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46 悪役令嬢とダリル

ダリル=ヨルクは天涯孤独の殺し屋だった。両親は幼い時に他界していたため、母方の祖父に育てられる。

騎士を目指していたが、平民のため叶わぬ夢となった。それでも独学で剣の稽古をしていた。

村の人達との仲も良好で、頼りにされていた。

そして悲劇が起こる。住んでいた村の人々は奇病で死に、彼は唯一奇病にかからず生き残った。

生きていくために傭兵として働くも、出身の村を知られ殺人狂だなんだとあらぬ噂を立てられる。彼は人を信用できなくなる。

そして、いっそ本物の殺人狂になろうと決意する。始めて手にかけたのは傭兵仲間だった。人を殺したのに何も感じなかった。それからも何人か手にかけた。もう人には戻れない、そんなとき彼の殺しの腕を見ていた男に気に入られ、その男のもとで殺しを仕事にした。

あるときは貴族を、あるときは幼い子供を…

金さえ貰えれば、何でも良かった。


ある日現れた依頼人は、身綺麗な格好の女だった。今まで依頼人に興味など持てなかったが、何故かその女の事が気になった。貴族のくせに何も期待していないかのような、憂いに満ちた目をしているその女は

「私の義妹を殺して」

と冷たい瞳に一筋の涙を流しそう言った。その姿があまりに美しくて、つい理由を聞いてしまった。

「私の居場所も、婚約者も…あの女は私から全てを奪った」

「仮に、その義妹とやらを殺したとしても全てがもとに戻るわけじゃないが良いのか?」

「そうね、あの女が死んだところで私の居場所はとっくにないのだから」

依頼を取り消し思いとどまるなんてことは少なくない。けど女は違った。

「それでも…殺して欲しいの」

「報酬は」

基本的に前払いで、始末したあとに追加報酬を払う依頼人もいた。彼女から渡された袋には、相場よりも多い金貨と紫の宝石のイヤリングだった。

「ねぇ、無事にあの女を殺せたら…私と一緒に逃げましょう。あなたも私と同じ匂いがするの」



私は小説のダリル視点を思い出す。そして今、彼の村に奇病が流行り始めている。彼の行く末を知っている私が何とかしなくてはいけない。


「私があなたの村を助けるわ」

なんて簡単に行ってしまったものの、小説には病気の正体は載っていなかった。


ダリルを軽く手当てをしたあと、村の人達の症状を聞いた。

高熱に、身体にあちこちに赤い痣ができているとのことだ。医者でもない私はその症状を聞いても何も分からない。医者…そうだ、フランクさんだ!!


「ダリル、私に少し時間をちょうだい」


ダリルをそのまま村へ送り届けることもできたが、村に入ることによって私達が感染する可能性があるからと、今日は騎士団の寮で泊まらせることになった。


翌日、屋敷にやって来たエリオットとミシェルに相談した。

「なるほど、俺も協力するよ」

「僕も父さんに話してみるよ」

「ありがとう」

二人が協力してくれる、とても心強い。何としてでも村の人達を奇病から救ってあげないと。

小説のダリルは…彼は私のせいで死んでしまうのだから。



あれ?そういえば、何でダリルだけ奇病にかからなかったんだろう。


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