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51 悪役令嬢と護衛騎士

お茶をしながら、おしゃべりをしていると何やら足音が近づいてくる。足音の方を見るとダリルがいた。ダリルは私と目が合うも、みんながいることに気づいて踵を返す。

「ごめんなさい少し席を外すわ」

私は立ち上がりダリルを追いかける。

「ダリル、待って」

ダリルはピタッと止まり、振り返る。

「パトリシア様!?どうされたんですか」

「ダリルこそ、何か用事があったんじゃなかったの?」

「それは…その」

ダリルはみんながいる方をチラッと見ている。なるほど

「大丈夫よ、みんなには席を外すと伝えてあるから」

「…あの入団してからちゃんとお礼を言えていなかったので」

ダリルは私の目を真っ直ぐに見つめる。

「村を助けてもらっただけでなく、こうして騎士への道を与えていただき本当にありがとうございます」

と言うと深々と頭を下げる。お礼は何回も聞いた気がするけど、真面目だな。

「良いのよ、それに私の方がお礼を言わないと」

私の我儘で村から出てきたのだから…

「ダリルありがとう、あなたが私の護衛騎士になるのを楽しみに待っているわ」

入団したばかりだから、私の護衛をすることはない。でもあの実力ならそう遠くないだろう。

「はい、一日でも早く貴方のお側に立てるよう強くなります」

ダリルは跪く、訓練着のはずなのに、その姿はまるで叙任式のようだ。


「せっかくだから、みんなに紹介させて」

アリシアとセシルはまだ会ったことないし、これから会う機会も増えるだろう。

「俺みたいな平民が、貴族の方達のお茶会の邪魔をするわけには」

「大丈夫よ、エリオットとミシェルもいるし。私の騎士になってくれるんでしょ。みんなに自慢したいのよ」

私はダリルの手を引き、庭へ戻る。


「みんなに紹介したい人がいるんだけど」

「あれ?ダリルさん」

ミシェルが不思議そうに、ダリルを見ている。

「私の護衛騎士になる予定のダリルよ」

私はダリルに隣に立つと、ダリルはお辞儀をする。

「ダリル=ヨルクです。よろしくお願いします」

「僕はセシル。稽古のときに見ない顔がいると思っていたら」

セシルはすでに稽古のときに会っていたようだ。

「セシル様、ご挨拶が遅くなりましてすみません」

「いや、僕も稽古に集中していたから気にしなくて良いよ」

セシルとダリルが話していると、エリオットが小声で

「彼を騎士にしたのは、もしかして平民暮らしのため?」

と言ってきた。流石はエリオット鋭いな

「それだけではないわ」

どちらかというとダリルが闇堕ちするのを避ける方がメインで、何かあったときに村に住ませてもらうのはついでの話だ。

「ところで、パトリシア様とダリルさんはどちらで知り合ったのですか?」

エレノアは興味津々という顔でこちらを見ている。

「お出かけの帰りに、道で倒れていたダリルを助けたのよ」

「倒れて!?まあ大丈夫ですの?」

「はい、パトリシア様のおかげで助かりました」

「流石お姉様、素敵です」

アリシアが私に飛びついてきた。

「この子はアリシア、私の妹よ」

ダリルは再度お辞儀をする。

「パトリシアと君は随分と仲が良さそうだね」

カイルが笑顔で、ダリルの前に立つ。

「いえ、そんな…」

ダリルは何故かたじろいでいる。

「私は、パトリシアの婚約者・・・でこの国の王太子カイル=ルーク=アルフォード。私の婚約者をよろしく頼むよ」

わざわざ婚約者なんて言わなくても良いのに何で言ったんだろう。

「こ、婚約者!?…王太子!?」

ダリルがアワアワして、私とカイルを交互に見ている。

「そうだよ、私とパトリシアが結婚したら君は王妃付きの護衛騎士になるだよ」

アリシアはカイルに興味がないみたいだけど、カイルはアリシアの事が好きなのにそんな話を何故アリシアのいる前で?

「カイル様、そう言う話はちょっと…」

私はカイルの袖を引くと、カイルは何故か機嫌が良さそうで満面の笑みを浮かべている。本当によく分からない人だな。


「ダリル、ごめんなさいね。王妃付きの護衛騎士になることはないと思うけど」

私はダリルに耳打ちする。

「え?」

この場で話せるとこではないので、私は口の前に人差し指を持ってきて、しーっと言った。


婚約を解消されたとしたらダリルは、私の護衛騎士ではなく普通に戦場とかに出て戦うのかな?それともアリシアやセシルの護衛騎士になるかも。私が連れてきたようなものだし、せめて不自由のない生活を送ってほしいな。


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