてもアンナといい二人といい、何で私よりも先にドレスを知っていたんだろう。まあアンナは、知っててもおかしくないのか?

私はアリシアとセシルを部屋に入れ、靴を履き替える。二人がプレゼントしてくれたパンプスは、水色のパンプスに白いレースと青いリボンのものだ。

「やっぱり、とってもお似合いです」

アリシアの言葉にセシルがうんうんと頷く。二人ともセンスが良いな。


少しして、みんながお祝いに来てくれた。

「パトリシア様おめでとうございます。こちら、開けてみてください」

エレノアからのプレゼントは、エレノアとお揃いの青いリボンのバレッタだ。

「ありがとう、可愛いリボンね」

「パトリシア、私からも」

カイルからプレゼントを受け取ると開けるよう促された。チョコレートとダイヤモンドのイヤリングだった。

「チョコレートは特別に取り寄せてもらったんだ。君の口に合うと良いんだけど」

この間のは、私への誕生日プレゼントのリサーチのためだったのか。てっきりアリシアと仲良くなるためのきっかけ作りのためかと思っていた。

「嬉しいです。カイル様ありがとうございます」

「ダイヤモンドは熱や紫外線に強いので、外で長時間着けていても変色の心配はありませんわ」

そうなんだ、エレノアは宝石に詳しいのか。それにしても婚約者とはいえこんな高価な物を…今年も花束で良かったのに、あ、もしかしたらこれが最後の方プレゼントなのかも。

「トリシャちゃん、僕からも…」

細長い箱を開けると扇が入っていた。扇を広げてみると、青色に金の薔薇の刺繍にレースが施された。タッセル付きの扇だ。

「姉さんからアドバイスをもらって選んだんだ」

ミシェルが仲が悪かったはずの姉にアドバイスをもらって選んでくれるなんて

「ありがとう、とても素敵ね」

「トリシャちゃんに喜んでもらえて嬉しいよ」

「俺たちからもプレゼント」

「気に入って頂けると良いのですが」

エリオットからは薬学の本、エリーゼからは金属製の栞を貰った。

「ありがとう、大切にするわ」


私、こんな幸せで良いのかな?でも、この幸せはきっと長くは続かないんだろうな。社交界デビューの前に婚約解消されたとしても、今までと同じようにみんなで集まって、お茶をしたり勉強をしたりなんてできなくなるんだろうな。少し、寂しいな…

「お姉様、どうかされました?」

「どこか具合でも」

アリシアとエレノアがオロオロとしている。そっか、私泣いているんだ。

エレノアがハンカチを貸してくれ、私は涙を拭いて顔をあげる。

「ううん、違うの…大好きな人たちに祝って貰えて嬉しくて」

「お姉様…私も大好きなお姉様のお誕生日をお祝いできて嬉しいです」

アリシアに抱きしめられる。

「私もですわ」

「僕も」

「まったく、姉さんは大袈裟だな」

セシルは困ったように笑う。

「まあ、俺も気持ちは分かるけど」

「兄様と一緒にされるパトリシア様が可哀想」

「パトリシアは本当に可愛いね」


今が充実しているからこそ、それが失われるのが怖い…それでも、もう少しこのままでも良いのかな?




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