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エレノアの不安

私エレノアは、パトリシア様とカイル様お二人の仲を取り持つために頑張っていますわ。ですが、最近はパトリシアがお忙しいようであまりお二人で過ごす時間がないみたいですの。


「カイル様!!これは由々しき事態ですわよ」

私はたまにカイル様の相談相手としてお茶をしていますわ。と言いましても、お父様のお仕事の付き添いという扱いですけど。

私ははしたないのを承知の上でテーブルを叩いてしまいました。

「どうかした?エレノア」

カイル様は至って冷静で、足を組みながらお茶を飲んでいらっしゃる。

「カイル様とパトリシア様の仲が全く進展していない事ですわ」

「…でも少し前に、『カイル様には、パトリシアって呼ばれるのが好きなので』って言ってくれたよ」

カイル様は思い出して嬉しそうに笑っていらっしゃる。カイル様は『好き』と言う言葉だけで喜んでいてお気づきでないみたいですわね、愛称呼びを断られていることに。それに、ミシェル様は愛称で呼んでる。これでは誰が婚約者か分からなくなってしまいますわ。

そういえば、パトリシア様は…

「カイル様はご存知ないと思いますが、パトリシア様の好みの殿方は、黒い髪に黒い瞳の方なのですわ」

「…そうなんだ」

カイル様は腕を組み、手を顎に当てていらっしゃる。

「何も思い当たりませんの?」

パトリシア様と殿方が仲良くされているとすぐに牽制をされている。それなのに気づかれていないなんて

「ミシェル様は黒い瞳、パトリシア様の騎士様は黒い髪。そしてお二人ともパトリシア様の紹介でお屋敷に来られているんですわよ」

「…いや、その話ってだいぶ前の事だよね。今は違うんじゃないかな」

カイル様の顔色が少し悪くなっていらっしゃる。やはり、私が発破をかけて差し上げなくては。

「現時点で、パトリシア様が信頼を置いていらっしゃるのは恐らくエリオット様かと思われますわ」

「…私よりも浅い付き合いなのに」

あからさまに不機嫌そうな表情をされている。

「そこでですが、今度のパトリシア様のお誕生日。素敵なプレゼントをお贈りするのですわ」

「プレゼントね、毎年何が欲しいかは聞いてはいるんだけど…」

「気持ちだけで充分だって言われるんだよね」

「パトリシア様の好みとかは分からないんですか?」

「…珍しい薬草とか?」

「正気ですか?」

婚約者に薬草だなんて、確かにパトリシア様はお喜びになられるかと思いますが…

「アクセサリーとかがよろしいのでは?」

「パトリシアって普段アクセサリー着けてないんだよね」

言われてみれば、どこかのお茶会に参加されたときぐらいしかアクセサリーを着けていらっしゃらない。

「それに、イヤリングなら一度プレゼントとしたことがあるよ」

「五年程前にあげたんだけど…私と二人のときに着けてくれるよ。まあ年に一、二回ぐらいだけど」

穏やかな笑みを浮かべていらっしゃる。五年前にプレゼントした物を今でも大切にされているだなんて、これは愛なのでは!?

「差し支えなければ、そのイヤリングについてお話しを聞かせてくださいませ」

「小ぶりのアメジストがついたイヤリングだよ。いつ見てもあげたときのように綺麗な状態だから、好みじゃないけど私のために着けてくれているのかもしれない」

「アメジストですと、熱や紫外線で変色することがあるんですのよ。もしかしたら、パトリシア様はそれをご存知なのでは?」

私はお母様の影響で宝石についてはそれなりに詳しい方だと思いますわ

「そうなんだ…」

カイル様のお顔が少し赤らんでいらっしゃる。そういえば、パトリシア様は紫色がお好きなのでしょうか?

「パトリシア様のお好きな色はご存知ですか?」

「……知らない」

先程までと打って変わって青いお顔をされている。

「何年婚約者されていらっしゃるんですの?」

呆れましたわ、婚約者のお好きな色も存知あげてないだなんて。

「そもそも私とお茶をする時間を減らして、パトリシア様とのお時間にあてたらよろしいのでは?」

「私もそうしたいところなんだけど、アリシアとセシルの妨害がすごくて」

アリシアもセシルも本当にパトリシア様の事がお好きなのね。パトリシア様が取られるのが嫌なのでしょう…それなら

「フローレス公爵様の付き添いと言う形でご招待されたらいかがですか?」

「…ありがとうエレノア、そうしてみるよ」

「いえ、お二人の幸せのためですわ」


お二人の、いいえ私のためでもあります。お二人は私の理想のカップルなんですもの。


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