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噛み合わない二人

私はエレノアに言われた通りに、アルフレッド宰相と一緒にパトリシアを王宮へ招待した。


「パトリシア、少し散歩しようか」

初めて会ったときと同じように、二人で庭園を歩く。あのときと違うのは、私がパトリシアをエスコートしていること。

「綺麗ですね」

パトリシアはあのときと変わらない笑顔で花を愛でている。

せっかく二人きりになれたのだから、色々聞いておかないと。

「パトリシアの好きな色は?」

「好きな色ですか?あ、アリシアは青色と金色が好きみたいですよ」

「そっか私も…青と金が好きだよ」

花に触れようと前屈みになっていた、パトリシアの髪を耳にかけてあげる。

「アリシアとカイル様は気が合うんですね」

パトリシアの顔がぱぁーっと明るくなる。この顔は決して私に対して向けられているわけではないのが少々釈然としないが、可愛いから許そう。

「そんなことより、パトリシアの好きな色は?」

「うーん、特にありませんが強いて言うなら黒とか、白とかですかね」

パトリシアはやはり黒が好きなのか、黒い瞳に黒い髪……あれ?白って言った?

「へぇ、黒と白か何でその二色?」

「無難かなと思ったので」

…無難か、それなら好きなタイプも無難な黒い瞳と黒い髪と言った可能性もある。

「パトリシアには白が似合うよ。それに紫も」

「そうですか?」

紫とは言ったけど、ブライス兄妹も紫色の髪だ。

「でも暗すぎたり、薄すぎる紫よりも明るい紫が似合うよ」

「はぁ」

パトリシアは不思議そうな顔をしている。分かってないみたい。まあいっか、話題を変えよう。

「パトリシアの好きなお菓子は?何かある?」

「…チョコレート?あ、アリシアは苺のケーキが好きみたいですよ」

何故追加情報でアリシアの事も教えてくれるんだろうか。パトリシアはチョコレートが好きなのか、あまり食べている所を見ないから知れて良かった。

「カイル様の好きなお菓子は何ですか?」

「私はこの前食べた林檎のタルトが好きだよ」

パトリシアが作ってくれたから、特別美味しかった。でも、パトリシアが作ったお菓子を私よりも先にエリオット達が食べていた事には腹が立つけど。

「お口に合ったようで、良かったです。レシピは控えてあるので今度差し上げますね」

そういうことではないんだけど…

「パトリシアが作ってくれたのが、また食べたいな」

「私が作ったものより、王宮の料理人に作っていただいた方が」

うーん伝わらない、どうしたら伝わるのだろうか…

「おにいさま、エレノアがきてるの?」

「シャルル!?乳母達はどうしたの」

いくら騎士達が警備をしているとはいえ、3歳の子供が一人で歩き回るのは危険だ。

「わかんない、おにいさまがおにわにいるってきいてはしってきたから」

シャルルは甘やかされて育ったせいか、乳母も手を焼いている。

「あーパトリシアだ」

シャルルはパトリシアに抱きつく。私もそんなことをしたことがないのに

「シャルル様はカイル様の事が大好きなんですね」

パトリシアがシャルルの頭を撫でる。

「うん、でもねパトリシアのこともだいすきだよ」

シャルルがそういうと、パトリシアがシャルルを抱き上げる。

「私もシャルル様のこと大好きです」

二人はキャッキャと楽しそうにしている。私も大好きなんて言われたことないのに、慌ててパトリシアからシャルルを引き剥がす。

「あーおにいさま、まだパトリシアとあそびたい」

シャルルは手足をバタバタさせ暴れている。丁度いいことに、乳母が走ってくるのが見えた。

「ほら、迎えがきたから」

シャルルを乳母に引き渡し、ようやく二人きりの時間が戻ってきた。

「あの、エレノアもよく来られるんですか?」

パトリシアが不安そうに聞いてきた。もしかしたら、前みたいに私がエレノアの事が好きだと思って…

「エレノアはコーデリア侯爵の付き添いでね」

「…そうなんですね」

ホッとしたような顔をしているのを見ると、パトリシアは嫉妬してくれたのかな?だとしたら、不安にさせないようにちゃんと思ったことは伝えないと…あれ?伝えてはいるよね、伝わってないけど。

「カイル様、私応援してますので頑張ってください」

パトリシアが私の手を握ってくれた。嬉しい…けど、私は何を応援されているのだろうか。

「…ありがとう?」

私はとりあえずお礼を言っておいた。



「じれったいですわね。カイル様、そこは抱きしめるとこですわ」

「エレノア、そろそろ帰るよ」

「お父様、いいところだったのですが仕方ありませんわね」


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