47 悪役令嬢と奇病
私はエリオットとミシェルの協力を得て、ダリルと一緒にガーネット邸に来ている。
「ガーネット伯爵、何か分かりました?」
「うーん、調べては見ていますがどうにも…」
フランクさんは色々な資料を広げながら、頭を抱えている。
「高熱だけならともかく、赤い痣のようなものと言うと…」
流石に医者でも実際に診てみないと分からないよね
「ダリルさんは何ともないんですか?」
ミシェルが聞くと
「俺も同じ症状が出たのですが三日後には完全に治ったので、痣みたいなのも消えてます。だから、みんなもすぐに治ると思っていたんですが…」
とダリルは応えた。
三日後に治った?じゃあ何で村の人達は死んでしまったの…あれ?そもそもダリルは感染してないはず、いやもしかしたら…
「これは私の憶測にすぎないのだけれど、ダリルはその病の抗体を持っているかもしれないわ」
「抗体?」
エリオットが不思議そうな顔をしている。
何かで見たことある、感染から回復した人の血液には病原体を無力化できる可能性があると。
「抗体を持っているダリルの血液から薬を作れば、村の人達も治るかもしれないわ」
「…試してみる価値はありそうですね」
フランクさんが小さく頷く。
「勝手に話を進めてしまってごめんなさい、ダリルさえ良ければの話だから…」
出会って間もない人間に、血を抜かれるなんて普通に怖いよね。
「いいえ、俺の血液が役に立つかもしれないのなら協力させてください。」
ダリルは袖をまくり、フランクさんに腕を差し出した。
ガーネット邸へ行った日から4日後、フランクさんから薬ができたと知らせが入った。私達は再びガーネット邸へ出向く。
「ダリルさんとパトリシア様のおかげで薬を作ることができました」
フランクさんに頭を下げられる。
「ダリルはともかく、私は何も…」
「いえ、パトリシア様のご助言がなければ作れませんでした」
作ったのはフランクさんなのだからそんなに謙遜しなくてもいいのに。
「では早速薬を届けに行きましょう」
私がそう言うと、フランクさんの表情は厳しいものに変わった。
「申し訳ありませんが、それは私達医者の仕事です。感染する恐れがあるため、パトリシア様はお引き取りください」
私が行ったところで役に立たないことは分かっている、それに私まで感染してしまったらフランクさんの仕事を増やしてしまう。
「…分かりました」
ダリルとフランクさん、フランクさんのもとで働く医療関係者で村へ向かった。
私は良い知らせが来るのを、ただ待つだけだった。
本当は支援物資とかを贈りたいところだが、私だけの判断ではどうにもならない。
数日後、フランクさんから手紙が来た。私は急いで封を開ける。
簡潔に言うと、村の人達はみんな無事完治したとの事、そして、村の人達が私に会いたがっていると言うこと。
結局原因については触れられていなかったが、医者でもない私が気にすることではないということだろう。でも村の人達は何故私に会いたがっているんだろう。
まあいっか、それにしても本当に良かった。
私が殺し屋を雇うことはないが、ダリルがそっちの道へ進んでしまうことはなくなっただろう。




